私たちは2023年最新版となる、「世界の証券取引所ランキング時価総額TOP28」についての情報をお届けします。このランキングは各証券取引所に上場している企業の総時価総額に基づいて作成されており、その数値は世界経済の複雑な動向を鮮やかに描き出しています。

本記事では、それぞれの証券取引所がどのようにその位置を獲得したか、なぜそれが重要なのかを詳しく解説します。ランキングの先頭に立つのは米国のCME Group Incで、その時価総額はなんと86,543億円にも上ります。一方で、ランキングの後半に名を連ねる取引所も、地域経済の発展という観点から重要な役割を果たしています。ランキングは、経済成長、金融市場の自由化と規制、M&A(合併・買収)活動、技術革新と新規上場、経済危機と地政学的要因など、多様な要素によって左右されます。

世界の証券取引所ランキング:時価総額TOP28

下記の世界の証券取引所ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • アメリカが最も高い時価総額を持つ企業を多数抱えています:CME Group Inc、Intercontinental Exchange Inc、Nasdaq Inc、Cboe Global Markets Inc、MarketAxess Holdings Inc、OTC Markets Group Inc の6社がランキングに含まれています。

  • 上位10社中3社がアメリカの企業で、その後にイギリス、香港、ドイツ、ブラジル、日本の企業が続いています。これはアメリカが世界の金融市場で非常に強い影響力を持っていることを示しています。

  • このランキングに含まれる企業の多くは先進国に所在していますが、中にはブラジルやインドなどの新興市場の企業も含まれています。

  • ランキング下位になると時価総額の差が急速に縮小します。上位企業と下位企業との間には明確な格差が存在します。

  • 一方で、日本の日本取引所グループやインドのBSE Ltd、Multi Commodity Exchange of India Ltdは2023年3月を決算期としています。これはこれらの国の特有のビジネスサイクルや規制によるものと考えられます

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:CME Group Inc(アメリカ)

CME Groupは、世界最大規模のダービティブ取引所であり、金融商品やコモディティなどの先物・オプション契約を幅広く扱っています。シカゴに本社を置き、様々な商品の取引に影響力を持つ。

その広範で多様な商品ラインナップと大量の取引量により、その市場価値は非常に高いです。

2位:Intercontinental Exchange Inc(アメリカ)

Intercontinental Exchange(ICE)は、エネルギー、農産物などの商品取引から株式や指数まで、幅広い範囲の市場で取引を提供しています。また、ニューヨーク証券取引所も所有しています。

その広範な商品と市場へのアクセス、及びその取引プラットフォームの信頼性と透明性が、ICEを非常に価値のある企業にしています。

3位:London Stock Exchange Group PLC(イギリス)

ロンドン証券取引所は、世界最古の証券取引所の一つであり、様々な種類の証券の取引を提供しています。また、金融データサービスの提供や、市場インフラの運営なども行っています。

その歴史と市場規模、そして多岐にわたる金融サービスが、ロンドン証券取引所の価値を高めています。

4位:Hong Kong Exchanges and Clearing Ltd(香港)

香港証券取引所は、アジアでも最大規模の市場の一つであり、証券取引、先物取引、清算などを行っています。また、中国本土との「南北水」プログラムを通じて、中国の金融市場と直接的なつながりを持っています。

アジアの金融ハブとしての地位と、中国との独特な関係が香港証券取引所の価値を高めています。

5位:Deutsche Boerse AG(ドイツ)

Deutsche Boerseは、証券取引の提供だけでなく、決済・清算サービス、市場データ、インデックスサービスなども手がけています。フランクフルト証券取引所を運営しており、ヨーロッパ最大の取引所の一つです。

その多様な金融サービスと、ヨーロッパ市場における重要な地位がDeutsche Boerseの価値を高めています。

【世界の世界の証券取引所ランキング:時価総額TOP28リスト】

※対象となる世界の証券取引所として「上場企業」かつ「世界の証券取引所を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月20日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1CME Group Incアメリカ2022/1286,543
2Intercontinental Exchange Incアメリカ2022/1284,071
3London Stock Exchange Group PLCイギリス2022/1276,210
4Hong Kong Exchanges and Clearing Ltd香港2022/1261,024
5Deutsche Boerse AGドイツ2022/1241,551
6Nasdaq Incアメリカ2022/1231,976
7B3 SA – Brasil Bolsa Balcaoブラジル2022/1220,158
8Cboe Global Markets Incアメリカ2022/1219,053
9MarketAxess Holdings Incアメリカ2022/1212,357
10日本取引所グループ日本2023/0312,282
11ASX Ltdオーストラリア2022/0610,974
12Euronext NVオランダ2022/129,814
13Singapore Exchange Ltdシンガポール2022/069,765
14TMX Group Ltdカナダ2022/128,009
15Dubai Financial Market PJSCアラブ首長国連邦2022/124,507
16Bursa Malaysia Bhdマレーシア2022/121,553
17BSE Ltdインド2023/031,543
18Bolsa Mexicana de Valores SAB de CVメキシコ2022/121,365
19Multi Commodity Exchange of India Ltdインド2023/031,319
20OTC Markets Group Incアメリカ2022/12904
21Jse Ltd南アフリカ2022/12572
22Hellenic Exchanges – Athens Stock Exchange SAギリシャ2022/12476
23NZX Ltdニュージーランド2022/12328
24The Philippine Stock Exchange Incフィリピン2022/12322
25Warsaw Stock Exchangeポーランド2022/12321
26Bolsa de Comercio de Santiagoチリ2022/1227
27NSX Ltdオーストラリア2022/0618
28Digitalbox PLCイギリス2022/1212

