インテルがネットワークおよびエッジグループ(NEX)事業の売却を検討しているとの報道が注目を集めている。NEXは2024年に58億ドルの売上を記録したが成長鈍化が顕著であり、CEOパット・ゲルシンガーの掲げる革新再興の路線とは相容れないとの判断が背景にあると見られる。一方で株価は52週安値圏にあり、今回の戦略的見直しが再評価につながる可能性がある。

過去1年で34%下落した株価は、直近1か月で6.2%反発するなど反転の兆しも見せる。決算ではAIサーバー需要が支えとなり一部部門で成長を維持したが、全体では利益・EPSともに前年割れが続いている。ウォール街の評価は依然「ホールド」が大勢で、強気派と弱気派の見方が分かれる中、事業売却が構造改革の起点となるかが焦点となっている。

インテル、NEX事業の戦略的選択肢を検討 収益停滞と構造改革の必要性

インテルはネットワークおよびエッジグループ(NEX)の売却または再編の可能性を検討している。2024年に58億ドルの売上を記録した同部門は、前年比で1%の微増にとどまった。パット・ゲルシンガーCEOが掲げる「インテルの革新再興」という戦略ビジョンとの整合性が問われる中、同部門が将来的な成長エンジンとしての役割を担えないとの評価が高まりつつある。2024年4月には、FPGA事業の中核であるアルテラ株51%を投資会社シルバーレイクへ売却したばかりであり、今回の動きはそれに続く構造改革の一環と位置づけられる。

NEXはかつてエッジデバイス市場やネットワークインフラ市場での成長が期待されたが、競合他社の進展に対抗しきれず、売上高の伸び悩みが続く。これにより、経営資源をより高収益なAIやデータセンター部門に集中させる選択肢が浮上している。加えて、NEX売却による資金確保は、AI向けCPUや次世代プロセス技術への投資加速にも寄与し得ると考えられる。ただし、売却が完了した場合でも短期的な収益貢献の剥落は不可避であり、全社の収益構造が再度試される局面が訪れる。

低迷する株価と見通しの分岐 インテルの再評価を左右する三つの要素

INTC株は過去12か月で34%下落し、現在は52週安値圏にある。だが、直近1か月では6.2%の上昇を記録し、慎重ながらも反転の兆しが見られる。4月発表の2025年第1四半期決算は、市場予想を若干上回る売上127億ドルを確保したものの、非GAAP純利益は23.6%減、1株利益は27.8%減と厳しい内容であった。部門別に見ると、AI需要が寄与した「データセンターおよびAIグループ(DCAI)」は8%成長した一方で、主力の「クライアント・コンピューティング・グループ(CCG)」は8%減と対照的であった。

こうした業績を受けて、アナリスト38名のうち「ホールド」が31名を占めるなど、市場の見方は依然として慎重である。目標株価の平均は22.40ドルと現状から10%の上昇余地があるが、最も強気な予測では62ドルまでの反発を見込む声もある。今後の注目点は、事業ポートフォリオの再編による収益性の改善と、AI市場での競争優位性の確保にある。インテルが持続的な成長軌道に乗るためには、投資家の信認を回復させるだけの明確な成果が問われる。

Source: Barchart