近年、グローバル経済の拡大とともに、低温物流の重要性が高まってきました。新型ウイルスの感染拡大の影響で、医薬品やワクチンの輸送需要が増加し、さらに環境変動や技術革命の影響を受けて、業界全体のランドスケープが変化しています。

この背景を受けて、2023年の世界のトラック(低温物流)会社の時価総額に基づくランキングTOP27をご紹介します。各企業の立ち位置や時価総額の動向から、今後の業界の動向を予測する手助けとしてください。

世界のトラック(低温物流)会社ランキング:時価総額TOP27

下記の世界のトラック(低温物流)会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 国別分析
    • アメリカ: アメリカ企業が最も多く、8社がリスト上に掲載されています。時価総額も高く、上位4社のうち3社がアメリカ企業です。
    • 日本: 日本の企業は8社掲載されており、アメリカと同じく多い部類ですが、時価総額の規模は大きく異なります。日本企業のうち最も高い時価総額はニチレイの4,277億円で、他の多くは1,000億円を下回っています。
    • インド: インドからは4社がリスト入りしています。
    • その他の国は1-2社ずつの掲載となっています。

  • 時価総額の特徴
    • SF Holding Co Ltdは、43,666億円という額でリストの中で圧倒的に高い時価総額を有しています。2位のJB Hunt Transport Services Incの26,823億円とのギャップは明らかです。
    • 一方、ランキングの下位は時価総額が100億円以下の企業が多くなっており、業界内での時価総額の格差が大きいことが伺えます。

以上の分析から、このランキングは主にアメリカや日本、インドの運輸・物流関連の企業が多く掲載されていることがわかります。また、時価総額の差が大きく、特定の大企業が業界を牽引している可能性があります。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:SF Holding Co Ltd中国

SF Holding Co Ltdは中国の大手宅配・物流企業であり、国内外の配送サービスを提供しています。

中国は世界最大のeコマース市場を持つ国であり、SF Holdingはこの市場での物流ニーズに対応して成長してきました。また、中国国内の都市間・国際物流ネットワークを強化し続けていることも、高い時価総額の背景になっています。

2位:JB Hunt Transport Services Incアメリカ

JB Huntはアメリカの大手トラック運送および物流会社で、広範なサービスを提供しています。

アメリカは広大な国土を持ち、陸運の需要が非常に高い。JB Huntは総合的な物流ソリューションと効率的な運送ネットワークを持ち、多くの産業セクターにサービスを提供しています。

3位:Knight-Swift Transportation Holdings Incアメリカ

Knight-Swiftはアメリカの大手トラック運送企業で、多岐にわたるサービスを提供しています。

同様に、アメリカの広大な国土と高い運送需要を背景に、Knight-Swiftも継続的な成長を遂げています。統合されたサービスと高いオペレーショナル効率が、高い時価総額をサポートしています。

4位:Americold Realty Trust Incアメリカ

Americoldは冷蔵・冷凍倉庫のリーディングカンパニーで、食品産業を中心に物流サービスを提供しています。

食品業界は非常に大きく、特に冷蔵・冷凍物流は専門知識を必要とします。Americoldの強固なインフラと経験は、このニッチな分野でのリーダーシップを保証しています。

5位:ニチレイ日本

ニチレイは日本の大手冷凍食品メーカーであり、同時に物流も手がけています。

日本の食品市場は成熟しており、消費者の需要は高品質な製品にシフトしています。ニチレイは、その品質と多様な商品ラインアップにより、強固な市場地位を維持しています。また、冷蔵・冷凍物流の専門家としての役割も、時価総額の向上をサポートしています。

これらの企業は、各々の国や業界の中での強固な地位や、特定のニッチな領域での専門知識を持っているため、高い時価総額を維持しています。

【世界のトラック(低温物流)会社ランキング:時価総額TOP27リスト】

※対象となるトラック(低温物流)会社として「上場企業」かつ「トラック(低温物流)業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月27日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1SF Holding Co Ltd中国2022/1243,666
2JB Hunt Transport Services Incアメリカ2022/1226,823
3Knight-Swift Transportation Holdings Incアメリカ2022/1212,035
4Americold Realty Trust Incアメリカ2022/1211,895
5ニチレイ日本2023/034,277
6Werner Enterprises Incアメリカ2022/123,823
7DFDS A/Sデンマーク2022/122,607
8AZ-COM丸和ホールディングス日本2023/032,526
9Marten Transport Ltdアメリカ2022/122,234
10STEFフランス2022/121,895
11SBSホールディングス日本2022/121,319
12SCGJWD Logistics PCLタイ2022/121,101
13CryoPort Incアメリカ2022/12977
14Transport Corp of India Ltdインド2023/03961
15Covenant Logistics Group Incアメリカ2022/12794
16Kerry TJ Logistics Company Limited台湾2022/12730
17Gateway Distriparks Ltdインド2023/03608
18C&Fロジホールディングス日本2023/03332
19キユーソー流通システム日本2022/11230
20TASCO Bhdマレーシア2022/03194
21Taiwan Pelican Express Co., Ltd.台湾2022/12171
22Snowman Logistics Ltdインド2023/03138
23Tiong Nam Logistics Holdings Bhdマレーシア2022/03104
24Tiger Logistics (India) Ltdインド2023/0367
25五健堂日本2022/1252
26アイスコ日本2023/0331
27大宝運輸日本2023/0327

