航海の歴史は、人類の文明とともに発展し続けてきました。我々が目にする豪華なクルーズ船から巨大なコンテナ船、高度に技術的な軍艦まで、これらすべての船舶は、世界中の造船会社の技術と努力の産物です。造船業界は、世界経済の成長とともに絶えず進化し続け、その競争はますます激化しています。今回、我々は2023年の最新版、世界の造船会社ランキング時価総額TOP58を皆さまにご紹介します。本ランキングは、各社の財務情報に基づき、時価総額によって決定されています。さて、どの企業が頂点を極め、どの企業が急速に上昇しているのでしょうか?それとも、新たな進化を遂げた企業はあるのでしょうか?

世界の造船会社ランキング:時価総額TOP58

下記の世界の造船会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 国別集中度:中国、シンガポール、大韓民国が特に多くの企業をランキング内に持っています。これは、これらの国々が世界的な造船業の中心であることを示しています。

  • 米国企業の巨大さ:ランキングの1位であるGeneral Dynamics Corpがその時価総額で他の企業を大きく上回っています。これはアメリカの企業が防衛産業において世界的に大きな影響力を持っていることを示しています。

  • 時価総額の分布:ランキング上位の企業と下位の企業との間で時価総額の大きな差があります。特に、最上位の企業の時価総額は最下位の企業のそれと比較して大きく、企業の規模と業界内での影響力に大きな格差が存在することを示しています。

  • 日本企業のランキング:日本企業の名村造船所と内海造船がランキング内に存在しますが、彼らの時価総額は比較的低く、ランキングも下位に位置しています。これは、日本の造船業が国際的な競争に直面している可能性を示唆しています。

  • シンガポール企業の存在:シンガポールからの企業が多数ランキングに名を連ねています。これはシンガポールが国際的な海運ハブであり、造船業が盛んであることを示しています。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:General Dynamics Corp(アメリカ)

アメリカの防衛業界における最大手の一つで、航空宇宙、戦闘車両、海洋システム、ITサービスなどを提供しています。
高度な技術力と実績、そして安定したアメリカ政府からの注文が基盤となっており、その結果、高い収益性と安定した成長を達成しています。

2位:China CSSC Holdings Ltd(中国)

中国最大の造船会社で、商用船舶から軍艦まで、幅広い船舶の設計、建造、修理を手掛けています。
中国の経済発展に伴い、国内外の商用船舶需要が増加。これにより、売上と利益が増加しています。

3位:China Shipbuilding Industry Corp(中国)

CSSCと同じく中国の大手造船会社で、船舶の設計から建造、修理までを手掛けています。
中国の海洋開発政策と国内外の需要増加により、安定的な成長を続けています。

4位:Keppel Corp Ltd(シンガポール)

船舶建造、オフショア・マリンサービス、資源開発など、多角的なビジネスを展開しているシンガポールの大手企業。
広範なビジネスポートフォリオと堅実な運営により、安定した利益を確保。特に、オフショア・マリン事業では世界をリードしています。

5位:Singapore Technologies Engineering Ltd(シンガポール)

ST Engineeringはシンガポールを拠点とする多国籍エンジニアリンググループで、その海洋部門は、造船、艦船設計、海洋エンジニアリングサービスなどを提供しています。
ST Engineeringは、特に防衛とセキュリティ分野における技術力で広く認識されており、軍艦や特殊船舶の製造に優れた経験と能力を持っています。その優れた技術力と、幅広い事業領域のシナジーが評価され、高い時価総額を維持しています。

【世界の造船会社ランキング:時価総額TOP58リスト】

※対象となる造船会社として「上場企業」かつ「造船業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年6月26日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1General Dynamics Corpアメリカ2022/1277,319
2China CSSC Holdings Ltd中国2022/1227,506
3China Shipbuilding Industry Corp中国2022/1220,505
4Keppel Corp Ltdシンガポール2022/1211,556
5Singapore Technologies Engineering Ltdシンガポール2022/1211,117
6Sembcorp Industries Ltdシンガポール2022/129,539
7HD Korea Shipbuilding & Offshore Engineering大韓民国2022/128,766
8Hanwha Ocean大韓民国2022/128,733
9Seatrium Ltdシンガポール2022/128,424
10CSSC Offshore & Marine Engineering (Group) Co Ltd中国2022/128,036
11Samsung Heavy Industries Co Ltd大韓民国2022/126,091
12Yangzijiang Shipbuilding (Holdings) Ltd中国2022/125,169
13Jiangsu Guoxin Corp Ltd中国2022/125,010
14HD Hyundai大韓民国2022/124,719
15Seatrium Ltdシンガポール2022/124,278
16Mazagon Dock Shipbuilders Ltdインド2023/034,066
17Hyundai Mipo Dockyard Co Ltd大韓民国2022/123,522
18SBM Offshore NVオランダ2022/123,225
19Bestway Marine & Energy Technology Co Ltd中国2022/121,623
20YaGuang Technology Group Co Ltd中国2022/121,361
21Cochin Shipyard Ltdインド2023/031,262
22Fincantieri SpAイタリア2022/121,247
23Garden Reach Shipbuilders & Engineers Ltdインド2023/031,085
24CSBC Corporation, Taiwan台湾2022/12980
25Austal Ltdオーストラリア2022/06824
26MasterCraft Boat Holdings Incアメリカ2022/06688
27名村造船所日本2023/03378
28Coastal Contracts Bhdマレーシア2022/06366
29HJ Shipbuilding & Construction Co Ltd大韓民国2022/12354
30Malaysia Marine and Heavy Engineering Holdings Bhdマレーシア2022/12252
31Shin Yang Shipping Corp Bhdマレーシア2022/06226
32STX Heavy Industries Co Ltd大韓民国2022/12215
33Marco Polo Marine Ltdシンガポール2022/09205
34Penguin International Ltdシンガポール2022/12180
35Endur ASAノルウェー2022/12174
36Muhibbah Engineering (M) Bhdマレーシア2022/12137
37Vyborg Shipyard PJSCロシア連邦2021/12107
38Nekkar ASAノルウェー2022/1287
39Philly Shipyard ASAノルウェー2022/1259
40Grand Banks Yachts Ltdシンガポール2022/0656
41China Huarong Energy Co Ltd香港2022/1240
42内海造船日本2023/0337
43ASL Marine Holdings Ltdシンガポール2022/0636
44Nam Cheong Ltdシンガポール2022/1230
45Eqva ASAノルウェー2022/1228
46Reliance Naval and Engineering Ltdインド2022/0326
47Boustead Heavy Industries Corp Bhdマレーシア2022/1225
48Asian Marine Services PCLタイ2022/1215
49Colombo Dockyard PLCスリランカ2022/1215
50Beng Kuang Marine Ltdシンガポール2022/1214
51Sealink International Bhdマレーシア2022/1213
52TAS Offshore Bhdマレーシア2022/0510
53Keppel Philippines Holdings Incフィリピン2022/128
54Hariyana Ship Breakers Ltdインド2023/038
55China Ocean Industry Group Ltd香港2021/128
56ES Group (Holdings) Ltdシンガポール2022/126
57OSX Brasil SAブラジル2022/124
58Laxmipati Engineering Works Ltdインド2023/033

