大和ハウス工業は、単なる住宅メーカーの枠を超え、日本の社会変化に応答しながら進化してきた総合インフラ企業である。創業者・石橋信夫氏が掲げた「建築の工業化」の理念は、災害復興から高齢化、環境問題まで、時代の課題を解決する事業を生み出してきた。その精神は現在、「人・街・暮らしの価値共創」という企業理念に受け継がれ、住宅のみならず商業施設、物流、医療、エネルギーまでを包含する多角的ビジネスモデルへと進化している。
同社は創業100周年となる2055年に「売上高10兆円企業」という壮大な目標を掲げている。この挑戦は規模拡大のためではなく、日本経済の構造変化と人口減少を見据え、DX・ESG・グローバル戦略を統合した新たな成長モデルを構築する試みである。北米でのM&A、循環型バリューチェーン、建設DX「メビウスループ」、そしてカーボンニュートラルへの投資。これらが相互に連動し、同社は“住宅から社会をつくる企業”へと変貌を遂げようとしている。今、成熟市場に挑む日本企業の未来像がここにある。
創業理念の進化:「建築の工業化」から「人・街・暮らしの価値共創」へ

大和ハウス工業の原点は、戦後日本の社会課題に真正面から挑んだ「建築の工業化」という理念にある。創業者・石橋信夫氏は、木材不足や台風による住宅倒壊といった時代の問題を解決するため、鋼管を用いた「パイプハウス」を開発し、1955年に同社を設立した。この発想は、当時の常識を覆すものであり、「建築を産業化する」という思想の出発点となった。
同社の歴史は、常に社会の変化を先読みし、課題解決を事業化してきた軌跡である。ベビーブーム期には3時間で建つプレハブ住宅「ミゼットハウス」を発売し、高度成長期には「団地型賃貸住宅」の需要を先取りした。超高齢化社会を見据え「シルバーエイジ研究所」を設立し、近年ではEC拡大に伴い物流施設「DPLシリーズ」を全国展開するなど、時代ごとに新たな社会基盤を構築してきた。
この理念の核心には、「儲かるからやるのではなく、世の中の役に立つからやる」という創業者の信念がある。これは同社の経営思想の根幹であり、短期的利益を追求せず、社会的価値を優先する姿勢として現代の経営にも脈々と受け継がれている。
現在の企業理念「人・街・暮らしの価値共創グループ」は、この精神を現代社会に再解釈したものである。単なるスローガンではなく、住宅、商業施設、物流、医療・介護、再生可能エネルギーなど、多角的な事業を通じて社会全体の価値を高めるビジョンである。
この理念の進化は、単に事業領域を拡大することを意味しない。人々の生活や地域社会の課題を総合的に捉え、「人間中心の価値創造」を企業活動の中心に据えた点こそが最大の特徴である。
表:大和ハウスの理念進化と社会的役割の変遷
時代 | 主な社会課題 | 大和ハウスの対応・事業モデル |
---|---|---|
1950年代 | 木材不足・住宅難 | パイプハウス・ミゼットハウス |
1970年代 | 高度成長・都市化 | 賃貸住宅事業・商業施設 |
2000年代 | 高齢化社会 | 介護・福祉施設開発 |
2010年代以降 | 環境・デジタル化 | 再生可能エネルギー・物流施設・DX推進 |
このように、大和ハウスの理念は、常に社会構造の変化と共鳴しながら進化してきた。理念と事業が乖離しない経営こそが、同社が70年を超えて成長を続けてきた最大の理由である。将来を見据えた「価値共創」の思想は、今やグローバル市場でも通用する経営哲学として確立しつつある。
多角化する事業ポートフォリオ:住宅から社会インフラへ
大和ハウス工業を単なる「ハウスメーカー」と定義するのは、もはや実態を捉えていない。同社の現在の売上構成を見ると、住宅事業の比率は約20%に過ぎず、残りの大部分は商業施設、物流施設、海外事業、エネルギー関連などの法人向け・インフラ型ビジネスが占めている。この事業の多角化こそが同社の競争優位の核心である。
