Bridgewater Associatesを率いるレイ・ダリオは、2025年第1四半期の13-F報告書において、中国の大手テクノロジー企業AlibabaとBaiduへの巨額投資を明らかにした。特にAlibabaの保有額は前年末から3,361%増の約7.3億ドルに、Baiduも1,053%増の1.9億ドルに拡大され、米中関係の不透明感が続く中での大胆なポジション構築が注目されている。
AlibabaはAIや越境EC、クラウド分野で成長を加速し、株価は年初来で46%以上上昇。Baiduも対話型AIやロボタクシーで実績を積み、将来の収益成長に期待がかかる。両銘柄とも業界平均を下回るバリュエーション水準にあり、ダリオの動きは割安評価を追い風とする戦略的判断と見られる。
Alibabaの業績回復とAI・国際事業の成長が示す構造転換の手応え

Alibaba Group Holding Limitedは、2025年度第4四半期に売上高326億ドルを記録し、前年同期比6.6%増と堅調な成長を維持した。特に、TaobaoとTmallにおける顧客管理収益は手数料率の改善により11.8%増加し、国際デジタルコマース部門も22.3%の拡大を見せた。
クラウドおよびAI領域を担うCloud Intelligence部門も前年比17.7%の増収を記録しており、収益源の多角化が進んでいる。調整後EPSは1.73ドルで前年から23%増と収益性の向上も確認された。一方で、米中貿易摩擦などの外部環境の影響により、市場予測はわずかに下回ったものの、事業基盤の強さが際立った内容であった。
このような事業領域の分散と回復傾向を背景に、Bridgewater Associatesは同社株を3,361%増加させ、総額7億2,700万ドルの保有に踏み切った。株価も年初来で46.3%上昇しており、低PER(12.21倍)という割安感も投資判断を後押ししていると考えられる。
今後の業績見通しでは、2026年度のEPSが前年比11.8%増の10.15ドルになるとの予測が出ており、AIと越境EC事業への注力が収益成長を支える可能性がある。目標株価も平均158.20ドルと現在水準より28.1%の上昇余地が示されており、成長期待と投資家の信頼感が市場に反映されつつある。
BaiduのAI関連指標と実用サービス展開が投資価値を再評価させる契機に
Baidu, Inc.は2024年第4四半期において売上47億ドルを計上し、前年同期比では2%減ながら市場予想は上回った。特に注目すべきは、オンライン広告収益が落ち込む中でも、AIクラウドやその他非オンライン領域の収益が18%増となり、事業構造が確実に変化している点である。
また、対話型AI「ERNIE」によるAPIコールは1.65億件に達し、前四半期比で178%の増加を記録。加えて、自動運転タクシー「Apollo Go」は第4四半期に110万回以上の乗車を達成し、前年比216%の成長を示している。これらの指標は、同社のAI戦略が実用段階に入っていることを裏付ける。
BridgewaterがBaidu株を1,053%増加させて1億9,100万ドル相当を保有した背景には、株価の低迷(52週で20%下落)と現在のPERが8.61倍という割安な評価水準があるとみられる。年初来の株価は6%の回復を見せており、今後のAI関連収益の拡大が株主価値の再評価を促す余地を残している。
アナリスト予想では2025年度通期のEPSが前年比8%減の8.14ドルとやや弱含みであるが、2026年度には16.8%増の9.51ドルへ反転が見込まれている。平均目標株価は108.69ドルであり、現在水準から21.6%の上昇が期待される中で、投資家は長期視点での成長ストーリーを意識し始めている。
Source:Barchart