サムスンが開発中とされる三つ折りスマートフォン「Galaxy G Fold」は、9.96インチの大型ディスプレイを展開可能な構造を持ち、価格は最大3,500ドルに達する可能性があるという。折りたたみ時は6.49インチの外部画面を備え、Galaxy Z Fold 6よりもさらに高価なハイエンドモデルとして位置づけられている。

発売は2025年第3四半期と見られ、生産台数は30万台程度に限定される見通しで、販売地域は韓国と中国の2か国に限られると報じられている。米国では展開予定がなく、現地での需要次第で将来的な展開が検討される可能性もあるが、発売初期は海外からの輸入に頼らざるを得ない状況となりそうだ。

韓国と中国の2市場限定で展開されるG Foldの販売戦略

サムスンは新型三つ折り端末「Galaxy G Fold」の初期展開を韓国と中国のみに絞る方針を示しており、この販売戦略は高額デバイス特有の需要と供給のバランスを反映している。G Foldは広げると9.96インチというタブレット級の画面サイズを誇り、価格も3,000〜3,500ドルとされていることから、需要が限られる市場に的を絞ることで、リスクを抑えたローンチが試みられている。特にフレキシブルOLEDパネルの歩留まりの低さとコストの高さが、生産数を抑制する要因となっており、初回の製造数はわずか30万台にとどまる見込みである。

Galaxy Z Fold/Flipシリーズのようにグローバル展開される製品とは異なり、G Foldは新機軸の製品であるため、確実な売れ筋とは言い難い。そのため、まずは市場規模が大きく技術革新に関心の高い韓国と中国に限定し、評価を見極めたうえで他国展開を検討するというのが現実的な判断であろう。なお、アメリカ市場では当面の間正式販売は予定されていないとされ、関心層は輸入手段に頼らざるを得ない状況となりそうだ。

高価格化が進む折りたたみスマホ市場とG Foldの位置づけ

サムスンのG Foldは、現行のGalaxy Z Fold 6(約2,000ドル)を上回る価格帯で展開される見通しであり、折りたたみスマートフォン市場の中でも最上位モデルに位置づけられる。二重のヒンジを備えた三つ折り機構によって10インチ近いディスプレイサイズを実現しており、従来の折りたたみ端末よりもさらに高度な技術を採用していることが価格に反映されている。Huaweiが既に「Mate XT Ultimate」を2,800ドルで発売している例を見ても、この分野での競争は確実に高価格帯へと移行している。

ただし、こうした超高価格モデルが一般層に広く受け入れられるかは未知数である。特にZ Foldシリーズですら市場シェアは全体の5%未満とされており、G Foldがそれを上回るニーズを獲得するには、単なるスペックの高さだけでなく、実用面での新たな価値提案が求められる。加えて、3,500ドルという価格はノートPCやハイエンドタブレットをも上回る水準であり、スマートフォンとしての用途を超えた「モバイルコンピューティング端末」としての存在意義が試されることになるだろう。

Source:TechSpot