2026年3月期第1四半期のセグメント別売上データによれば、賃貸住宅27%、商業施設22%、事業施設25.9%、環境エネルギー1.4%、その他0.6%で、住宅(戸建・マンション)を合わせた23%を大きく下回っている。
表:大和ハウスのセグメント別売上構成(2026年3月期第1四半期)
事業セグメント | 売上高(百万円) | 構成比 |
---|---|---|
戸建住宅 | 233,532 | 18.1% |
賃貸住宅 | 348,652 | 27.0% |
マンション | 62,654 | 4.8% |
商業施設 | 287,548 | 22.2% |
事業施設 | 334,639 | 25.9% |
環境エネルギー | 17,887 | 1.4% |
その他 | 7,229 | 0.6% |
この構造が意味するのは、住宅需要の減少というマクロリスクを徹底的に分散した戦略である。野村総合研究所の予測によれば、日本の新設住宅着工戸数は2040年度に約58万戸まで減少し、空き家率は25%を超える見通しである。この中で住宅一本足経営を続けることはリスクであり、大和ハウスは早期に非住宅・ストック型ビジネスへと軸足を移した。
特に物流施設「DPL」シリーズは、EC市場拡大を背景に急成長し、同社はプロロジス、日本GLPと並び「物流不動産の御三家」と称される地位を築いた。さらに、老朽化した商業施設や工場の再生事業、再生可能エネルギー発電事業、データセンター開発など、社会インフラ全体を支える企業へと進化している。
加えて、賃貸住宅事業「D-ROOM」は、累計供給125万戸を超える圧倒的規模を誇り、建設後の管理・運営までを含めたストック型収益構造を確立している。この「建てて終わり」ではないモデルが、景気変動に強い収益基盤を形成している。
つまり、同社の多角化は単なる事業拡張ではなく、**人口減少という構造的課題への「戦略的防衛策」かつ「成長エンジン」**である。住宅メーカーから社会基盤創造企業へ。この変貌が、大和ハウスを国内市場の停滞を超えて成長させる原動力となっている。
中期経営計画が示す成長設計図:循環型バリューチェーンの構築

大和ハウス工業が掲げる「第7次中期経営計画(2022〜2026年度)」は、売上高5兆5,000億円・営業利益5,000億円を目指すだけでなく、2055年の「売上高10兆円」という長期ビジョンへの道筋を具体的に描いた成長設計図である。この計画は単なる数値目標ではなく、同社のビジネスモデルを根底から再構築する「構造改革計画」としての意味を持つ。
柱となるのは、①収益モデルの進化、②経営効率の向上、③経営基盤の強化の三本である。その中核をなすテーマが「循環型バリューチェーン」の確立であり、これは新築中心のフロー型ビジネスから、既存資産を活かして価値を循環させるモデルへ転換する戦略的挑戦である。
この方針の下、同社は約2兆2,000億円の不動産投資を計画し、全国の老朽化した商業施設や工場を再生・再利用するバリューアップ事業を推進している。さらに、地方中核都市で複合再開発を進めると同時に、データセンターや先進物流拠点などの次世代インフラ開発も拡大している。これにより、開発から運営、再生までの全工程を社内で完結させる“建設業の循環経済モデル”を構築している。
箇条書きで整理すると、同計画の重点施策は以下の通りである。
・海外事業の成長加速と地域密着型モデルの確立
・脱炭素社会に向けた建物のZEB/ZEH化100%の実現
・DXによる設計・施工・管理のデータ一元化
・ポートフォリオ最適化とROE改善
・人的資本への投資とガバナンス改革
特に注目すべきは、DXとサステナビリティを有機的に結びつけている点である。例えば、設計から施工・維持管理までをデータで連結する「メビウスループ」は、脱炭素建築を標準化するだけでなく、将来的なリフォームや再生にも活用可能な情報資産を蓄積する仕組みである。
さらに、財務面でも明確な株主還元方針を打ち出しており、配当性向35%以上を維持しつつ、1株あたり配当金の下限を145円と設定。企業価値の最大化と安定的な投資環境の両立を目指している。