世界の造船会社ランキングの有用性

世界の造船会社ランキングは、業界の動向を理解し、企業や投資家が戦略的な意思決定を行うための重要なツールです。以下に、その有用性を詳しく考察します。

  • 業界のトレンド理解: ランキングは造船業界全体のトレンドや競争状況を理解するための一つの手段です。各企業の規模や国籍から、その地域の造船産業の規模や強さを把握することができます。

  • 競争分析: 各企業の順位や時価総額を見ることで、どの企業が競争優位性を持っているか、またどの企業が挑戦的な状況にあるかを理解することができます。これにより、企業間での競争力を評価し、戦略的な決定を下すための情報が得られます。

  • 投資判断の指標: 投資家にとって、ランキングは投資判断の一つの指標となります。時価総額や業界内での順位は、投資のリスクとリターンを評価するための重要な情報を提供します。

  • ビジネス展開の参考: 企業が新規事業を展開する場合や、ビジネスを拡大する場合に、ランキングは参考情報となります。どの地域のどの企業が強いかを理解することで、その地域への進出や、パートナーシップの可能性を探ることができます。

  • 業界の成長・衰退の指標: ランキングは業界全体の成長や衰退を示す指標となります。特定の企業や地域がランキング上で上昇または下降している場合、それはその地域や企業の業績が上昇または下降している可能性を示しています。

これらの情報は全て、企業や投資家が戦略的な意思決定を行うための重要な情報となります。ただし、ランキングは一部の指標を反映しているだけであり、企業の全体像を理解するためには、業績、財務状況、事業戦略、経営陣の力量など、多角的な視点からの分析が必要です。

世界の造船会社ランキング:変化を与える要素

世界の造船会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

経済環境

世界経済の状況は造船業界に大きな影響を与えます。例えば、経済が拡大すると、貨物の需要が増え、それに伴い船の需要も増える可能性があります。一方、経済が縮小すると、その逆の効果が現れます。

原油価格

原油価格の変動は、特にタンカーやオフショア関連の造船会社に影響を与えます。原油価格が高騰すると、新たなタンカーやオフショア施設の建造需要が増える可能性があります。

技術革新

造船業界もテクノロジーの影響を受けており、新しい技術が導入されることで、それを活用できる企業がランキングを上昇させる可能性があります。例えば、環境対策技術や自動化、AIを導入した造船会社は、より効率的に船を建造でき、競争力を強化することが可能です。

政策・規制

国際的な海運規制や各国の産業政策もランキングに影響を与えます。たとえば、環境対策の規制強化により、エコフレンドリーな船を製造できる企業が有利になることがあります。また、政府の補助金政策なども国や企業のランキングに影響を及ぼす可能性があります。

需要の変化

貿易のパターン、商品の需要、新たな航路の開設など、海運市場の変化は造船業界の需要を変化させ、ランキングに影響を与えます。例えば、コンテナ船の需要増加や、極地航路の利用拡大に対応できる企業は、ランキングを上昇させる可能性があります。

これらの要素は、ランキングの変動を引き起こす可能性があります。しかし、これらの要素は常に変化し、互いに関連して影響を及ぼすため、業界全体の動向を理解し、それぞれの企業がこれらの要素にどのように対応しているかを把握することが重要です

まとめ

このランキングを通じて、世界の造船業界がどのように変化し発展してきたかを理解することができます。業界は経済環境、技術革新、政策・規制、そして海運市場の需要の変化といった多くの要素に影響を受けています。それぞれの造船会社がこれらの要素にどう対応し、競争に立ち向かうかが、ランキングの上下に大きな影響を及ぼします。

今回のランキングにおけるトップ5の会社は、その多くがこれらの挑戦をうまく乗り越え、業界での優位性を保持していることが明らかです。しかし、ランキングは常に変動するものであり、各企業がこれからどのような戦略を採るか、そして新たな技術や市場の変化にどのように対応するかによって、次のランキングは大きく変わるかもしれません。

航海の歴史はまだまだ続きますし、この興奮と予想不可能な造船業界の動向もまた、これからも続いていくことでしょう。今後も最新の情報をお伝えしていきますので、どうぞお楽しみに!

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