航空産業は、近年の経済成長、技術革新、規制環境の変化など多岐にわたる要因によって、その動向が絶えず変化しています。これらの変動の中で、空港施設および航空関連サービス会社は、市場の需要や投資家の関心を引きつける重要な役割を果たしてきました。

それでは、2023年におけるこれら企業の最新の動向はどのようになっているのでしょうか。この記事では、世界の空港施設・航空関連サービス会社の時価総額ベースのランキングTOP44をご紹介します。

世界の空港施設・航空関連サービス会社ランキング:時価総額TOP44

下記の世界の空港施設・航空関連サービス会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 地域分布
    • 中国が最も多くの企業(8社)をリスト上に持っており、強力な航空および空港関連産業を持つことが示唆されます。
    • アメリカは5社で続きます。
    • 日本は3社をランキングに載せています。
    • その他の国は、2社または1社でランキングに名を連ねています。

  • 時価総額の大小
    • 1位の「China Tourism Group Duty Free Corp Ltd」の時価総額は44,824億円で、2位の「Airports Of Thailand PLC」の39,052億円との差が明確です。
    • 15位までの企業の時価総額は6,000億円以上です。
    • 44位の「Saker Aviation Services Inc」は6億円と、ランキング上位と比べてかなり小さい時価総額です。

  • 産業の特徴
    • ランキング上位の企業は主に空港運営や免税店事業を手掛ける大手企業です。
    • リストの下位には、航空サービスや施設管理などのより特化されたサービスを提供する小規模な企業も見られます。

以上の特徴から、中国が航空および空港関連産業の強い地域であること、および大手の空港運営企業や免税店事業者が時価総額で上位を占めていることが確認できます。一方、リストの下位には、特定のサービスや地域に特化した小規模な企業も存在しています。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:China Tourism Group Duty Free Corp Ltd(中国)

中国を拠点とする大手免税店運営企業。旅行者向けにさまざまな製品を提供している。

中国の観光業の急成長に伴い、空港や都市部の免税店の売上が増加。また、中国の中産階級の拡大と国際旅行の増加により、免税商品の需要が高まっている。

2位:Airports Of Thailand PLC(タイ)

タイの主要な空港を運営する公共企業。バンコクのスワンナプーム国際空港など、国際的にも知名度の高い空港を保有している。

タイは国際的な観光地として知られており、年間を通して多くの旅行者が訪れる。このため、空港の収益性が高い。

3位:Aena SME SA(スペイン)

スペインを拠点とする空港運営企業。スペイン国内外で多くの空港を運営している。

スペインはヨーロッパ内での観光、ビジネスの重要なハブとして機能しており、多くの旅行者やビジネスマンが利用するため。

4位:Shanghai International Airport Co Ltd(中国)

上海の主要な空港を運営する企業。上海は中国の経済的な中心地の一つであり、国際的なフライトのハブとしても機能している。

上海は国際的なビジネスや観光のハブであり、その中心として空港の利用者数が非常に多い。

5位:Aeroports de Paris SA(フランス)

パリを中心に複数の空港を運営している企業。特にシャルル・ド・ゴール国際空港はヨーロッパでの主要なハブとして知られている。

パリはヨーロッパの主要な観光都市であり、また多くの国際的なフライトの乗り継ぎ地点としても機能しているため、空港の収益性が非常に高い。

これらの企業は、それぞれの国や都市が観光やビジネスの中心地としての役割を果たしているため、空港の利用者数や収益が増加しており、その結果として時価総額が高くなっています。

【世界の空港施設・航空関連サービス会社ランキング:時価総額TOP44リスト】

※対象となる空港施設・航空関連サービス会社として「上場企業」かつ「空港施設・航空関連サービス業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月27日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1China Tourism Group Duty Free Corp Ltd中国2022/1244,824
2Airports Of Thailand PLCタイ2022/0939,052
3Aena SME SAスペイン2022/1227,481
4Shanghai International Airport Co Ltd中国2022/1221,122
5Aeroports de Paris SAフランス2022/1219,135
6Grupo Aeroportuario del Pacifico SAB de CVメキシコ2022/1210,566
7Auckland International Airport Ltdニュージーランド2022/0610,373
8Airports Corp. of Vietnamベトナム2022/129,764
9Grupo Aeroportuario del Sureste SAB de CVメキシコ2022/129,568
10Dufry AGスイス2022/128,984
11Hainan Airport Infrastructure Co Ltd中国2022/128,947
12Kobenhavns Lufthavneデンマーク2022/128,628
13Flughafen Zuerich AGスイス2022/128,045
14Fraport AGドイツ2022/126,267
15Guangzhou Baiyun International Airport Co Ltd中国2022/126,205
16日本空港ビルデング日本2023/036,083
17Flughafen Wien Agオーストリア2022/125,524
18John Bean Technologies Corpアメリカ2022/124,898
19GMR Airports Infrastructure Ltdインド2023/034,371
20SATS Ltdシンガポール2023/034,064
21Beijing Capital International Airport Co Ltd香港2022/123,954
22Malaysia Airports Holdings Bhdマレーシア2022/123,426
23Corporacion America Airports SAルクセンブルク2022/122,990
24AAR Corpアメリカ2023/052,930
25Shenzhen Airport Co Ltd中国2022/122,825
26TAV Havalimanlari Holding ASトルコ2022/121,853
27Evergreen Aviation Technologies Corp台湾2022/121,691
28Sichuan Haite High-tech Co Ltd中国2022/121,391
29Celebi Hava Servisi ASトルコ2022/121,221
30Xiamen International Airport Co Ltd中国2022/121,191
31Groupe CRIT SAフランス2022/121,162
32Bangkok Airways PCLタイ2022/121,141
33Malta International Airport PLCマルタ2022/12870
34Hainan Meilan International Airport Co Ltd中国2022/12861
35Macquarie Infrastructure Holdings LLCアメリカ2021/12387
36空港施設日本2023/03294
37MacroAsia Corpフィリピン2022/12200
38Megawide Construction Corpフィリピン2022/12158
39KoreaAirportService Co Ltd大韓民国2022/12124
40エージーピー日本2023/03123
41PT Cardig Aero Services Tbkインドネシア2022/12103
42Air T Incアメリカ2023/0390
43Sapura Resources Bhdマレーシア2023/0119
44Saker Aviation Services Incアメリカ2022/126