この「循環型モデル」の意義は、単なる環境対応ではない。人口減少とストック社会における“需要の質的転換”を先取りし、建築・不動産業を持続可能な産業へと変革する実験場として機能している点にある。第7次中期計画は、10兆円企業への通過点ではなく、未来の日本型建設モデルを再定義する壮大な社会実験でもある。
海外事業の急拡大:北米M&Aとグローバル分散戦略
大和ハウスの10兆円ビジョンを実現する最大の成長エンジンは、間違いなく海外事業である。第7次中期経営計画では、海外売上高を1兆円規模まで引き上げる目標を掲げており、これは全体の約20%を海外で稼ぐ体制を意味する。
特に北米市場での成長速度は圧倒的である。同社は2011年に賃貸住宅運営で北米へ進出し、以降、スタンレー・マーチン社(米東部)、キャッスルロック・コミュニティーズ社(南部)、トゥルーマーク・カンパニーズ社(西部)などを次々と買収。2024年にはウィンザー社の戸建住宅事業も取得し、米国全土をカバーする「スマイルゾーン」構想を完成させた。これにより、2026年度の北米売上目標は7,300億円に到達する見通しとなっている。
表:大和ハウスの主要M&A戦略(北米)
年度 | 買収企業 | 地域 | 目的・効果 |
---|---|---|---|
2016 | スタンレー・マーチン | 米東部 | 戸建事業基盤の確立 |
2018 | トゥルーマーク・カンパニーズ | 米西部 | 住宅供給と開発力拡大 |
2021 | キャッスルロック・コミュニティーズ | 米南部 | 住宅地開発事業強化 |
2024 | ウィンザー社 | 全米 | M&A統合・事業シナジー加速 |
これらのM&Aは単なる企業買収ではなく、現地企業の強みと日本の「建築の工業化」技術を融合させる“ハイブリッド経営モデル”の確立を目的としている。資材調達や部材加工の一元化、工期短縮や品質安定化を実現する仕組みを整え、日本式の生産管理ノウハウを導入することで、現地市場での競争力を急速に高めている。
一方、欧州ではモジュラー建築技術を強みとするDaiwa House Modular Europe(旧ヤンスネル社)を中心に展開し、環境規制の厳しい欧州で短工期・低炭素建築モデルを確立。ASEAN諸国では物流拠点や食品冷凍倉庫など社会インフラを供給し、現地経済の成長を支える役割を果たしている。
この多層的な海外戦略の最大の特徴は、単一市場依存を避ける「分散型ポートフォリオ」である。北米、欧州、アジアで異なるビジネスモデルを展開し、為替変動や地政学的リスクを分散させる設計になっている。
国内市場の縮小リスクを海外の成長で相殺し、各地域の特性に最適化した事業モデルを輸出する戦略的柔軟性。それが大和ハウスを“日本発のグローバル建設ソリューション企業”へと進化させている。
同社の海外事業は、今や単なる外貨獲得の手段ではない。現地の課題に寄り添い、地域社会を支える「共創型モデル」を展開することで、ブランド価値と信頼を積み重ねている。これこそが、10兆円企業への成長を現実のものとする真のエンジンである。
DXで変わる建設産業:メビウスループが生む自己進化型ビジネス

大和ハウス工業の成長戦略において、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)は単なる業務効率化を超えた「事業の再定義」である。建設業界全体が直面する人手不足や高齢化、コスト上昇といった構造的課題に対し、同社は独自のデータ循環型モデル「メビウスループ」によって生産性革命を起こそうとしている。
このメビウスループとは、設計・生産・施工・維持管理の各工程をBIM(Building Information Modeling)とAIによって一気通貫で連携させ、データが循環し続ける仕組みである。大和ハウスはAutodesk社と提携し、自社BIM基盤「D’s BIM」を構築。設計から竣工後のメンテナンスに至るまでの膨大なデータを統合管理する体制を確立した。
