MSIのGaming Trio RTX 5090に同梱された黄色い先端付きアダプタが黒焦げになった事例が、Reddit上で報告された。ATX 3.1準拠のCorsair HX1500i電源と組み合わせ、約2か月使用された構成で、GPU自体は無傷で動作も確認されたが、コネクタは12V端子に沿って焼損していた。

RTX 30世代まで搭載されていた電流の検出・分散機構がRTX 40および50世代では省略されており、電力集中による過負荷リスクが構造的に増大していると見られる。今回の事例も、1ピンに対する異常な電流集中の可能性が排除できず、今後も同様の事故が発生するおそれがある。

繰り返されるRTX 5090のコネクタ焼損 MSIアダプタと電源構成の共通点に注目集まる

MSIのGaming Trio RTX 5090とCorsairのHX1500i電源を組み合わせた構成において、再び16ピン電源コネクタの焦げ付きが報告された。Reddit上に投稿された今回の事例では、GPU本体には損傷が見られなかったものの、黄色い先端付き4x 8ピン to 16ピンアダプタが12Vライン沿いに著しく焼損しており、その損傷具合から外観の判別が困難なほどであった。ケーブルが完全に挿入されていたかどうかの確認は取れていないものの、同様の構成によるトラブル報告が複数存在することから、アダプタと12VHPWRコネクタの相性や設計上の問題が再燃している。

事実として、RTX 5090には電力供給用の12V-2×6規格が採用されており、高出力化が進む一方で、従来の保護機構が省略された影響が指摘されている。特にこの事例では、GPUへの電力供給にネイティブな16ピンではなくアダプタを使用していた点が焦点となっており、接続の確実性が劣る構成が安全性を損なうリスクを含む。個別のユーザーによる取り扱いの問題を超えて、特定のアダプタ設計そのものが焼損事故の引き金となる可能性は否定できない。

RTX 50シリーズにおける設計変更が引き起こす電流過負荷の構造的リスク

RTX 5090を含む最新世代のNVIDIA GPUにおいては、電源入力の設計に構造的な変化が導入されている。RTX 30シリーズまで搭載されていたシャント抵抗による電流分散機構がRTX 40および50シリーズでは省略されており、12VHPWRコネクタからの全電流が単一の経路に集約される設計となっている。これにより、例えば6本あるピンのうち5本が不完全に接続されていた場合でもGPU側が異常を検知できず、最大500W(41.6A)の電流が1本のピンに集中する可能性が生じる。

この仕様変更は、利便性やコスト効率を考慮した設計と考えられるが、電気的保護機能の欠如によって発火や焼損といった物理的障害のリスクを高めている。事実、今回報告されたようにピンが焦げる現象が頻発していることは、その危険性が現実化している証左である。一方、AsusのAstralシリーズのようにピン単位で電流監視を実装した設計も存在し、同様の事故を未然に防ぐ方向性も示唆されている。電力集中の構造的課題を踏まえた設計判断が次世代GPUの安全性を大きく左右する局面にある。

Source:Tom’s Hardware