出典:各社プレスリリースなど

世界の証券取引所ランキングの有用性

世界の証券取引所のランキングには、様々な有用性があります。以下にそのいくつかを挙げてみましょう。

  • 金融市場の理解:ランキングを見ることで、世界の各地域や国々の金融市場の規模や影響力を把握することができます。それは、投資家が新たな投資機会を探す際の参考情報となったり、経済学者がグローバル金融の構造を分析するための基礎データとなります。

  • 競争力の評価:各証券取引所の時価総額や取引量を比較することで、それぞれの競争力や影響力を評価することができます。これは、例えば新規上場を検討している企業が上場先の証券取引所を選択する際の参考になったり、証券取引所自身が自らのポジショニングを見直す際の手がかりとなります。

  • 市場のダイナミクスの把握:ランキングの変動を追うことで、グローバルな金融市場のダイナミクスを把握することができます。例えば、新興市場の証券取引所がランキングを上昇しているとすれば、それは新興市場の成長やその地域の金融自由化の進展を示す可能性があります。

  • 経済のヘルスチェック:一般的に、証券取引所の活況はその国や地域の経済の健康度を示す一つの指標となり得ます。大きな時価総額を持つ証券取引所は、その地域における資本の流動性や企業活動の活発さを反映しています。

以上のように、証券取引所のランキングは金融市場の理解、競争力の評価、市場ダイナミクスの把握、そして経済のヘルスチェックなどに有用なツールとなり得ます。

世界の証券取引所ランキング:変化を与える要素

世界の証券取引所ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

経済成長

一国の経済成長は、その国の証券取引所のランキングを高める主要な要素となります。経済が成長すると、企業の利益や収益性が向上し、その結果、企業の時価総額が増加します。これにより、証券取引所の総時価総額も増加し、ランキングが上昇します。

金融市場の自由化と規制

金融市場の自由化は、証券取引所のランキングに大きな影響を与えることがあります。市場が開放され、外国投資が容易になれば、その地域の証券取引所は新たな資金流入を享受でき、ランキングを向上させる可能性があります。逆に、金融規制が強まると、投資が制限されて証券取引所のランキングが下落することもあります。

M&A(合併・買収)活動

M&A活動は証券取引所のランキングに大きな影響を及ぼします。証券取引所自体の合併や買収により、新たに形成されたエンティティの時価総額が大きくなる場合があります。また、上場企業のM&A活動によっても、それら企業の時価総額と、それに連動する証券取引所の総時価総額が変化します。

技術革新と新規上場

新技術、特にITやバイオテクノロジーなどの分野の成長は、新たな企業が上場を果たす機会を生み出し、それによって証券取引所のランキングが大きく変動する可能性があります。

経済危機と地政学的要因

経済危機や地政学的な問題は証券取引所のランキングを下落させる可能性があります。経済が縮小したり、投資家が安全資産に逃避したりすると、証券取引所の総時価総額が減少し、ランキングが下がることがあります。

これらの要素は、証券取引所のランキングが動的であり、常に変化している理由を示しています。そしてそれらは、地域の経済、政策、業界動向、そして国際状況の複雑な相互作用を反映しています。

まとめ

私たちがこの記事で紹介した「世界の証券取引所ランキング時価総額TOP28」は、世界経済の鏡であり、多くの情報を我々に提供します。ランキングに名を連ねる各証券取引所は、それぞれが所在する国や地域の経済成長を反映し、同時に投資家たちが市場をどのように評価しているかの指標ともなります。

また、ランキングの変動は市場の動向を予測する有力なヒントを提供します。新規上場の増加や大型M&Aなどは、特定の産業の成長を示すサインであり、逆に、経済危機や規制強化によるランキングの変動は警戒すべき市場の変化を予兆するかもしれません。

最後に、このランキングが単に大きな数字の羅列であるというわけではなく、世界の金融市場の動きとそれぞれの証券取引所が果たす役割を理解するための有用なツールであることを理解していただければと思います。将来の投資やビジネス戦略を練る上で、このランキングは非常に価値ある情報源となるでしょう。

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