Epic Gamesは、Appleが「Fortnite」の米国App Store復帰を妨害しているとして、連邦地裁に対し差止命令の強制執行を求める2度目の申し立てを行った。Epicは裁判で勝訴し、App Store外での支払いリンク容認を勝ち取ったが、Appleは上訴と命令の一時停止を求めており、対応を保留している。
AppleはEUと米国で別々のFortniteバージョンを提出するよう要求し、Epicはこれが開発者ガイドライン違反かつ報復的措置であると主張。Epicは法的文書で、Appleが競争を妨げる行為を繰り返し、判決に従っていないと非難している。
Fortnite復帰を阻むAppleの対応 Epicが再び法的措置に踏み切った背景

Epic Gamesは、Appleが「Fortnite」の米国App Store復帰申請に対して対応を拒否していることを受け、カリフォルニア州北部地区連邦地裁に対し新たな差止命令の強制執行を申し立てた。これは2021年の反トラスト訴訟におけるEpic側の勝訴判決に基づくもので、App Store外の支払いリンクを認めるよう命じられたAppleが、判決確定後も対応を引き延ばしていると主張している。Appleは現在、当該命令の執行停止を求める緊急動議を提出しており、その審理結果が出るまではEpicの申請には応じないとしている。
またAppleは、米国向けとEU向けで異なるバージョンのFortniteを申請するようEpicに指示しており、EpicはこれがApp Storeの開発者ガイドラインに明確に反すると反論している。ガイドラインでは、同一アプリの重複提出を禁止しており、EpicはAppleがこの基準を自社にだけ適用していると訴えている。Epicはこの一連の対応が、過去の訴訟でAppleの独占行為を告発した報復であると強く非難している。
ガイドラインの“恣意的適用”を巡る対立構図とApp Storeの透明性問題
Epicがとくに問題視しているのは、Appleが求めた「異なる地域向けバージョンの提出」にある。App Storeのガイドラインには、同一内容のアプリを複数登録することは禁止されており、EpicはAppleのこの要求がルールそのものに矛盾していると指摘。実際、他の開発者には同様の要件が課されていないとされ、ガイドラインの一貫性と公平性が問われている。
AppleはEUにおいてもEpicに再申請を求めており、米国と同様に対応を遅らせている。Epicの法的文書では、これら一連の動きが明確な敵対的対応であり、裁判所命令の遵守を意図的に避ける行為として扱われている。Epicは自身の申請が一切ガイドラインに違反していない点を強調し、Appleの要求がApp Storeの運用原則に基づいていないと訴えている。
この構図は、AppleがApp Storeを通じて持つ審査権限をどのように運用しているかという根本的な問題にも直結する。利用者や開発者にとっては、ルールが公平に適用されるか否かが信頼性を左右する要素となり、今回のEpicの主張はそうした点への注意を喚起する契機となりうる。
Source:Engadget