Microsoft Edgeの最新バージョン136が公開され、Windows 11と10でCopilot AIの導入が本格化した。新しいタブページにはCopilotを活用した提案プロンプトが表示され、選択に応じて自動的にCopilotに遷移する仕組みが導入されている。また、検索バーやアイコンも従来のBingからCopilotに切り替えられており、AI中心のブラウジングが実現しつつある。

さらに、「Copilotモード」ではタブページの構成が刷新され、履歴や現在のページを参照する新機能「Context Clues」も試験的に展開されている。ただし、これらの機能はすべてオプトイン制であり、ユーザー自身による設定変更が前提となる。

Edge 136に搭載されたCopilot提案機能と検索連携の仕組み

Microsoft Edge 136では、新しいタブページにCopilot AIが初めて本格導入された。検索ボックスに入力を行うと、Copilotによるプロンプトが表示され、選択に応じてCopilotのインターフェースに遷移し、生成済みのクエリを即時実行できるようになっている。これにより、検索体験が従来のBingベースからAI駆動の提案型へと移行しつつある。また、検索アイコン自体もCopilotのロゴに置き換えられ、ユーザーはクリックひとつで「copilot.microsoft.com」にアクセスする仕様となった。これらの変更は、Microsoftが検索の起点をBingからCopilotへと転換し始めたことを示す明確な兆候である。

一方で、今回のAI統合はあくまでも提案形式にとどまっており、従来型の検索体験を完全に上書きするものではない。新たな検索動線は段階的に展開されており、現在もEdge上で確認できない環境が存在する。こうした仕様からは、Microsoftが利用者の反応を慎重に観察しながらCopilotの導入を進めている様子が読み取れる。技術的な刷新だけでなく、利用者の意識変化に寄り添うかたちで検索の進化を試みている姿勢が感じられる。

Copilotモードで広がるAI中心のUI変化とその影響範囲

Edge 136では、設定メニューから「Copilotモード」を有効にすることで、より広範囲なUI変化が体験できる。Copilotモードでは、新しいタブページが「Copilotに着想を得たレイアウト」に置き換わり、MSNやBingの標準構成が非表示となる。この変更により、ブラウザの起点が従来の情報ポータル型から、チャットと検索を統合したインターフェースへと転換される。新たな検索バーはBing.comあるいはCopilot専用ページに誘導され、検索結果の表示形式にも影響が及ぶ可能性がある。

このモードはオプトイン制であり、ユーザーの意図的な選択によって有効化される。つまり、すべての利用者に一律で適用されるものではなく、あくまで自発的な試用が前提となっている。また、設定項目には2つのトグルが存在し、それぞれをオンにする必要があるという手順的な煩雑さもある。これらの設計から、Microsoftは一気に既存UIを刷新するのではなく、実験的な導入を段階的に進めていると考えられる。完全なAI駆動のUIへと移行するための布石として、限定的な変更範囲にとどめているようだ。

コンテキスト手がかり機能が示すプライバシーと利便性の綱引き

Edgeの「Copilotモード」には、「Context Clues(コンテキストの手がかり)」と呼ばれる試験的な機能も含まれている。これは、現在表示しているWebページやブラウザの閲覧履歴、ユーザー設定などの情報を参照し、より的確なCopilotの応答を導き出す可能性があるというものだ。この機能が有効化されると、Copilotが環境文脈に基づいた回答を提示する仕組みが裏で働く。ただし、この機能は明確に手動での有効化が必要であり、既定ではオフの状態となっている。

ブラウザ履歴などの個人情報がどこまでAI応答の根拠として用いられるのかについては、Microsoftは詳細な説明を控えており、あくまで「場合がある」という曖昧な文言にとどまっている。この慎重な言い回しは、プライバシーへの配慮と機能の先進性を両立させたい意図の表れと見られる。Copilotの進化がより高精度の提案を生む一方で、閲覧履歴の解析が利用者に懸念をもたらす余地も否定できない。今後の展開では、利便性と透明性のバランスが鍵を握るだろう。

Source:Windows Latest