Microsoftが、すでに廃止予定のWindows 11バージョン22H2および23H2向けに新たな機能アップデートを配信した。23H2は2025年11月、22H2は2024年10月にサポート終了予定である中、Copilot起動用の「Win + C」ショートカットや、設定画面にFAQセクションが追加された。さらに、ファイル共有操作を簡素化する新UIも導入されている。
これらの変更は従来の非セキュリティ領域に踏み込んだ例であり、旧バージョン利用者への利便性向上が意図されたものとみられる。Microsoftが新機能提供に強い意志を示す姿勢は、過去にWindows 7や8.1にEdgeを提供した例と重なる。
サポート終了目前の22H2と23H2にCopilotを追加する異例の判断

Microsoftは、通常新機能の提供対象から外れる22H2と23H2に対して、Copilot起動用の「Win + C」ショートカットを導入した。この2バージョンはそれぞれ2024年10月と2025年11月11日にサポート終了を予定しており、本来であれば機能拡張よりもセキュリティ対応が優先される段階である。だが今回は例外的に、今後のWindows体験を象徴するAIアシスタント「Copilot」への導線強化が行われた。この変更は、旧バージョンを使用中のPCでも次世代機能に触れさせる意図とみられ、MicrosoftのCopilot普及戦略の一環と位置づけられる。
このような対応は過去にも例があり、Chromium版Microsoft EdgeをWindows 7や8.1にも展開した際の方針と一致する。サポート対象外の環境にも自社製品を積極的に配布する姿勢は、特定のツールやサービスにユーザーを巻き込む長期的なビジョンに基づいている可能性がある。今回のような非通常的なアップデートが行われる背景には、単なる親切心ではなく、将来的な製品群への移行を自然に促す導線設計が透けて見える。
新たなFAQセクションと共有機能UIの刷新がもたらす実用性
今回のアップデートでは、「設定」>「システム」>「バージョン情報」に新たなFAQセクションが追加された。この機能は、OS操作に関するよくある質問に簡潔に答えるものであり、サポートページにアクセスすることなく基本的な疑問を解決できるよう設計されている。また、ファイル共有操作にも新たなインターフェースが追加され、エクスプローラーやデスクトップからファイルをドラッグすると、画面上部に推奨アプリを表示する新しい共有トレイが出現するようになった。これにより、目的のアプリでの操作がより直感的に行えるようになる。
この種の細やかな改善は、派手な新機能ではないものの、日常的な操作のストレスを減らすという点で重要である。特にWindows環境に不慣れなユーザーにとって、FAQの存在はトラブル時の初期対応を自力で行うきっかけとなり得る。一方で共有UIの刷新は、従来の複雑な共有オプション選択を簡略化し、タスクの効率化を支援する狙いがあると考えられる。大幅な仕様変更を避けつつ、使用感を改善していくこの姿勢は、既存環境に配慮しつつUX向上を図る現実的なアプローチといえる。
Source:How-To Geek