NVIDIAが5月28日に発表予定の2026年度第1四半期決算において、売上高予想は432億ドルまで引き上げられ、粗利益率およびフリーキャッシュフロー(FCF)マージンへの注目が高まっている。FCFマージンが前四半期並みの39.5%以上を維持すれば、株価の理論上昇余地は最大23%と試算され、アナリストの平均目標株価である162.77ドルに近づく可能性がある。一方、設備投資比率の上昇がFCFの圧迫要因となる可能性も残されており、決算結果次第で市場の評価が大きく変動する局面となる。
売上高予測と粗利益率が市場評価を左右する決算の注目点

NVIDIAが5月28日に発表を予定している2026年度第1四半期決算では、売上高予測が432億ドルに引き上げられており、前回提示されたガイダンス上限の438.6億ドルに接近している。アナリストたちは売上の上振れを前提に目標株価を設定しており、粗利益率が前四半期の73.5%や前年同期の78.4%にどれだけ近づけるかが、投資家心理に強い影響を及ぼす。経営陣が前回掲げた粗利益率のガイドは70.6〜71.0%であり、これを超過できるかどうかが、短期的な株価の反応における重要な判断材料とされている。
粗利益率が高水準を維持できれば、AI半導体需要の堅調さと価格支配力の証左となり、長期的な収益構造の信頼感を裏付ける。売上予想がガイダンスを上回る場合は、年率15.38%の成長というアナリスト予測に現実味が増し、業績の持続的な拡大を評価する向きが強まる。一方、粗利益率が70%を下回れば、価格競争やコスト増の兆候と受け取られかねず、期待値の後退による株価調整も想定される。収益の質を測る両指標が、今回の決算を通じて市場の評価軸となる構図である。
FCFマージンと設備投資比率に見る資本効率の攻防
2025年度第4四半期においてNVIDIAは売上高393.3億ドルから151.9億ドルのフリーキャッシュフロー(FCF)を生み出し、FCFマージンは39.5%に達した。この高水準のFCFマージンはAI半導体への需要増に支えられているが、同時に設備投資の増加がマージン圧迫要因として顕在化している。実際、2025年1月期には売上高比2.79%に達する11億ドル超の投資が行われており、前年同期の1.85%と比較して急増している点は見過ごせない。
今期においても投資水準がこの傾向を維持する場合、FCFマージンは40%を下回る可能性があり、収益の持続可能性に対する市場の警戒感を誘発しかねない。一方で、仮にマージンが維持されれば、収益性と投資効率の両立を成し遂げたことになり、企業価値の評価は一段と高まる。予測ベースの試算では、FCF利回り2.0%を前提とした理論時価総額が3兆9380億ドルに達する可能性も提示されており、株価は現在水準から23%の上昇余地を有する構造となる。
設備投資の質と規模、そしてそれがFCF創出にどう連動するかは、NVIDIAの成長戦略における資本効率の成否を見極めるための中核的な指標である。決算におけるこのバランスの提示は、単なる数値ではなく経営姿勢のシグナルとして市場に受け取られることとなろう。
Source:Barchart