SNS「GREE」の運営会社として有名なグリー株式会社が、現在メタバースに大きく進出していることをご存じでしょうか。
SNSだけでなくゲーム・アニメ・DXなどさまざまな事業を展開するグリーですが、メタバース事業にも100億円規模の投資を行う見込みであると発表しました。この記事ではグリーが展開しているメタバース事業を、同社の狙いも含めて紹介していきます。
グリーはどんな会社?
グリー株式会社は日本のインターネット関連サービスを運営する企業です。2004年にコミュニティサービス「GREE」の運営会社として設立されました。グリー株式会社の会社概要は、以下のとおりです。
社名 | グリー株式会社 |
設立 | 2004年12月7日 |
代表者 | 代表取締役会長兼社長 田中 良和 |
本社所在地 | 〒106−0032 東京都港区六本木6-11-1 六本木ヒルズゲートタワー |
従業員数 | 1,616人(グループ全体・2022年6月末現在) |
おもなグループ会社 | 株式会社WFS REALITY株式会社 アウモ株式会社 Glossom株式会社 DADAN株式会社 グリーベンチャーズ株式会社 |
グリーはSNSの運営会社として運営会社としてスタートしましたが、その後はゲーム制作やコマース事業にも進出しています。グリーが展開する事業内容は、以下の6事業です。
- ゲーム・アニメ事業
- メタバース事業
- コマース事業
- DX事業
- マンガ事業
- 投資・インキュベーション事業
上記の中でも、グリーは「ゲーム・アニメ事業」を大きく展開してきました。世界初のモバイルソーシャルゲーム「釣り★スタ」をはじめ、多くの人気タイトルを世に送り出しています。
そのノウハウを活かして、2018年にはVTuber専用ライブ配信プラットフォーム「REALITY」を提供開始。2021年からはREALITYを「メタバース事業」と再定義して、メタバース業界へも進出しました。
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グリーにおける5つのメタバース事業
グリーではさまざまなメタバース事業を行っており、たとえば以下の5つの分野に活用されています。
- REALITY World
- バーチャル支店
- Vtuberイベントプロモーション
- 社内向け戦略発表会
- バーチャル映画館
それぞれ具体的に見ていきましょう。
また、グリー以外の企業におけるメタバース事業について知りたい方は「日本と海外のメタバース企業一覧|参入の価値は十分あり?将来性も解説」の記事もご覧ください。
REALITY World
「REALITY World」は、グリーの子会社であるREALITY株式会社が提供している法人向けメタバース「REALITY XR Cloud」内で利用できるサービスのひとつです。
個人向けメタバースサービスであるスマートフォンアプリ「REALITY」を、法人向けソリューションとして提供しています。REALITYは、スマートフォンのカメラを利用したモーションキャプチャで、自身のアバターを動かしてライブ配信を行えるアプリです。
REALITY Worldはこの技術をもとに、メタバースのワールドを作るソリューションとして展開されました。2022年2月にはお花見をテーマにした「桜ワールド」がトライアルとして制作され、のべ400万人が来場するなど大きな集客力のあるサービスとなっています。
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バーチャル支店
バーチャル支店は、「企業の支店」としてメタバース上に制作されたメタバースワールドです。REALITYのおもなユーザ層である10〜20代に向けた商品販促の場として、メタバース上で企業のサービスを体験しながら購買につなげるプラットフォームとして展開されています。
たとえば株式会社エイチ・アイ・エスは、バーチャル支店「HISトラベルワールド」をREALITY上に設置しています。HISトラベルワールドでは同社が提供する旅行サービスの販促を行っており、実際にハワイや沖縄などを再現したワールドへ訪問できるのが特徴です。
メタバース上で旅行を体感しつつ、これらをSNSで拡散したり、QRコードなどですぐに旅行の予約もできたりと「入り込めるパンフレット」を体験できる場となっています。
Vtuberイベントプロモーション
