米Citigroup傘下のポーランド法人「Citi Handlowy」が、消費者金融部門を現地銀行VeloBankへ売却する方針を発表した。法人金融は対象外とし、法人事業には引き続き投資する構えである。
この売却は2026年半ばの完了を予定しており、Citiが進める国際的な個人向け金融事業の撤退方針に沿う形となっている。メキシコのBanamexもIPOを準備中で、グローバル事業の再編が着実に進行している。
Citiはインドネシアやベトナムなどアジア諸国での消費者部門撤退も完了済みで、法人重視の戦略へと明確に転換している。企業ネットワークの最適化を図る中、今回の売却もその一環として捉えるべき動きといえる。
Citiがポーランドで消費者金融事業をVeloBankへ売却へ

Citigroup傘下のCiti Handlowyは、ポーランドにおける個人向け金融事業をVeloBankへ譲渡する方針を明らかにした。2026年半ばの完了を目指し、通常の承認手続きを経て売却が実施される予定である。今回の売却には法人向け事業は含まれておらず、Citi Handlowyは今後も法人セグメントへの投資を継続する方針を示している。Citiの国際部門責任者エルネスト・トーレス・カントゥ氏は、この売却がグローバルネットワークとの連携を強化する一手であると述べており、経営資源の集中と簡素化が進められていることがうかがえる。
この売却は、Citiが世界各地で進めている個人向け事業の整理戦略の延長線上に位置づけられる。すでに東南アジア諸国では同様の撤退が完了しており、ポーランドの取引もその一環と見られる。背景には、収益性は高いものの、戦略的優先度が低い事業にリソースを割くよりも、中核事業に集中する姿勢があると考えられる。個人金融の売却により、Citiは組織のスリム化と重点領域への資源再配分を図る流れを継続している。
BanamexのIPO準備とグローバル戦略の変遷
Citiが現在進めている国際戦略の中で、最後に残された主要な個人金融事業がメキシコのGrupo Financiero Banamexである。同社は2023年5月にIPO方針を正式に表明し、二重選択肢のひとつであった売却案を排除したうえで、上場に一本化した。CEOのジェーン・フレーザー氏はこの決定を「価値最大化と簡素化に資する最適な道」と表現しており、組織戦略の明確化が進行していることが見て取れる。
Banamexはメキシコ市場における主要金融ブランドであり、そのIPOはCitiの構造改革の集大成とも位置づけられる。背景には、規制や政治的影響を回避しつつ、資本回収を実現したいという意図もあると考えられる。なお、2022年にCitiはメキシコ市場からの個人向け撤退を発表し、その後Banamexの処遇が注目されていた。今回の上場準備は、法人重視への転換と資産軽量化を同時に実現する手段として注目される動きである。
Citiが長期的に見据えるのは、グローバルな法人顧客との接点強化であり、個人向け事業の再編成はその前提条件といえる。今後も同様の方針に基づき、地域別に最適化されたリソース配分が継続される可能性が高い。
Source:PYMNTS