世界のベンチャーキャピタル(VC)ランドスケープは、絶えず進化し、新たな動向と機会を生み出しています。その最前線にいるベンチャーキャピタル会社の中でも、特に成功を収め、影響力を持っているVCを知ることは、新興企業、投資家、そしてビジネス界全体にとって重要な意味を持ちます。そこで、我々は2023年版となる「世界のベンチャーキャピタル会社ランキング時価総額TOP42」を提供します。このランキングは、各VCの時価総額に基づき、世界中のVCを比較したものです。本ランキングは、新興企業の成長と、その成功に寄与したVCの強みと影響力を反映したものとなっています。
世界のベンチャーキャピタル会社ランキング:時価総額TOP42
下記の世界のベンチャーキャピタル会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 地理的分布:上位40以上の企業は世界中のさまざまな国から来ています。最も多くの企業が所在している国は大韓民国で、次いで日本とアメリカが続きます。他にもドイツ、イギリス、インド、マレーシアなど、多様な国がランキングに含まれています。
- 時価総額:ランキングの上位に位置する企業は時価総額が大きく、下位に行くにつれて時価総額が小さくなる傾向が見られます。特にSBIホールディングスは他のどの企業よりも大きな時価総額を持っており、一方でAlka Securities LtdとSungold Capital Ltdは非常に小さい時価総額となっています。この差は企業の規模や影響力を反映している可能性があります。
- 多様性:ランキングには多様な業界や部門からの企業が含まれており、投資、テクノロジー、金融サービスなど、幅広い範囲の企業が存在しています。
- 国別の時価総額:一部の国、特に日本やアメリカは時価総額が高い企業が集まっています。これに対して、大韓民国は多くの企業がランキングに名を連ねていますが、それぞれの時価総額は比較的低めです。
これらの分析から、企業の時価総額はその企業の規模、業績、影響力などを示す一方で、その企業が所在する地域や業界によっても影響を受けることが示唆されます。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位:SBIホールディングス(日本)
日本の大手金融グループで、銀行、証券、保険などの金融事業を幅広く展開しています。また、海外進出も積極的に行い、全世界に事業を展開しています。
金融市場のデジタル化にも早期から取り組んでおり、そのためにFinTechなどへの投資も積極的に行っています。これらの経営戦略が評価され、高い時価総額を誇っています。
2位:Hercules Capital Inc(アメリカ)
アメリカのプライベートエクイティとベンチャーキャピタル会社です。テクノロジーセクターのスタートアップや早期の成長企業に投資を行い、その成果を上げています。
特にシリコンバレーなどのハイテク産業が集まる地域での投資に強みを持ち、その成功が時価総額の高さに繋がっています。
3位:Rocket Internet SE(ドイツ)
ドイツのベンチャーキャピタルおよびスタートアップインキュベーターで、世界各地で新規事業を立ち上げるとともに、多くのスタートアップ企業に投資しています。
特にEコマースやオンラインマーケットプレイス、フードデリバリーなどのデジタル領域に注力しており、その投資先企業の成功が高い時価総額に寄与しています。
4位:デジタルガレージ(日本)
日本のインターネット関連企業で、Eコマースの支援からベンチャーキャピタル活動、デジタルマーケティングなど幅広い事業を手がけています。
特に新興のデジタルビジネスの創出と育成に注力しており、その戦略が時価総額に反映されています。
5位:GIMV NV(ベルギー)
ベルギーの投資会社で、ヘルスケア、テクノロジー、サステナビリティなどの成長分野に投資を行っています。
戦略的に成長の見込みがある企業や業界を選定し、手厚い支援を行うことで成功を収めています。その投資成果が時価総額に反映されています。
【世界のベンチャーキャピタル会社ランキング:時価総額TOP42リスト】
※対象となるベンチャーキャピタル会社として「上場企業」かつ「ベンチャーキャピタル業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月21日)の株価および為替レートで算出
ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額(億円) |
1 | SBIホールディングス | 日本 | 2023/03 | 7,754 |
2 | Hercules Capital Inc | アメリカ | 2022/12 | 2,892 |
3 | Rocket Internet SE | ドイツ | 2021/12 | 2,872 |
4 | デジタルガレージ | 日本 | 2023/03 | 1,914 |
5 | GIMV NV | ベルギー | 2023/03 | 1,763 |
6 | ジャフコ グループ | 日本 | 2023/03 | 999 |
7 | IP Group PLC | イギリス | 2022/12 | 891 |
8 | Woori Technology Investment Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 306 |
9 | ドリームインキュベータ | 日本 | 2023/03 | 289 |
10 | CVC Ltd | オーストラリア | 2022/06 | 256 |
11 | China Merchants China Direct Investments Ltd | 香港 | 2021/12 | 193 |
12 | SBI Investment KOREA Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 170 |
13 | Frontier Digital Ventures Ltd | マレーシア | 2022/12 | 155 |
14 | Hotung Investment Holdings Ltd | 台湾 | 2022/12 | 153 |
15 | Atinum Investment Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 113 |
16 | SuRo Capital Corp | アメリカ | 2022/12 | 109 |
17 | M-Venture Investment Inc | 大韓民国 | 2022/12 | 104 |
18 | Daesung Private Equity Inc | 大韓民国 | 2022/12 | 101 |
