InWinは、グラフィックスカード専用に設計された1,650W補助電源ユニット「IW-1650W」を2025年のComputexで初披露した。PCIe 5.1 CEM規格準拠の本製品は、4系統の12V-2×6コネクタを備え、最大4枚のGPUに同時給電可能な構成を実現する。シングルレール設計、90%効率、アクティブPFCといった高性能仕様を有し、GeForce RTX 5080クラスのカードにも対応できる出力性能を確保している。

一方で、本ユニットは単体では動作せず、メイン電源との併用が前提であることから、用途はマイニングリグやワークステーションといった限定的な環境にとどまる可能性がある。最大3,000Wの新型電源が市場に登場しつつある中で、デュアル電源構成の実用性や必要性については冷静な検討が求められる。

グラフィックス専用1650W電源、PCIe 5.1 CEM準拠で最大4基のGPUに対応

InWinが開発したIW-1650Wは、グラフィックスカード専用に設計された1,650Wの補助電源ユニットであり、PCIe 5.1 CEM仕様に準拠して4基の12V-2×6電源コネクタを装備している。これは最大4枚の高性能GPUに電力を供給できる構成で、単体では動作せずメイン電源との併用が前提となる。

モジュラー式で不要なケーブルの取り外しが可能であり、冷却機構としては13.5cmのアクティブファンを搭載し、最大90%の電力効率と0.99のアクティブPFCが実現されている。さらにシングルレール設計により、安定した電圧供給が確保される構成となっている。

この電源は2025年のComputexにて正式に初披露され、現時点で発売日や価格は未公表であるが、構造的にはRTX 5080クラスのカード4枚に対応できるスペックを備える。ただし、80 PlusやETA認証が未取得である点は消費者の選択に一定の影響を与える要素となりうる。

加えて、カード1枚あたり412.5Wの供給可能な構成は理論値であり、実際の運用では冷却、消費電力、他コンポーネントとの整合性など多角的な調整が求められる。特定用途における有効性を前提とした設計であることは明白である。

専用補助電源の実用性、暗号資産用途とプロフェッショナル向け市場に限定か

IW-1650Wは単体では動作せず、メインユニットと組み合わせて使用する補助電源である。そのため、導入にはデュアルまたはトリプル電源対応のPCケースが必要となり、用途は自然と限定される。Nvidia SLIやAMD CrossFireなどのマルチGPU構成が一般市場で姿を消しつつあるなか、本製品のターゲットはハイエンドのプロフェッショナルユーザーや暗号資産のマイニング環境に絞られると見られる。特に、マイニングリグでは複数GPUによる電力負荷に耐える構成が求められるため、IW-1650Wの仕様はそれに合致する。

一方、最大3,000Wの新型単体電源が登場する中で、わざわざ補助電源を加える構成はコスト、効率、筐体設計の面で不利に働く可能性がある。たとえば、IW-1650Wを2,000Wのメインユニットと併用する構成であっても、3,000Wクラスの統合電源1基で代替できるケースが多い。

ゆえに本製品は、消費電力管理を個別に行う必要がある一部専門環境に特化した存在となり、一般用途においては導入の合理性に疑問が残る。導入を検討する層は、性能の最大活用だけでなく、筐体構成と長期運用の安定性を総合的に判断する必要がある。

Source:Tom’s Hardware