出典:各社プレスリリースなど

世界のトラック(低温物流)会社ランキングの有用性

トラック(低温物流)会社のランキングを作成・利用することは、さまざまな利点や有用性を持っています。以下にその主要な点を列挙します。

  • 業界の理解: ランキングは業界の現在の動向や規模を把握する上で有効な手段となります。どの企業がリーダーであるのか、どの企業が急成長しているのかなどの情報が明確になります。

  • 投資判断の材料: 投資家やアナリストは、ランキングを利用して業界のトップ企業やその動向を理解することができます。これにより、投資先の選定やリスク評価の判断材料として活用できます。

  • B2Bの取引基準: 他の企業とのビジネスを行う際、ランキング情報は信用や実績の指標として利用されることがあります。高いランクを持つ企業は、取引先からの信頼を得やすくなります。

  • 競合分析: 企業自体が自分たちの位置を確認し、競合他社との比較を行うためにランキングを利用することができます。

  • マーケティングツール: 企業はランキング情報をマーケティングの一環として使用することができます。例えば、業界内でのトップランクを獲得した場合、それをPR材料として利用することで、企業の信頼性やブランドイメージの向上につながります。

  • 低温物流の特殊性: 低温物流は食品や医薬品など、品質管理が非常に重要な分野での輸送を扱っています。このような特殊性を持つ業界でのランキングは、その品質やサービスの信頼性を示す重要な指標となり得ます。

  • 業界の進化と革新の追跡: 時間とともにランキングの変動を追跡することで、業界の技術革新や市場の変化、新興企業の台頭など、業界の動向を詳しく把握することができます。

  • 業界の健全性の指標: ランキングに登場する企業の多様性や、時価総額の分布、国別の分布などから、業界全体の健全性や競争の状況を評価することができます。

ただし、ランキングだけで企業や業界の全体像を理解するのは難しいため、他の情報と組み合わせて解析することが重要です。

世界のトラック(低温物流)会社ランキング:変化を与える要素

世界のトラック(低温物流)会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

技術革新

新しい低温技術やエネルギー効率の良い輸送手段の導入は、物流コストを削減し、サービスの品質を向上させる可能性があります。

追跡や運用管理のためのIT技術の導入も、効率性の向上や顧客サービスの向上に寄与します。

燃料価格の変動

燃料価格の上昇は運輸コストを押し上げ、その影響が時価総額や収益に反映されることが考えられます。

規制と政策

各国の環境基準や安全基準の変更、物流や輸送に関する新しい法律や規制が導入されることで、ビジネスモデルや運用に変更を余儀なくされることがあります。

市場の需要変動

例えば、新型ウイルスの感染拡大に伴う医薬品やワクチンの輸送需要の増加など、一時的または恒常的な市場の需要の変動が影響を与える可能性があります。

経済状況

世界経済や特定国の経済成長率の変動は、物流ニーズに大きな影響を及ぼすことがあります。

競合との競争

新規参入企業や大手企業の市場戦略の変更、価格競争などはランキングの変動の要因となることがあります。

災害や事故

自然災害や事故、ストライキなどの不測の事態は、短期的にも長期的にも企業の業績や評価に影響を及ぼす可能性があります。

M&A活動

企業の合併や買収は、その規模や市場シェア、サービス範囲の拡大などを通じてランキングに影響を与えることが考えられます。

ブランドや評判

企業のサービスの品質や顧客対応、社会的な評価などの要因は、顧客の選択やビジネスの展開に影響を及ぼし、結果としてランキングに変動をもたらす可能性があります。

これらの要因は、個別の企業だけでなく業界全体の動向やランキングに影響を及ぼすことが考えられます。企業や投資家はこれらの要因を常にモニタリングし、適切な戦略や対応を考える必要があります。

まとめ

2023年の世界のトラック(低温物流)会社ランキングを見ると、各企業の地域的な特性や技術革新、市場戦略の違いが明確になります。ランキングの変動要因として、技術革新、燃料価格、経済状況、M&A活動など、多岐にわたる要素が影響を及ぼしています。

業界を取り巻く環境は常に変化しており、これらの情報は、投資家やビジネス関係者が市場の動向を理解するための一助となることでしょう。今後も世界の物流業界はその重要性を増していくことが予想され、各企業の戦略や動きに注目が集まることとなります。

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