19 | DSC Investment Inc | 大韓民国 | 2022/12 | 99 |
20 | Abra Information Technologies Ltd | イスラエル | 2022/12 | 98 |
21 | Q Capital Partners Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 77 |
22 | CNH Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 73 |
23 | T.S.Investment Corp | 大韓民国 | 2022/12 | 64 |
24 | 180 Degree Capital Corp | アメリカ | 2022/12 | 61 |
25 | フューチャーベンチャーキャピタル | 日本 | 2023/03 | 58 |
26 | A.K. Capital Services Ltd | インド | 2023/03 | 56 |
27 | mic AG | ドイツ | 2021/12 | 54 |
28 | Padtec Holding SA | ブラジル | 2022/12 | 45 |
29 | 日本アジア投資 | 日本 | 2023/03 | 42 |
30 | Leaders Technology Investment Co Ltd | 大韓民国 | 2022/03 | 35 |
31 | Osk Ventures International Bhd | マレーシア | 2022/12 | 27 |
32 | Starteck Finance Ltd | インド | 2023/03 | 25 |
33 | Coreo AG | ドイツ | 2022/12 | 15 |
34 | Kips | 日本 | 2022/12 | 14 |
35 | Capital VC Ltd | 香港 | 2022/09 | 12 |
36 | Binect AG | ドイツ | 2022/12 | 10 |
37 | Fintec Global Bhd | マレーシア | 2022/06 | 9 |
38 | Ladderup Finance Ltd | インド | 2023/03 | 4 |
39 | Mabuhay Holdings Corp | フィリピン | 2022/12 | 4 |
40 | Easson Holdings Ltd | 香港 | 2023/03 | 3 |
41 | Alka Securities Ltd | インド | 2023/03 | 1 |
42 | Sungold Capital Ltd | インド | 2023/03 | 1 |
出典:各社プレスリリースなど
世界のベンチャーキャピタル会社ランキングの有用性
ベンチャーキャピタル会社のランキングは、多くの面で有用です。以下に主な理由を挙げます。
- 投資家の視点:ベンチャーキャピタル会社のランキングは、潜在的な投資家にとって、会社の信頼性や成功の確率を評価するのに役立つ情報を提供します。ランキングが高い会社は、しばしば成功した投資履歴と強力なポートフォリオを持っており、これらは投資リターンが期待できることを示す強力な指標です。
- スタートアップの視点:スタートアップ企業にとって、ベンチャーキャピタル会社のランキングは資金調達先を選ぶ際の重要な指標となります。ランキングが高いベンチャーキャピタルは、成功したポートフォリオを持っており、資金調達だけでなく、経験豊富なアドバイスやネットワーキングの機会を提供する可能性が高いです。
- 業界動向の理解:ベンチャーキャピタル会社のランキングは、その時点での投資動向や産業動向を把握するための指標にもなります。ランキング上位のVCがどのような分野に投資しているかを見ることで、どの業界やテクノロジーが注目を集めているのかを理解することが可能です。
- ベンチマーキング:ベンチャーキャピタル自体もランキングを利用します。競合他社と自身を比較し、投資戦略の調整や改善を行うためのベンチマークとして使われます。
ただし、ランキングは一面的な指標であり、投資決定を行う際にはより詳細な情報や専門的なアドバイスが必要です。また、ランキングは過去の成功に基づいているため、未来のパフォーマンスを保証するものではありません。
世界のベンチャーキャピタル会社ランキング:変化を与える要素
世界のベンチャーキャピタル会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
投資パフォーマンス
VCのパフォーマンスは、主にポートフォリオ企業の成功によって評価されます。例えば、IPO(初公開)やM&A(買収)によって大きなリターンを得た企業はランキングを上げる可能性があります。
資金調達
新たなファンドを大規模に調達することは、VCのランキングにプラスに働きます。これは、投資家からの信頼と、より多くの資金を新規投資に使える能力を示すためです。
運用資産の規模
全体の運用資産(AUM)の大きさもランキングに影響します。これは、VCがどれだけの規模の投資を行う能力があるかを示す指標です。
経済状況
経済全体の状況、特にベンチャー投資に関連する分野(テクノロジーセクター、ヘルスケアなど)の状況は、VCのランキングに影響を与えます。強い経済環境では、IPOやM&Aが増え、VCのリターンも向上します。
ポートフォリオの多様性
ポートフォリオの多様性、すなわち投資先企業の業種や地域、開発段階などが広範であると、リスク分散が図られ、成功のチャンスを広げるため、ランキングにプラスになることがあります。
投資戦略
革新的な技術や新興市場への早期投資が成功すれば、それが評価されランキングに反映されます。また、持続可能性や社会的インパクトを重視するESG投資等、新たな投資アプローチも評価の対象となります。
これらの要素は互いに関連し、一部の成功が他の要素の成功を引き寄せる可能性もあります。しかし同時に、これらの要素は全て不確実性を含んでおり、ランキングは一定期間ごとに大きく変動する可能性があります。
まとめ
「2023年版:世界のベンチャーキャピタル会社ランキング時価総額TOP42」を通じて、今後のベンチャーキャピタルの動向を理解する上での一助になれば幸いです。ランキングは一見単純な数値に見えますが、その背後には各VCの投資戦略、資金調達の成功、ポートフォリオの多様性といった多様な要素が絡み合っています。それぞれのVCがどのようにこれらの要素をバランスよく運用し、時価総額を増やしているのかを理解することで、これからの投資環境の動向を予測する一助となるでしょう。そして最終的に、これらの情報は企業家、投資家、産業関係者が賢明な決定を下すための貴重な資源となることでしょう。我々のエコシステムは常に変化し続けており、これからも最新の情報と洞察を提供していくことをお約束します。