Nvidiaの次世代GPU「RTX 5090」をめぐり、電源ケーブルのコネクターが溶解する事例が再び報告された。今回注目を集めているのは、MSIが「正しく接続されれば黄色が見えなくなる」として設計した12V-2×6対応ケーブルを使用していた点である。この仕様は安全性の確保を謳っていたが、ユーザー投稿によればそれでも過熱は防げなかったという。
電源はCorsair製1500Wユニットであり、電力不足の兆候は見られなかった。過去にも同様の設計のケーブルによる事故が報告されており、Redditではコネクター付近の急角度なケーブルの折れ曲がりが原因ではないかとの指摘が出ている。RTX 5090はサイズや熱設計の面でも取り扱いが難しく、物理的制約による事故の再発リスクがくすぶっている。
MSI製ケーブルの安全機構が機能せず RTX 5090で再発したコネクター溶解事故の実態

RTX 5090に関する最新の報告で、MSIが提供する黄色チップ付き12V-2×6電源ケーブルのコネクターが再び溶解した。注目されるのは、このケーブルが「黄色部分が見えなければ完全に接続されている」とされる誤接続防止機構を備えていた点である。被害を報告したRedditユーザーVersauteGurkeは、モニターの表示異常から問題に気づき、最終的にコネクターの部分的な損傷を発見した。
使用していた電源はCorsair HX1500iで、出力面に不足は見られなかったという。RTX 5090本体には深刻なダメージは確認されなかったものの、今年4月にも類似したMSI製ケーブルを用いた事故が発生していた事実は軽視できない。いずれもATX 3.1準拠の高出力電源が使用されており、システム設計に起因する根本的な脆弱性の存在が示唆される。MSIは公式にこのケーブルの安全性をPRしてきたが、その設計思想が現場で実効性を発揮しているとは言い難い状況である。
ケーブルの取り回しと物理的制約が事故誘発の一因か ユーザー環境が構造的問題を浮き彫りに
Redditスレッドでは、今回のコネクター溶解について「ユーザーの誤接続ではないか」との議論が交わされた一方、GPU近接部でケーブルが急角度に折れ曲がっていたことを問題視する声も上がった。特に、巨大なRTX 5090を小型のPCケースに収める場合、規定の曲げ半径を維持することは困難であるとの意見が散見される。
12VHPWRコネクターは高出力かつ高密度な設計であるがゆえに、熱集中が発生しやすく、かつコネクター部へのストレスが蓄積しやすい。実際、確認済みだけでもRTX 5000シリーズで同様の溶解事例が6件、未確認を含めればさらに多数が推定されている。物理的な制限が安全性に影響を及ぼす点において、製品そのものの性能ではなく、構成環境との整合性がより重要であることが浮き彫りとなった。ユーザー側に配慮を求めるだけでは再発防止には不十分であり、ハードウェア全体としての設計思想が問われる局面である。
Source:TechSpot