このモデルの革新性は、各プロジェクトのデータが蓄積されることで次の設計・施工精度が自動的に向上していく点にある。「プロジェクトを重ねるほどに企業が賢くなる」自己進化型の生産モデルであり、まさに建設版データフライホイールである。
AIとロボティクスが支える現場変革
現場ではAIプランニングとロボット技術が導入され、作業の効率と安全性が劇的に高まっている。顧客の希望を入力すると、AIが2000通り以上の間取りから最適プランを自動提案する「AIプランコンシェルジュ ver.1」は営業・設計双方の負担を削減し、提案スピードを従来の1/10に短縮した。
一方、生産現場では自動溶接ロボット「SWAN」や自律走行型搬送ロボットが稼働し、人手不足の緩和と品質均一化を同時に実現。さらに現場カメラとIoTセンサーを活用した「スマートコントロール基盤」により、現場監督はリアルタイムで進捗・品質・安全を遠隔確認できる。
箇条書きで整理すると、同社のDX基盤の特徴は以下の3点に集約される。
・BIMを中心としたデータ一元管理による情報の非分断化
・AI・ロボット・IoTを連携させたスマート施工体制
・データの循環とAI解析による生産性の自己進化
大和ハウスのDX戦略の本質は、単なるデジタル化ではなく**「人と機械、データが共進化する循環型生産システムの構築」**にある。これにより、建設業を“労働集約産業”から“知識集約産業”へ転換する挑戦が始まっている。
ESG経営の深化:環境・社会・ガバナンスを一体化する成長モデル
大和ハウスのサステナビリティ経営は、単なるCSR活動ではなく、事業戦略そのものに組み込まれた「価値創造型ESG経営」である。環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の三領域を事業活動に一体化させ、社会課題の解決を利益成長の源泉に変える経営モデルを築いている。
脱炭素と循環型建築で環境価値を創出
同社は2050年のカーボンニュートラル実現を掲げ、2030年度までに新築供給建物のZEH・ZEB比率を100%とする目標を設定している。さらに、軽量で曲面対応可能な次世代「ペロブスカイト太陽電池」の実証開発をリコー・NTTアノードエナジーと共同で進行中であり、再エネの導入拡大を加速させている。
既存建物の再生を軸としたストック事業ブランド「BIZ Livness」は、老朽化建物を再設計・再利用し、資源循環と収益の両立を実現。建て替えから再生へという発想転換が、同社の環境戦略を支えている。
表:大和ハウスの主要ESG施策
分野 | 主な施策 | 目標・実績 |
---|---|---|
環境(E) | ZEH/ZEB100%・太陽光設置原則化 | 2030年度目標達成に向け進行中 |
社会(S) | 65歳定年制・同性パートナー制度導入 | DE&I推進と人材多様化 |
ガバナンス(G) | 2本社制導入・事業本部再編 | 経営の透明性・意思決定迅速化 |
社会と共に成長する人的資本経営
人的資本面では、65歳定年制および67歳選択定年制度を導入し、シニア人材の経験を生かす環境を整備。さらに、同性パートナーシップ制度や障がい者雇用推進など、DE&Iを経営戦略の一角に据えている。
ガバナンス面では、2025年度から7本部制を「ハウジング・ソリューション本部」「ビジネス・ソリューション本部」の2大体制へ再編。これにより、迅速な意思決定と事業シナジーの最大化を図っている。
同社はCDPで3年連続「Aリスト」、MSCI ESGレーティング「AA」、DJSI Asia Pacific選定など高評価を獲得しており、ESG分野で国内外から信頼を得ている。
大和ハウスのESG経営は、社会的責任の履行ではなく、ESGを利益成長のドライバーとして活用する実践的経営モデルである。ZEB・再エネ・地域共創・人材投資といった取り組みを通じ、企業の持続可能性と社会的価値の最大化を同時に実現している。
