iPhone 16 Pro MaxとGalaxy S25 Ultraを併用する中で、Androidにおける最大の課題が浮き彫りになった。それは、SamsungのOne UIによる独自アプリとGoogle純正アプリの機能重複である。例えば、Samsung GalleryとGoogle Photos、Samsung WalletとGoogle Walletが共存し、ユーザーに混乱をもたらしている。中でもWalletアプリの分散は招待状の確認というシンプルな操作すら煩雑にする。対してiPhoneでは、統一されたシステムアプリがスムーズな操作を提供し、OS体験の質を高めている。

このような重複の存在は「多様性」として歓迎する意見もあるが、Android全体の設計思想とSamsung独自機能のバランスには見直しの余地がある。特にGalaxy S25 Ultraのようなプレミアム機で求められるのは、性能だけでなく体験の一貫性であるはずだ。

One UIとGoogleアプリの重複がもたらす体験の分断

Samsung Galaxy S25 Ultraは、Android 15とOne UI 7を搭載し、視覚的にも機能面でも洗練されたユーザー体験を提供している。しかしその一方で、GoogleとSamsungが提供するアプリが数多く重複しており、操作上の混乱を引き起こす場面がある。代表的なのが「Gallery」と「Google Photos」、「Samsung Wallet」と「Google Wallet」などで、似た機能を持つアプリが並存し、どちらを使えば良いか直感的に判断しづらいケースが増えている。とくにSamsungのAI搭載機能を含むGalleryは魅力的である一方、Google Photosの検索機能には劣っており、用途によって使い分けを強いられる設計は一貫性を欠く。

このような状態は、SamsungがGoogleのエコシステムに依存しつつも、自社のエコシステム拡張を目指していることに起因している。だが、すべてのアプリを統合的に管理する仕組みが欠如しているため、最終的にはユーザーがその煩雑さを被る形となっている。iPhoneのように1つの標準アプリに絞られた構成に比べると、Android機は「選択肢の豊富さ」が裏目に出る場面もある。スマートフォンの進化がハードウェアからソフトウェア体験へとシフトする中で、このアプリの二重構造は今後のOne UIの課題といえる。

プラットフォームの一貫性がもたらす操作性の差異

iPhoneにおける操作体験の核は、Appleがソフトとハードを一体的に設計している点にある。Apple Walletのような機能も、メールに届いたリンクをタップするだけでシームレスに動作し、ユーザーに混乱を与えない。一方、Galaxy S25 Ultraでは「Wallet」関連のアプリが複数存在し、同じメールのリンクを開こうとすると、Googleログイン画面に飛ばされる、あるいは目的のアプリがプリインストールされていないといった状況に直面することがある。これは、Samsung Wallet、Google Pay、Google Walletがそれぞれ異なる目的と背景で存在しているためであり、結果的に操作の一貫性が損なわれている。

このような環境では、ユーザーがどのアプリを使うべきかを逐一判断する必要があり、瞬時の決定が求められるスマートフォン操作においては致命的な障害となり得る。アプリ名やアイコンが類似しているため視覚的な識別も難しく、誤って異なるアプリを立ち上げてしまうといったリスクも発生する。Androidプラットフォームが提供する多様性は一定の価値を持つが、それが「迷い」や「手間」として現れるのであれば、使いやすさに直結しない。Samsungが本当の意味でOne UIを「一つのUI」に近づけるには、独自性と共存する共通基盤の再設計が必要になる。

Source:TechRadar