世界の介護サービス業界は、高齢化社会の進展とともにその重要性を増しています。特に新型コロナウイルスのパンデミック以降、高齢者の安全な生活環境を提供することの重要性が再認識され、世界各地で介護サービスへの注目が集まっています。そこで、今回は2023年の最新データを基に、「世界の介護サービス会社ランキング時価総額TOP55」をご紹介します。

このランキングは、介護サービス企業の現状を把握し、市場の動向を理解するための有力な指標となります。ランキングは企業の時価総額に基づいていますが、その背後には各企業の財務状況、成長戦略、経済状況、技術革新、規制の影響、人口動態、そして企業の評判やブランドイメージなど、多様な要素が反映されています。それでは、具体的なランキングと各企業の特徴を見ていきましょう。

世界の介護サービス会社ランキング:時価総額TOP55

下記の世界の介護サービス会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 企業の国籍:リストに登場する企業はさまざまな国籍を持っていますが、最も多くの企業が所在する国はアメリカで、その次に多いのは日本です。また、アジア(特に日本、中国、香港、インド)、ヨーロッパ(特にフランス、イタリア、ドイツ、イギリス、スウェーデン)、オセアニア(特にオーストラリア、ニュージーランド)、北アメリカ(アメリカ、カナダ)からの企業がランキングに含まれています。

  • 時価総額:1位のChemed Corp(アメリカ)の時価総額は10,550億円と最も高く、最下位の揚工舎(日本)は4億円と最も低いです。ランキング上位の企業は大きな時価総額を持っていますが、下位に行くにつれてその数値は減少し、時価総額に大きな格差が見られます。

以上のように、この時価総額ランキングは、国籍、時価総額、決算期といった観点から多様性を持つ一方で、特に国籍と時価総額においては一部の企業や国が優位を占めていることが読み取れます。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:Chemed Corp(アメリカ)

アメリカの企業で、主に緩和ケア(ホスピスケア)および配管・排水サービスを提供しています。2つの主要な事業部門はVITAS(ホスピスケア)とRoto-Rooter(配管・排水サービス)です。

アメリカの人口の高齢化に伴い、ホスピスケアの需要が増大しており、この業界におけるChemedの強いポジショニングとブランド力が反映されています。

2位:Max Healthcare Institute Ltd(インド)

インドのヘルスケアサービスプロバイダーで、病院と医療施設のネットワークを運営しています。

インドの医療インフラは急速に発展しており、Max Healthcare Instituteはその成長にうまく位置づけられています。また、インドの巨大な人口と経済成長も同社の時価総額を押し上げています。

3位:Encompass Health Corp(アメリカ)

アメリカのヘルスケア会社で、リハビリテーション病院、ホームヘルスエージェンシー、ホスピスを運営しています。

Encompass Healthは、アメリカの高齢化人口が増加する中で、高品質なリハビリテーションおよび在宅ケアサービスを提供する強固なネットワークを持っています。これにより、需要の増加をうまく取り込み、その時価総額を向上させています。

4位:Option Care Health Inc(アメリカ)

アメリカのヘルスケア会社で、在宅での複雑な薬物療法の提供に特化しています。

アメリカのヘルスケアシステムが在宅ケアに重点を置き始めており、特に複雑な治療や慢性疾患の管理においてOption Care Healthのようなサービスが重要になってきています。

5位:Ensign Group Inc(アメリカ)

スキルナーシング、リハビリテーションケア、ホスピスケア、在宅ヘルスケアなど、幅広いヘルスケアサービスを提供しているアメリカの会社です。

アメリカの高齢化人口の中で、長期ケアとリハビリテーションサービスの需要が増加しており、Ensign Groupの包括的なサービスオファリングはその需要を満たしています。これが、高い時価総額を維持する主要な要因となっています。

【世界の介護サービス会社ランキング:時価総額TOP55リスト】

※対象となる介護サービス会社として「上場企業」かつ「介護サービス業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月17日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1Chemed Corpアメリカ2022/1210,550
2Max Healthcare Institute Ltdインド2023/039,758
3Encompass Health Corpアメリカ2022/128,852
4Option Care Health Incアメリカ2022/127,425
5Ensign Group Incアメリカ2022/126,634
6Ryman Healthcare Ltdニュージーランド2023/033,975
7Amedisys Incアメリカ2022/123,935
8アンビスホールディングス日本2022/092,795
9ベネッセホールディングス日本2023/031,886
10Addus HomeCare Corpアメリカ2022/121,881
11Shanghai Industrial Development Co Ltd中国2022/121,413
12National Healthcare Corpアメリカ2022/121,162
13サンウェルズ日本2023/031,132
14Clariane SEフランス2022/121,092
15Brookdale Senior Living Incアメリカ2022/121,061
16シーユーシー日本2023/031,010
17Sienna Senior Living Incカナダ2022/12798
18Estia Health Ltdオーストラリア2022/06708
19Attendo ABスウェーデン2022/12656
20Regis Healthcare Ltdオーストラリア2022/06622
21ソラスト日本2023/03602
22CIR SpAイタリア2022/12559
23Mears Group PLCイギリス2022/12506
24LNA Sante SAフランス2022/12451
25Pennant Group Incアメリカ2022/12449
26チャーム・ケア・コーポレーション日本2022/06415
27学研ホールディングス日本2022/09389
28日本ホスピスホールディングス日本2022/12232
29セントケア・ホールディング日本2023/03192
30Orpea SAフランス2022/12190
31Pine Care Group Ltd香港2023/03138
32ココルポート日本2022/06116
33ケア21日本2022/10100
34Sonida Senior Living Incアメリカ2022/1287
35ウチヤマホールディングス日本2023/0376
36リビングプラットフォーム日本2023/0359
37アスモ日本2023/0356
38Hang Chi Holdings Ltd香港2022/1254
39Bamboos Health Care Holdings Ltd香港2022/0652
40Recovery International日本2022/1247
41Maternus-Kliniken AGドイツ2022/1242
42ケアサービス日本2023/0332
43工藤建設日本2022/0631
44シダー日本2023/0328
45インターネットインフィニティー日本2023/0328
46エフビー介護サービス日本2023/0327
47フレアス日本2023/0325
48T.S.I日本2022/1221
49ロングライフホールディング日本2022/1021
50光ハイツ・ヴェラス日本2023/0317
51AHCグループ日本2022/1113
52Regional Health Properties Incアメリカ2022/129
53SunLink Health Systems Incアメリカ2022/069
54N G Industries Ltdインド2023/037
55揚工舎日本2023/034

