編集部
フードデリバリー産業は、私たちのライフスタイルを大きく変え、近年、劇的に成長を続けています。新型コロナウイルスのパンデミックの影響やテクノロジーの進化により、家から出ずとも美味しい食事を楽しむことが可能になり、この業界に対する需要は一層高まりました。今回は、そのフードデリバリー産業の中でも、最も影響力を持つ企業たちを見ていきます。ランキングは、企業の時価総額に基づき、2023年時点での最新版となります。アジアからアメリカ、そしてヨーロッパまで、全世界から様々なフードデリバリー企業が登場します。
世界のフードデリバリー会社：時価総額TOP12
下記の世界のフードデリバリー会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- アジア市場の規模：アジアの企業がトップ2の位置を占めています。アリババと美団はそれぞれ香港と中国に本社を置いており、特にアリババは319,721億円という巨大な時価総額を誇っています。これはアジア市場の巨大さを反映しており、特に中国は巨大な人口と急速に成長するミドルクラスを持つ大きなマーケットとなっています。
- アメリカのテクノロジー企業：UberとDoorDashはアメリカに本社を置くテクノロジー企業で、それぞれ3位と4位にランキングされています。これらの企業は新興のデジタル経済において重要な役割を果たしています。
- 配送関連の企業：上位にランクインしている企業の多くは、配送、フードデリバリー、オンデマンドサービスの分野で活動しています。これは、デジタル技術と物流の組み合わせによるビジネスモデルが広く受け入れられていることを示しています。
- 地域の違い：企業の本社が置かれている国は多様で、これらの国々はそれぞれ異なる経済的な状況と規模を持っています。例えば、インドのZomatoとインドネシアのAplikasi Karya Anak Bangsaは、それぞれ急速に成長する大きな市場を持つ新興経済国です。
- 日本企業の時価総額：リストの最下位に位置するのは日本の企業で、時価総額がそれぞれ523億円と112億円と比較的小さな規模です。これは日本のデリバリーサービス市場が他の国に比べてまだ小さい可能性を示しています。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位：Alibaba Group Holding Ltd(香港)
香港に本社を置くこの企業は、電子商取引、テクノロジー、金融サービスなど、多岐にわたる事業を展開しています。その巨大なユーザーベースと多様なビジネスモデル、強固なブランド力が高い時価総額を支えています。また、中国という巨大な市場を背景に持つことも同社の大きな利点です。
2位：Meituan（中国）
中国のライフスタイルサービスプラットフォームで、フードデリバリー、ホテル予約、映画チケットなどのサービスを提供しています。中国の巨大な消費者市場とデジタル経済の成長を背景に、急速に成長し、その時価総額を押し上げています。
3位：Uber Technologies Inc（アメリカ）
アメリカのライドシェアリング企業であり、その事業は世界中の多くの市場に広がっています。また、フードデリバリーサービスのUber Eatsも成功しています。同社の広範な地理的存在感と多様なサービスが高い時価総額を生み出しています。
4位：DoorDash Inc（アメリカ）
アメリカを中心にフードデリバリーサービスを提供しています。ユーザーに多様なレストランからの配送を可能にし、便利さと時間の節約を提供します。また、新型コロナウイルスのパンデミックでデリバリーサービスが大きな需要を見たことが、時価総額の増加に貢献しています。
５位：Grab Holdings Inc（シンガポール）
シンガポールを拠点に、東南アジア地域で配送サービス、ライドシェアリング、フィンテックサービスを展開しています。東南アジアの急速なデジタル経済の成長と、ユーザーに対する一体型のサービス提供が評価され、その時価総額を押し上げています。
【世界の世界のフードデリバリー会社ランキング：時価総額TOP12リスト】
※対象となる世界のフードデリバリー会社として「上場企業」かつ「世界のフードデリバリー会社を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点（2023年7月20日）の株価および為替レートで算出
| ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額（億円） |
| 1 | Alibaba Group Holding Ltd | 香港 | 2023/03 | 319,721 |
| 2 | Meituan | 中国 | 2022/12 | 133,060 |
| 3 | Uber Technologies Inc | アメリカ | 2022/12 | 114,891 |
