アルファベットCEOのサンダー・ピチャイは、AIが人類にとって火や電気を超える深遠な技術であると公言した。CBS「60 Minutes」での発言では、Geminiを軸としたGoogleのAI戦略に加え、WaymoやCalicoなど多岐にわたる先端領域への展開が強調された。AIの進化速度に対する懸念を述べる一方で、倫理と技術の調和に向けた国際的協調を訴えた。

株価は2023年4月以降に約60%上昇したが、2025年には年初来で12%下落しており、独占禁止法の訴訟や広告分野の規制圧力が不透明感を生んでいる。ただし、AIが牽引する成長の核としてアルファベットが依然として最前線にあるとの評価も根強く、今後の展開は投資家の注視を集める。

AIは火や電気を超える存在か ピチャイが語る技術の重みと社会的責任

アルファベットCEOサンダー・ピチャイは、AIが火や電気よりも「深遠」であると述べ、これが人類の未来を根底から変える可能性に言及した。CBS「60 Minutes」での発言は、単なる技術の革新にとどまらず、社会のあり方や価値観の再定義を迫るものとして注目を集めた。彼は、AIの発展スピードがあまりにも急速であることに対し懸念を示し、「まだ全ての答えは得られていない」と述べ、開発者自身が不安を抱えている現状を明かした。

このような技術的進歩に対して、ピチャイは倫理や法制度の整備が不可欠であるとの認識を共有している。特に、技術者、倫理学者、政策立案者の連携によるガイドライン策定の必要性に言及したことは、AI開発を巡る国際的な議論の方向性とも一致している。事実として、GoogleはGeminiやWaymoなどの分野で急速に技術を進化させており、現時点で既にロボタクシーを週20万回以上稼働させる実績を持つ。

AIが社会全体に与える影響は今後さらに拡大するが、現段階では技術のポテンシャルとリスクの両面に正面から向き合う姿勢が問われている。ピチャイの発言は、単なる企業戦略を超えた哲学的、倫理的な次元での問題提起として重みを持ち、AI主導の未来に対する社会全体の備えが求められている。

AIを軸とするアルファベットの成長と、規制圧力がもたらす株価の不確実性

アルファベットはGeminiを中心としたAI事業を筆頭に、Waymoの自動運転やCalicoのバイオテクノロジー、Nestのスマートホームなど多分野にわたって成長を遂げている。特に注目すべきは、Googleが2023年以降にAI技術を急速に強化し、競合との差を一気に縮めた点である。この流れを受けて、2023年4月のピチャイ発言以降、同社の株価はおよそ60%の上昇を記録した。AIを起点とした収益性の強化が市場の期待感を大きく押し上げたことは明白である。

一方、2025年に入ると、株価は年初来で12%下落しており、その背景には連邦判事による検索と広告市場における独占的行為の認定がある。特に、司法省がChromeの所有権放棄を求める姿勢を示すなど、規制当局からの圧力は一層強まっている。これはアルファベットのビジネスモデルそのものに揺さぶりをかける要因となりうる。

成長と規制という二極の力学の中で、投資家は今後の展開に対し見極めを迫られている。AIを中核とする新たな収益基盤が十分に育成されれば、規制の影響を中和する可能性もある。ただし、現時点ではこうした構図がもたらす不確実性が、短期的な市場評価を複雑にしているのは否めない。アルファベットは依然として革新の中心にあるが、その進路はかつて以上に精緻な戦略が求められている。

Source: Barchart