Appleが開発中の大規模言語モデル(LLM)を、サードパーティアプリが活用可能にするSDKを準備しているとBloombergが報じた。まずはデバイス内で処理される小規模モデルから対応を開始し、クラウド上のLLMは対象外とされている。これにより、要約やリライト、画像生成といった機能をアプリに統合できるようになる。
この取り組みは、Googleが発表予定のGemini Nano AI APIに似た形式で提供される見込みであり、AI開発環境のオープン化という点で大きな転換点といえる。WWDC 2025で正式発表される可能性が高く、OSの刷新計画「Solarium」と並んで注目されている。
Apple Intelligenceがサードパーティに開放される意義と制約

Appleが提供を計画している新たなソフトウェア開発キット(SDK)は、同社のApple Intelligenceにおけるオンデバイスの大規模言語モデル(LLM)へのアクセスを外部の開発者に開放するものとされている。現時点ではクラウド上のモデルにはアクセスできず、対象はあくまでデバイス内で動作する軽量なモデルに限られる。これにより、要約や文章のリライトといった機能をアプリに組み込むことが可能になる。また、すでに限定的に提供されている「Image Playground」のような生成AI機能にも統合の道が開かれる。
こうした動きは、Googleが発表を予定するGemini Nano AI APIと類似しており、開発者にとっては生成AIをより柔軟に取り入れる手段として注目される。ただし、ChatGPTやGrok、Anthropicといったクラウド型AIをベースとしたアプリには直接的な影響は見込まれていない。今後の展開として、より高性能なモデルへのアクセスが拡張されるかが鍵となる。
WWDCでの正式発表が示すAppleの統合戦略
Bloombergの記者マーク・ガーマンによれば、今回のApple Intelligence開放に関するSDKは、2025年6月9日から開催されるWorldwide Developers Conference(WWDC)の目玉の一つとして紹介される予定とされている。この発表は、iOS、macOS、iPadOSの機能統合に向けた取り組みの一環として行われるとみられ、特にVision Pro向けOSに似た体験を目指す「Solarium」計画との連動が示唆されている。
Appleが掲げるAIとOSの融合によるプラットフォーム戦略は、個別の機能提供にとどまらず、アプリ全体のユーザー体験を横断的に変革する意図を含むと見られる。ただし、クラウドLLMの非開放という制限がある以上、現時点で開発者が実現できる機能には限界がある。より複雑なAIタスクを必要とするアプリケーションには、今後のAppleの対応が重要な要素となるだろう。
Source:The Verge