編集部
デジタル広告業界は絶えず変化と進化を続けています。テクノロジーの進歩、新しいプラットフォームの出現、そして広告の消費者へのアプローチ方法の変更など、様々な要因がアドテクノロジー業界を形成しています。そして、この背景の中で、数多くのアドテク企業が市場で競争し、その結果として時価総額に大きな差が生まれています。今回の記事では、2023年時点での世界のアドテクノロジー会社のランキングを、時価総額ベースでのTOP32としてお届けします。このリストは、アドテク業界の現在の動向を理解する上で貴重な資料となるでしょう。
世界のアドテクノロジー会社ランキング：時価総額TOP32
下記の世界のアドテクノロジー会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 企業の国別分布:
- アメリカ企業がランキング上位に多く、特にトップ4中3社がアメリカ企業です。
- 日本企業がリスト中に多く含まれており、特にランキング下位に集中しています。
- 中国企業もいくつかランキングに名を連ねていますが、その中でもBaidu Incが突出して高い時価総額を持っています。
- 時価総額の差:
- Alphabet IncとMeta Platforms Incは、他の企業と比較して非常に高い時価総額を有しており、特にAlphabet Incの時価総額は2位の2倍以上です。
- ランキングが下がるにつれて、時価総額の間隔が狭くなっていることがわかります。
- 業種や業界の特性:
- このランキングは恐らくテクノロジーやデジタル関連の企業を中心にしていると推測されます。Alphabet Inc、Meta Platforms Inc、Baidu Incなど、上位にランクインしている企業はインターネットやテクノロジー関連の大手企業です。
- 時価総額の範囲:
- リストの上位と下位の差は非常に大きく、Alphabet Incの時価総額は2,024,468億円なのに対し、ColorTV Ltdはわずか1億円です。
- この大きなばらつきは、業界内での競争力や市場での認知度、さらには企業の規模や成熟度によるものと思われます。
総合的に、このランキングはテクノロジー関連の企業に焦点を当てており、国や規模、市場での位置によって大きな差が生じていることが観察できます。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位：Alphabet Inc（アメリカ）
Googleの親会社として知られ、検索エンジン、動画共有プラットフォーム（YouTube）、クラウドコンピューティング、広告技術など、多岐にわたるビジネスを展開しています。
Google検索は全世界で利用されており、その広告収入は膨大。また、YouTubeやGoogle Cloudといったその他の事業も急成長しています。技術革新と巨大なユーザーベースが時価総額を押し上げています。
2位：Meta Platforms Inc（アメリカ）
以前はFacebook Incとして知られ、ソーシャルネットワークサービス（Facebook, Instagram, WhatsApp）を提供。また、最近は仮想環境「メタバース」の構築に注力しています。
Facebookは世界中で数十億のユーザーを有し、その広告プラットフォームは高い収益を上げています。新しい技術やプラットフォームへの投資も時価総額の拡大をサポートしています。
3位：Baidu Inc（中国）
中国最大の検索エンジンとして知られ、AI技術や自動運転車の技術開発など、多岐にわたる技術革新に取り組んでいます。
中国の巨大な市場でのリーダーとしての位置づけ、そして多岐にわたる技術開発への投資が、企業の成長と時価総額の増加を後押ししています。
4位：The Trade Desk Inc（アメリカ）
デジタル広告のプログラマティックバイイングを可能にする技術プラットフォームを提供しています。
プログラマティック広告の需要の増加と、その市場でのリーダーとしての位置づけが、企業の収益と評価を押し上げています。
5位：Zホールディングス（日本）
Yahoo! JAPANやLINEなど、多くのサービスを提供する日本の大手インターネット企業。
日本のデジタル市場における強固な地位と、多岐にわたるサービスの提供が、企業の収益性とブランドの信頼性を高めています。
これらの企業は、それぞれの市場や地域でのリーダーシップ、技術革新、広大なユーザーベース、そして強固な収益基盤を持っており、これが高い時価総額という結果として現れています。
【世界のアドテクノロジー会社ランキング：時価総額TOP32リスト】
※対象となるアドテクノロジー会社として「上場企業」かつ「アドテクノロジー業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点（2023年7月27日）の株価および為替レートで算出
| ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額（億円） |
| 1 | Alphabet Inc | アメリカ | 2022/12 | 2,024,468 |
| 2 | Meta Platforms Inc | アメリカ | 2022/12 | 1,000,703 |
| 3 | Baidu Inc | 中国 | 2022/12 | 69,435 |
| 4 | The Trade Desk Inc | アメリカ | 2022/12 | 54,595 |
| 5 | Zホールディングス | 日本 | 2023/03 | 29,489 |
| 6 | サイバーエージェント | 日本 | 2022/09 | 5,094 |
| 7 | Magnite Inc | アメリカ | 2022/12 | 2,605 |
| 8 | LiveRamp Holdings Inc | アメリカ | 2023/03 | 2,459 |
| 9 | Criteo SA | フランス | 2022/12 | 2,441 |
| 10 | Perion Network Ltd | イスラエル | 2022/12 | 2,247 |
| 11 | Zhewen Interactive Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,514 |
| 12 | Digital Turbine Inc | アメリカ | 2023/03 | 1,405 |
