Super Micro Computer(SMCI)は、会計上の不透明性や監査法人の辞任、四半期決算の失望といった一連の問題により、一時はナスダック上場廃止の懸念が浮上した。2025年度第3四半期の決算では、売上と利益がともに市場予想を下回り、通期見通しも下方修正されている。

こうした状況に対し、CNBCのジム・クレイマー氏は「もううんざり」とコメントし、代替としてDell株を推奨した。一方で、Raymond JamesはAI関連収益比率の高さや製造拠点の優位性を評価し、株価上昇の可能性に言及している。市場全体の評価も改善傾向にあり、SMCIはAIインフラ分野の中核として再評価されつつあるとの見方がある。

SMCIの決算と会計不信が呼ぶ市場の不安定性

Super Micro Computer(SMCI)は2025年度第3四半期の決算において、売上46億ドルと前年同期比で19.5%増加したものの、市場予想の51億ドルには届かなかった。調整後1株利益(EPS)は0.31ドルと前年から半減し、アナリスト予想も11.5%下回った。さらに、監査法人EYの辞任や財務報告遅延といった会計上の懸念が株式市場に重くのしかかり、ナスダック上場廃止の懸念も過去に浮上した。これら一連の問題は、SMCIの成長性や信頼性に対する投資家の警戒心を高め、株価の乱高下を招いた。

2025年3月末時点で同社の現金保有額は25億4000万ドルと報告され、銀行債務や転換社債の合計額をわずかに上回ってはいるが、財務体質の健全性には依然として不透明な面が残る。CEOのチャールズ・リャン氏は一部顧客の意思決定延期を要因としつつも、次四半期以降の契約実現に自信を見せている。だが、売上ガイダンスは通期で従来の235億〜250億ドルから218億〜226億ドルへ引き下げられた。この見直しは、経済環境の変化や関税の影響といった外部要因を反映した慎重な姿勢と解釈できる。

SMCIが置かれたこの状況は、AIサーバー需要の高まりという構造的追い風にもかかわらず、同社に対する市場の信認回復には依然として課題が残されていることを示唆している。決算数値の下振れと会計懸念が重なったことで、短期的な株価のボラティリティは今後も続く可能性がある。

ジム・クレイマーの批判と対照的なアナリスト評価の乖離

CNBCの著名司会者ジム・クレイマー氏は、番組内でSuper Micro Computerに対し「もううんざりだ」と明言し、皮肉を込めて「Not so Super Micro」と称した。彼はAIサーバー分野においてより安定性を重視すべきだとし、投資先としてDellを推奨している。この辛辣な意見は、会計不祥事や業績下方修正といった近年のマイナス材料に反応したものと見られる。一方で、Raymond Jamesは異なる見解を示している。

5月13日に発表された同社のレーティングでは、「アウトパフォーム」と評価され、目標株価41ドルが提示された。これによりSMCI株は1日で16%上昇するなど、クレイマー氏の発言とは対照的な市場反応が示された。Raymond JamesはAI関連事業が売上の約70%を占める点を重視し、製造体制の拡充や、米国内製造能力の強化といった戦略的取り組みを肯定的に評価している。特に、ITサプライヤーと契約製造業者の中間に位置する独自のビジネスモデルが強みとして指摘された。

アナリスト間でも意見の割れが見られ、16人の評価者のうち「強気の買い」は4人に留まるが、「強い売り」とする意見も2人に過ぎない。平均目標株価は44.16ドルと現株価をやや下回るものの、最も強気な見方では100ドルとされており、今後の成長性に期待を残している。評価の分裂は、SMCIの将来性と現時点でのリスクとの間で市場が揺れている状況を如実に物語っている。

Source:Barchart