| 4 | DoorDash Inc | アメリカ | 2022/12 | 40,018 |
| 5 | Grab Holdings Inc | シンガポール | 2022/12 | 17,795 |
| 6 | Delivery Hero SE | ドイツ | 2022/12 | 14,811 |
| 7 | Zomato Ltd | インド | 2023/03 | 10,530 |
| 8 | Aplikasi Karya Anak Bangsa, PT | インドネシア | 2022/12 | 9,161 |
| 9 | Just Eat Takeaway.com NV | オランダ | 2022/12 | 3,927 |
| 10 | Deliveroo plc | イギリス | 2022/12 | 2,407 |
| 11 | 出前館 | 日本 | 2022/08 | 523 |
| 12 | ライドオンエクスプレスホールディングス | 日本 | 2023/03 | 112 |
出典：各社プレスリリースなど
世界の世界のフードデリバリー会社ランキングの有用性
世界のフードデリバリー会社のランキングは、以下のような多数の有用性を持つと考えられます。
- 業界のトレンド理解：ランキングは特定の業界における主要なプレーヤーとその影響力を理解するのに役立ちます。これは、新興市場の動向、地域別の成長、顧客の行動変化など、業界全体のトレンドを把握するのに重要です。
- 投資意思決定：投資家は時価総額や成長率などの指標を使って投資先を評価します。フードデリバリー企業のランキングは、これらの意思決定を補助する情報を提供します。
- 競争分析：業界のランキングは、企業が自分たちのポジションを評価し、競争相手を理解するためのツールとして使用することができます。これは、戦略策定、新規市場進出の決定、マーケティング戦略の開発などに役立ちます。
- 消費者の選択補助：ランキングは消費者にも有用で、サービスの品質、信頼性、評価など、様々な観点から選択を行う際の参考情報を提供します。
- 新規参入企業の戦略形成：新規参入企業やスタートアップにとって、既存の企業の戦略や成功要因を理解することは非常に重要です。ランキングは、これらの企業が市場にどのように参入し、どのような戦略を用いて成功を収めているかを理解するのに役立ちます。
これらの要素を考慮すると、世界のフードデリバリー会社のランキングは、多くの利害関係者にとって多面的な価値を提供するツールと言えるでしょう。
世界のフードデリバリー会社ランキング：変化を与える要素
世界のフードデリバリー会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
ビジネスモデルの進化
企業が新しいビジネスモデルを開発し、それが成功を収めると、ランキングは変動します。例えば、アプリベースのフードデリバリーサービスが広く受け入れられたことで、多くの企業が市場に参入し、成功を収めました。
市場の成長
フードデリバリー業界が急速に成長している地域（例：アジア）では、地域内の企業のランキングが上昇する可能性があります。このような市場では、新興企業もしくは既存の企業が成長を遂げる機会が増えます。
テクノロジーの進化
テクノロジーの進歩は企業の効率性、顧客エクスペリエンス、そして最終的な成功を大きく左右します。例えば、AIや機械学習を活用したデリバリーオプティマイゼーションや、ドローンや自動運転車両を用いた配送方法の導入などが考えられます。
規制環境
地方や国による法規制の変化は企業の営業体制や利益に影響を及ぼし、それがランキングに影響を与えます。例えば、デリバリードライバーの労働環境に関する規制が厳しくなれば、そのコスト増は企業の収益に影響を及ぼす可能性があります。
パンデミックや自然災害
新型コロナウイルスのパンデミックのような大規模な社会的影響や、地震、洪水といった自然災害もフードデリバリー業界に影響を及ぼします。これらのイベントは、人々の行動や消費者需要を変化させ、それが企業の成績やランキングに反映されます。
これらは一部の要素に過ぎませんが、フードデリバリー企業のランキングに影響を及ぼす主要な要素と言えます。
まとめ
2023年の世界のフードデリバリー会社ランキング時価総額TOP12を見てきました。業界のリーダーであるアリババやメイトアンから、新興市場の勢いを感じさせるGrab Holdingsまで、様々な企業がその位置を確立しました。これらの企業の成功は、技術革新、市場の成長、独自のビジネスモデルといった多くの要素によって支えられています。
しかし、ランキングは一瞬で変わり得るものです。新たなビジネスモデルの開発、テクノロジーの進化、市場環境の変動、法規制の変化などが、これらの企業の地位を大きく揺るがす可能性があります。今後も、このダイナミックなフードデリバリー業界の変化を見守っていきましょう。