2025年末にウォーレン・バフェットがバークシャー・ハサウェイCEOを退任する見通しの中、投資家心理は揺れ動いている。4月の株式市場安値の再来を一部アナリストが警戒するなか、同社が大量保有する高配当銘柄への注目が再燃している。特にバンク・オブ・アメリカやコカ・コーラなど、景気変動下でも業績と配当を維持する企業は資産防衛の受け皿となり得る。

過去60年にわたって構築されたバフェットの運用哲学は、依然として現代の市場不安下で有効と考えられる。実績と配当安定性を兼ね備えた企業に資金を再配置する動きは、単なる守りではなく、持続的成長を視野に入れた戦略的選択と捉えるべきであろう。

株式市場の揺らぎとバフェットの保有銘柄が示す防衛的強さ

2025年4月の市場下落を受けて、一部のアナリストが再び底値を試す展開を警戒するなか、安定志向の投資家はウォーレン・バフェットの保有銘柄に再注目している。バークシャー・ハサウェイが多額を投じる4銘柄は、いずれも配当の安定性と事業の堅牢性を備えており、市場の変動にも強い耐性を示す。たとえば、バンク・オブ・アメリカは2025年Q1において堅調な収益を記録し、依然として同社ポートフォリオの10.3%を占めている。

また、1892年創業のコカ・コーラは世界200カ国以上に浸透し、日々19億回以上消費される飲料ブランドとして高いブランド価値を維持している。クラフト・ハインツやクローガーといった生活密着型企業も含まれており、生活必需品分野への分散が市場リスクを抑制している点が評価されている。いずれの企業も長期的な配当維持とブランド優位性を背景に、投資の安全地帯として信頼を集めている。

市場が不安定さを増す局面では、流動性や瞬発力よりも安定収益と実績に裏打ちされた銘柄選定が鍵となる。バフェットの投資哲学が支持を集め続ける背景には、この一貫した姿勢があると見てよいだろう。

60年の集大成としてのポートフォリオ設計とバフェット後継体制への評価

バークシャー・ハサウェイの舵取りを1965年から担ってきたウォーレン・バフェットが、2025年末にCEOを退く意向を明らかにしたことで、同社の経営体制に対する関心が高まっている。後任にはグレッグ・アベルが指名されているが、長年にわたり副会長として事業運営に関わってきた実績から、経営路線に大きな変化はないとの見方が有力である。

バフェットは企業価値と持続可能な配当収入に重きを置く長期的視点を貫き、特に安定的な収益を生み出す生活関連銘柄への集中投資を行ってきた。彼のポートフォリオ構築には一貫性があり、その根幹にある「理解できるビジネスへの投資」「経済的堀を持つ企業の選定」という原則は、後継者にも継承される可能性が高い。

市場はCEO交代に敏感に反応する傾向があるが、バークシャーの場合、組織全体にバフェットの思想が浸透していることから、運用スタイルが急変する可能性は低いと考えられる。この継続性が、同社の保有銘柄への信頼感をいっそう高めている。バフェットの引退は象徴的な節目ではあるが、その投資哲学と選定眼は依然として市場参加者の羅針盤として機能し続けている。

Source: 24/7 Wall St.