ウォール街のアナリストが注視するLantronixとCeragon Networksの2銘柄は、IoTと5Gという成長市場を背景に、現在の低迷から一転して大幅な株価上昇の可能性を秘めている。Lantronixは2024年度に売上と利益で大幅成長を遂げたが、2025年度は減収減益となり、株価も年初来で約46%下落。それでもAI対応ゲートウェイやQualcomm製プロセッサ搭載製品の展開など、エッジコンピューティング分野への積極的投資が続いている。
一方、Ceragon Networksはワイヤレス通信インフラの需要増を背景に2024年に過去12年で最高の売上を記録。米E2Eテクノロジーズの買収を通じ、民間ネットワーク分野での収益拡大を目指している。両社ともに株価は大きく下落しているが、平均目標株価はLantronixが現在比118%、Ceragonが160%の上昇を見込まれ、最高水準ではそれぞれ257%、327%の上昇余地も試算されている。ただし、いずれもペニー株であることから、業績回復の実現性やマクロ環境の影響には慎重な注視が求められる。
Lantronixが直面する構造的逆風と戦略転換の実態

Lantronixは2024年度に前年比22%増の売上高1億6030万ドルを記録し、調整後1株利益も0.40ドルと74%増加するなど好業績を示したが、2025年度に入り失速した。第3四半期には売上が前年同期比で30.8%減の2850万ドル、EPSは0.03ドルへと大きく減少しており、株価も年初来で45.8%下落と厳しい展開である。
この業績低迷の要因として、マクロ経済環境の不透明さに加え、事業リストラの影響が挙げられている。一方で同社はAI対応ゲートウェイや5G機器など、成長が見込まれる分野に対する製品投資を継続している。実際、QualcommのQCS8550を搭載したOpen-Q 8550CS SoMの発表や、Teledyne/FLIRとのAIドローン向けカメラ開発など、新製品の展開が進行中である。
Lantronixに対するウォール街の評価は依然として強気で、5人中4人が「ストロングバイ」、1人が「モデレートバイ」としている。目標株価の平均は4.90ドルで、現在水準から118%の上昇が見込まれているが、実際にそこまで回復するかは不確実性が高い。とりわけ2025年度の利益減少予測は投資家心理に冷や水を浴びせかねず、企業としての信頼回復には成長市場での競争力ある製品提供が求められる。2026年度に収益と利益の回復が予測されているものの、業績反転には外部環境の改善と自社戦略の実効性の両輪が不可欠である。
Ceragon Networksによる事業買収と成長の持続可能性
Ceragon Networksは、2024年に売上高3億9420万ドルを記録し、過去12年で最高の業績を達成した。特にインド市場での需要増加と民間ネットワークへの展開拡大が成長を牽引したが、2025年第1四半期では収益が0.2%増にとどまり、EPSも0.03ドルへと減少した。この成長の鈍化傾向に対して、同社は米国のEnd 2 Endテクノロジーズを買収することで反転を図る構えである。
E2Eはエネルギーおよび公益インフラ向けのシステム統合を専門とし、この買収は2025年に最大1900万ドルの売上貢献をもたらす可能性があるとされている。さらに、ミリ波対応製品「IP-50EX」「IP-50CX」などの革新技術も既に市場投入されており、技術力を軸とした競争優位性を確保しようとしている。
アナリスト5名のうち4名が「ストロングバイ」、残る1名が「モデレートバイ」と評価し、平均目標株価は6.10ドルで現在水準から160%の上昇が見込まれる。10ドルという最高評価では327%もの上昇余地が試算されているが、5Gインフラ拡大の波に乗れるかは同社の事業執行能力次第である。
市場拡張が続く一方で、価格競争や規制面のリスクも存在するため、持続的成長には買収効果の確実な吸収と、開発技術の継続的革新が必要不可欠である。今後は2025年度下半期の業績推移が重要な試金石となる。
Source:Barchart.com