出典:各社プレスリリースなど

世界の空港施設・航空関連サービス会社ランキングの有用性

世界の空港施設・航空関連サービス会社のランキングは、多くの関連業界や投資家、消費者などにとって有用な情報を提供します。以下に、その有用性を詳しく考察します。

  • 投資判断の参考:このランキングは、投資家にとって、どの企業が成長しているかやどの企業が市場での優位性を持っているかを示す指標となる。時価総額は企業の市場での価値を示すため、投資先としての魅力を評価する材料として活用できます。

  • 業界のトレンドの把握:ランキングの変動や新たな企業の登場は、業界内の動向や変化を示すものとなります。これにより、業界の成長や変革の方向性を読み取ることができます。

  • ベンチマーキング:各企業は、ランキングを参考に自社のポジションや競争状況を把握することができます。また、トップ企業の戦略や取り組みをベンチマークとして参考にすることで、自社の業績向上策を考える材料とすることができます。

  • 消費者の選択基準として:一部の消費者は、ランキング情報をもとに、信頼性やサービスの質を判断する場合があります。トップランクの企業は、その名声やブランド力をさらに高めることができる可能性があります。

  • M&Aの参考情報として:企業が合併や買収の計画を立てる際、ランキング情報は潜在的なパートナーやターゲットとしての企業を特定するための情報源として活用できます。

  • 地域や国別の業界動向の理解:ランキングからは、特定の国や地域が業界内でどれだけの影響力を持っているのか、またその動向や成長性を評価することができます。

  • 公共政策や規制の参考:政府や関連機関は、ランキング情報を基に、航空産業の健全な成長や競争を促進するための政策や規制の方向性を考えることができます。

総じて、世界の空港施設・航空関連サービス会社のランキングは、多くのステークホルダーにとって貴重な情報を提供し、その業界の健全な成長や競争を促進する役割を果たしています。

世界の空港施設・航空関連サービス会社ランキング:変化を与える要素

世界の空港施設・航空関連サービス会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

経済成長

特定の国や地域の経済成長は、人々の所得の増加やビジネスの拡大を引き起こす可能性があり、それに伴い航空需要が増加します。これにより、空港や航空関連サービスの需要も増大する可能性があります。

新航路の開設や拡大

新しい航路が開設されたり、既存の航路が拡大されたりすると、関連する空港やサービス会社の収益が増加する可能性があります。

技術革新

新しい技術やサービスの導入、例えば、高度なセキュリティ技術や自動化されたチェックインプロセスなどは、効率性の向上や顧客満足度の増加に寄与する可能性があります。

規制や政策

政府の政策や規制は、空港の拡大、新規事業の許可、または特定の事業活動の制約など、航空関連サービス業界に大きな影響を及ぼすことがあります。

観光政策

国や地域が観光を促進する政策を取ると、観光客の増加とともに航空需要が増加する可能性があります。

自然災害や疫病

地震、洪水、ウイルスの大流行(例:COVID-19)などの非予測的な出来事は、航空需要に大きな打撃を与えることがあります。

石油価格の変動

燃料費は航空業界の主要なコストの一部であるため、石油価格の大幅な上昇や低下は、航空関連のサービス会社の収益性に影響を与える可能性があります。

競合との関係

新しい競合企業の参入や既存の競合企業との合併・買収など、業界内の競争環境の変化は、ランキングに変動をもたらす要因となります。

インフラ投資

空港の拡張や改善、新しいターミナルの建設など、大規模なインフラ投資は、航空関連サービス会社の収益性や市場での地位を向上させる可能性があります。

顧客の評価やブランドイメージ

顧客サービスの質や安全性、効率性などの要因は、顧客の選好やブランドの評価に影響を与え、それが企業のランキングに影響する可能性があります。

これらの要因は、航空関連サービス業界の競争環境を形成する主要な要素であり、ランキングに変動をもたらす可能性がある事項を示しています。

まとめ

2023年の空港施設・航空関連サービス会社のランキングを見ると、多様な国々からの企業が上位を占めており、グローバルな視点での競争が続いていることが伺えます。ランキングの変動は、経済の動きや技術の進化、さらには外部環境の影響を受けやすいことが確認できます。

投資家や業界関係者は、このランキングを参考に、今後の市場の動向やビジネスの機会を見極める手助けとして活用することができるでしょう。航空産業の今後の成長とともに、これらの企業がどのように進化していくのかを引き続き注視していきたいと思います。

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