Meta Platforms(NASDAQ:META)の株価は直近1か月で16%超上昇し、米中関係改善や欧州関税延期に伴う市場心理の改善が後押しとなっている。広告収益の回復期待に加え、34億人以上のアクティブユーザーによるプラットフォームの高い関与度と、AI技術を活用した広告最適化が成長を支えている。

ウォール街では、同社の健全なファンダメンタルズと積極的なAI導入が業績の持続的拡大をもたらすと見られており、最大で49%の株価上昇余地を予測する声もある。Ray-Banスマートグラスなどの新製品やThreadsといった新興プラットフォームの収益化も進行中であり、Metaは次なる成長段階に踏み出しつつある。

広告収益とAI導入がもたらすMetaの成長構造

Meta Platformsの成長基盤は、デジタル広告市場の回復と、同社が推進するAI技術の活用によって強化されている。2025年3月時点での「Family Daily Active People(DAP)」は34.3億人に達し、前年比6%の伸びを記録した。この膨大なユーザーベースは、Metaのプラットフォームにおける継続的な関与と広告価値の源泉である。特にFacebookおよびInstagramでは、動画視聴時間が前年同期比で二桁成長しており、AIを用いたコンテンツ推薦システムの改善が影響している。

Metaは大規模言語モデル(LLM)を活用することで、ユーザーの嗜好や行動をより深く理解し、広告表示やコンテンツ推薦の精度を高めている。これにより、コンバージョン率の上昇や広告単価の向上が実現されており、収益構造に直接的な貢献を果たしている。また、AI駆動型の「Generative Ads Recommendation」や「Advantage+」といった新たな広告ツールも整備され、広告主に対しては費用対効果の向上を、プラットフォーム側には広告在庫の最適化をもたらしている。

これらの要素が複合的に作用し、Metaの収益性と成長力を下支えしている構図が浮き彫りとなる。ただし、広告依存という構造的課題は依然として存在するため、AIの導入による効率化が継続的な成果につながるかは中期的な検証が求められる。

ウェアラブル分野と新興サービスが示す収益多角化の兆し

Metaは、Ray-Ban MetaスマートグラスやThreadsなどの新領域への取り組みにより、広告一本足の事業構造からの脱却を図っている。Ray-Ban Metaの月間アクティブユーザー数は1年で4倍に拡大し、音声コマンドやリアルタイム翻訳といった革新的機能により、国際的なユーザー層の獲得を促進している。こうしたウェアラブル機器は、ユーザー体験を深化させるだけでなく、将来的なプラットフォーム化や新たな収益モデルへの展開も視野に入る。

一方、テキスト中心のSNSであるThreadsでは、広告の段階的導入が始まりつつあり、長期的なマネタイズ計画の一環として注目される。現在は広告収益への寄与は限定的とされているものの、ユーザー基盤と利用時間の拡大が進めば、Instagramとの連携やAI広告技術との統合によって、潜在的な広告市場としての価値が高まる可能性がある。

このように、Metaは既存のSNSプラットフォームに加えて、ウェアラブル機器と新興アプリという二方向から事業領域の拡張を進めている。しかし、これらが本格的な収益源に育つためには、ユーザーの長期定着と機能面での差別化が不可欠であり、依然として試験的段階にあると位置付けるべきである。

Source:Barchart.com