世界の介護サービス会社ランキングの有用性

世界の介護サービス会社ランキングは、多くの観点から有用であり、以下のような理由で利用されます。

  • 投資意思決定: 投資家やアナリストは、ランキングを利用して特定のセクター内で最も価値のある企業を特定し、投資機会を評価します。ランキングは、企業の財務状況、時価総額、成長率、利益率など、企業の健全性を測る指標を提供します。

  • 競争分析: 企業は、ランキングを使用して自社の位置を確認し、競争環境を理解します。他社と比較してどのようにパフォーマンスを発揮しているか、どのエリアで改善が必要かを把握することで、戦略を調整し、競争力を強化することが可能になります。

  • 業界動向の理解: ランキングは業界全体の動向を理解するのにも役立ちます。ランキングの変動、新規参入者、上位企業の戦略変更などを通じて、市場の進化、テクノロジーの影響、規制の変化、消費者の嗜好の変化などを読み取ることができます。

  • 市場研究: 研究者や学者は、ランキングを使用して市場の構造、企業間の力関係、企業の成長パターン、市場参入の障壁など、特定の産業や市場の特性を研究します。

  • ビジネスパートナーシップと協業: 企業はランキングを利用して、潜在的なパートナーシップや協業の機会を特定します。例えば、特定の領域でのリーダーにパートナーシップを提案したり、ビジネスの拡大や新市場への進出を支援する企業を探したりします。

ただし、ランキングは一面的な視点を提供するため、企業の全体像を理解するには、より詳細な情報や複数の指標を組み合わせて分析することが重要です。また、ランキングの結果は、その作成方法や使用されるメトリクスによって大きく変わる可能性があるため、その背後にある方法論を理解することも重要です。

世界の介護サービス会社ランキング:変化を与える要素

世界の介護サービス会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

業績

企業の財務状況(利益、売上高、利益率など)は、ランキングに大きな影響を与えます。成功した企業は強力な財務パフォーマンスを維持し、それがランキングでの高い位置を確保する重要な要因となります。

成長戦略

企業が新規市場への進出、新しいサービスの開始、事業拡大などを通じて急速に成長する場合、そのランキングも向上する可能性があります。

規制の変更

国や地域の政策や規制の変更は、企業の業績に大きな影響を与え、それがランキングに反映されます。例えば、介護業界の補助金の増減、ライセンス要件の変更、保険の制度変更などが該当します。

経済状況

全体的な経済状況や業界の状況は、企業の業績とランキングに影響を与えます。不況や景気の変動は、消費者の購買力や企業の利益を直接影響し、それがランキングに反映されます。

技術革新

技術の進歩は企業のビジネスモデルを変革し、業界全体のパフォーマンスを大きく左右します。例えば、遠隔介護、AIを利用したサービス、ヘルスケアITの導入などの革新は、サービスの品質、コスト効率、顧客満足度を改善し、企業の成長とランキングの向上をもたらします。

人口動態

高齢化社会の進行などの人口動態は、介護サービスの需要を増加させ、その結果として業界全体の成長とランキングの変化を促します。

企業の評判とブランドイメージ

企業の評判やブランドイメージは、顧客の選択と企業の財務成績に影響を与え、ランキングに反映されます。

これらの要素は互いに相互作用を持ち、結果としてランキングの変動を引き起こします。したがって、ランキングの背後にある各企業の状況を理解するためには、これらの要素すべてを考慮に入れることが重要です。

まとめ

これまでに紹介した「世界の介護サービス会社ランキング時価総額TOP55」を通じて、各企業の特徴と市場の動向を理解することができました。ランキングの変動は、介護サービス業界のダイナミックな変化を如実に示しています。

一方で、ランキングだけを見ていても、各企業が直面する課題や将来の成長戦略、そしてそのビジョンを全て理解することは難しいです。より深く業界を理解するためには、市場環境、規制、技術の進歩、人口動態など、多様な要素を考慮に入れることが必要です。

それぞれの企業がどのようにこれらの要素に対応し、持続可能な成長を達成するかを見守ることで、我々は介護サービス業界の未来を予測する手助けとなる情報を得ることができます。これからも引き続き、介護サービス業界の動向に注目してまいりましょう。

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