| 13 | Mobvista Inc | 中国 | 2022/12 | 1,026 |
| 14 | Macbee Planet | 日本 | 2023/04 | 736 |
| 15 | Inly Media Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 524 |
| 16 | マイクロアド | 日本 | 2022/09 | 468 |
| 17 | ユナイテッド | 日本 | 2023/03 | 343 |
| 18 | CARTA HOLDINGS | 日本 | 2022/12 | 304 |
| 19 | フリークアウト・ホールディングス | 日本 | 2022/09 | 219 |
| 20 | ジーニー | 日本 | 2023/03 | 206 |
| 21 | Otello Corp ASA | ノルウェー | 2022/12 | 110 |
| 22 | Bucket Studio Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 102 |
| 23 | GMOアドパートナーズ | 日本 | 2022/12 | 71 |
| 24 | SMN | 日本 | 2023/03 | 68 |
| 25 | WACUL | 日本 | 2023/02 | 67 |
| 26 | サイジニア | 日本 | 2022/06 | 67 |
| 27 | イオレ | 日本 | 2023/03 | 55 |
| 28 | インティメート・マージャー | 日本 | 2022/09 | 54 |
| 29 | ログリー | 日本 | 2023/03 | 26 |
| 30 | ALiNKインターネット | 日本 | 2023/02 | 24 |
| 31 | Geolocation Technology | 日本 | 2022/06 | 12 |
| 32 | ColorTV Ltd | オーストラリア | 2021/12 | 1 |
出典：各社プレスリリースなど
世界のアドテクノロジー会社ランキングの有用性
アドテクノロジー（広告技術）会社のランキングは、広告業界の関係者や投資家、その他のステークホルダーに対して、多くの有用性や情報を提供することができます。以下に、その有用性を詳細に考えてみましょう。
- 市場動向の把握:ランキングは、アドテク業界のどの企業が成功しているか、どの企業が影響力を持っているかを示す指標となります。これにより、市場の動向や変化、トレンドを把握する手助けとなります。
- 投資判断の参考:投資家やアナリストは、アドテクノロジー企業の時価総額や成長率、その他の業績指標を参考にして投資判断を下すことができます。
- 競合分析:企業はランキングを利用して、競合他社との位置関係を確認し、自社の強みや弱みを評価する材料とすることができます。
- 新しい技術やサービスの発見:ランキング上位の企業がどのような新技術やサービスを提供しているかを追跡することで、新しい機会や可能性を発見する手助けとなることが期待できます。
- 業界の健全性や安定性の評価:時価総額の分布やランキング内での変動を観察することで、業界全体の健全性や安定性、成熟度を評価する材料とすることができます。
- ブランドや認知度の向上:ランキング上位に位置する企業は、その事実をマーケティングや広報活動に活用することで、ブランドの認知度や信頼性を向上させることができます。
- パートナーシップや提携の機会:ランキング情報をもとに、提携やパートナーシップを結ぶターゲット企業を特定し、ビジネス拡大の機会を模索することができます。
以上のように、アドテクノロジー会社のランキングは、業界の状況を理解し、戦略的な判断を下すための多岐にわたる有用性を持っています。
世界のアドテクノロジー会社ランキング：変化を与える要素
世界のアドテクノロジー会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術の革新
アドテク業界は常に進化しているため、新しい技術やソリューションの開発・導入が競争力を左右します。例えば、AIを活用した広告最適化ツールの提供や、新しいデータ解析手法の導入などが考えられます。
規制と法律
プライバシーやデータ保護に関する法律（例：EUのGDPR）は、アドテクノロジーの取り扱いやビジネスモデルに直接影響を与えます。これに適応する能力が企業の競争力を決定する要因となることがあります。
市場の変化
広告主のニーズや消費者行動の変化、新しいメディアチャンネルの出現など、市場の変動はアドテクの需要や供給に影響を与えます。
経済状況
経済的な不況やブームは広告予算や投資に影響を与え、アドテク企業の業績や時価総額にも影響します。
企業のM&A
企業の合併や買収はランキングに大きな変動をもたらす可能性があります。特に大手企業による買収や戦略的な提携が行われると、ランキングの上位陣に変動が生じることが考えられます。
競合との競争
新しいプレイヤーの参入や、既存の競合企業との競争の激化は、ランキングに影響を与える要因となります。
ブランド力と認知度
広告業界での信頼性や認知度は、新しい取引の獲得や長期的なパートナーシップの確立に寄与します。
グローバル展開
地域に限定されず、グローバルに事業展開することで市場シェアを増やし、ランキング上での位置を向上させる可能性があります。
データの品質と取得能力
高品質なデータを効果的に取得・活用する能力は、アドテク業界での競争力を向上させる重要な要素です。
顧客の成功事例やフィードバック
顧客の成功事例や肯定的なフィードバックが公になることで、その企業の信頼性やサービスの品質が証明され、新規顧客の獲得や既存顧客とのリレーション強化が期待できます。
これらの要素は、アドテクノロジー会社のランキングに変動をもたらす要因として、常に業界の関係者や分析者の注目を集めています。
まとめ
2023年のアドテクノロジー会社のランキングを通じて、業界の大手から新進の企業までの動きを捉えることができました。特に、アメリカや中国、日本などの国々から多くの企業がランクインしており、それぞれが独自の戦略や技術を武器に激しい競争を繰り広げていることがわかります。そして、このランキングは単なる数字以上の価値があります。それぞれの企業の背後には、技術の革新や市場戦略、そして法規制への対応など、多岐にわたる要因が影響を与えているのです。今後もアドテクノロジー業界は変化し続けることでしょう。私たちもその変化を見守りながら、最新の動向や情報をお届けしてまいります。