デュアルエンジン体制と人材戦略:攻めと守りを両立する経営構造

大和ハウス工業の経営体制は、2025年に発足した「デュアルエンジン構造」によって新たな段階へ進化した。芳井敬一会長兼CEOと大友浩嗣社長兼COOがそれぞれ異なる役割を担い、グローバルな成長加速と国内事業の深化という“攻守一体”の経営モデルを確立している。これは単なる人事刷新ではなく、10兆円ビジョンを実現するための組織的アーキテクチャの再構築である。
グローバルを駆動する“攻めのエンジン”
芳井会長は社長時代から北米・欧州・アジアの海外事業を主導してきた。現在も海外事業本部長を兼務し、米国でのM&A戦略や欧州のモジュラー建築事業などを推進する。インタビューでは「今の事業体の延長線上では10兆円に届かない。新たな事業モデルに挑戦する」と語り、既存領域を超えた非連続的成長への強い意欲を示している。
海外事業の柱は、M&Aによる住宅会社の買収・統合と、建設ノウハウの移植である。スタンレー・マーチン社を中心に全米で展開するスマイルゾーン戦略では、日本式生産管理を導入することで建設期間を短縮し、品質の標準化を実現した。さらに、欧州では低炭素モジュラー建築、ASEANでは物流施設開発など、地域特性に応じた成長エンジンを複線的に運転している。
このグローバル軸が「攻めのエンジン」として機能する一方で、リスク分散の観点からも極めて重要である。為替変動や地政学リスクの局地化が進む中、複数地域で異なるビジネスモデルを展開する同社の国際ポートフォリオは、外的ショックに強い構造を形成している。
国内基盤を強化する“守りのエンジン”
一方で、大友社長が率いる国内事業は「現場第一主義」を貫く堅実なオペレーションモデルを基盤とする。住宅・賃貸・商業施設など多岐にわたる国内事業を再編し、2025年度からは「ハウジング・ソリューション本部」「ビジネス・ソリューション本部」の2本社制を導入。これにより、意思決定の迅速化と事業間シナジーの最大化を狙う。
大友社長は全国ネットワークを活かし、地方創生やストック再生事業を拡大している。代表例が既存建物の再生を軸とした「BIZ Livness」であり、老朽施設を再構築することで地方の産業・雇用を支える。加えて、PPP・PFI(官民連携)案件への積極参入により、地域社会と共生する新たな公共ビジネスを開拓している。
こうした施策は、人口減少と住宅需要の縮小という国内構造リスクに対し、**「社会課題をビジネスチャンスに変える守りの経営」**として位置づけられている。
表:デュアルエンジン体制の役割分担
役職 | 主な担当領域 | 戦略目的 |
---|---|---|
芳井敬一(会長兼CEO) | 海外事業・新規事業 | 非連続成長・事業多角化 |
大友浩嗣(社長兼COO) | 国内事業・生産体制・人材育成 | 安定収益・現場力強化 |
人材戦略が支える「攻守一体経営」
両トップを支えるのが、人的資本の戦略的強化である。大和ハウスは「事業を通じて人を育てる」という創業理念を進化させ、従業員の多様性と持続的成長を重視している。65歳定年制の導入に加え、希望者が67歳まで勤務できる制度を設け、ベテランの技能継承を支援。さらに、同性パートナーシップ制度や女性管理職登用率の向上など、DE&I推進も着実に進む。
特筆すべきは、DXやサステナビリティ領域に特化した専門人材の育成である。AI設計・BIM・再エネ事業などの成長分野で、若手技術者を中心とした「次世代リーダー育成プログラム」を展開。人材を“コスト”ではなく“資産”として再定義する人的資本経営が、デュアルエンジン体制の下で企業変革を支えている。
このように、芳井会長の「攻め」と大友社長の「守り」、そしてそれを支える人材戦略が三位一体で機能することで、大和ハウスは短期的な収益と長期的な成長を両立させる持続的経営モデルを完成させつつある。10兆円への挑戦を支えるのは、組織の構造改革と人の力の融合である。