グリーは、同社が展開するVTuber配信アプリである「REALITY」のライバーをプロモーションするイベントも開催しています。
たとえば、2022年6月から7月にかけて約1ヶ月間開催された「ミュージックフェスワールド」です。このイベントでは、ライブハウスや野外ライブステージなどVTuberが活躍できるメタバースワールドが用意されました。
同イベントではロート製薬公式VTuberの根羽清ココロさんともコラボレーションしており、目玉となったのは7月1日の大規模なメタバースライブです。多くの有名VTuberも出演し、注目を集めました。
社内向け戦略発表会
全社戦略発表会イベントをメタバース上で開催するためのソリューションも提供しています。たとえばオンラインゲームの制作などを手がける株式会社マーベラスでは、メタバース上にイベントステージを用意し、オンラインでの社内戦略発表会を実施しました。
特徴的なのは、独自のアバターで登場した社内スタッフが司会を進行し、参加している従業員のコメントが画面上に表示されるなど、メタバースならではの演出です。
メタバースイベントはエンターテイメントだけでなくビジネス向けの活用も増えています。さらに詳細を知りたい方は、「メタバースはビジネスチャンスの宝庫?活用事例やメリット・デメリットを紹介」もご覧ください。
バーチャル映画館
メタバース上で映画を鑑賞できる「バーチャルシネマ」も、メタバース活用のひとつとしてグリーが展開しています。コロナ禍などの昨今の情勢から、家にいながらも映画館の迫力で映画などを見られるサービスとして企画されました。
バーチャルシネマでは、映画だけでなく3D空間を活用したさまざまなコンテンツを楽しむことが計画されています。たとえばライブ会場・Eスポーツ会場としての活用です。
すでにユーザー同士でコミュニケーションを取れるチャット機能が実装されており、人々をオンラインで繋ぐエンターテイメントの場として期待されています。
グリーがメタバース事業に参入する3つの理由
グリーは子会社であるREALITY株式会社を中心にメタバース事業に進出しており、今後2〜3年で100億円規模の投資を行い、数億ユーザーを目指すと発表しています。
ここでは、なぜグリーがメタバースにこれほど大きく投資しているのかについて見ていきましょう。メタバースとは何か、どのように始めればよいか詳しく知りたい方は「【具体例つき】メタバースとは?メリット・デメリットもわかりやすく解説」もご覧ください。
アバターやゲームなど自社ノウハウが活かせる
グリーがメタバース事業の中心としているメタバースアプリ「REALITY」は、ユーザーが独自のアバターを作成してライブ配信や交流ができるサービスです。また、ゲームやワールド制作にも力を入れています。
グリーCFOの大矢俊樹氏は、グリーはもともとアバターやゲームを基軸にしたSNSを展開していた企業であるため、それらのノウハウがメタバースに活かせるとコメントしました。
グリーはメタバースを新時代のコミュニケーションのあり方と捉えており、これまでのSNSの発展系としてグローバルで成長できるプラットフォームを目指しているのです。
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海外ユーザーを取り込める
REALITYは63以上の国・地域でサービスを展開、12以上の言語に対応しています。すでに利用しているユーザーの85%は日本国外の人であるというデータもあり、広くグローバル化を目指せるアプリとなっているのです。
メタバースにはMeta(旧Facebook)やMicrosoftなど海外の大手IT企業も大きく投資しており、世界的なトレンドとなっています。グリーはREALITYを足がかりに広くメタバース分野へ進出することで、海外ユーザーの流入を狙っているといえるでしょう。
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プラットフォーマーとして安定的な収益が見込める
グリーはメタバースのプラットフォーマーになることで、安定的な収益を見込んでいます。プラットフォーマーとしての強みは、コンテンツ取引などを継続的に収益化できる点です。
メタバースではアバター、ワールドの設置物、アイテムなどさまざまなデジタルコンテンツが制作されています。これらの取引に独自通貨を設けたり、ユーザー同士の取引に一定額の手数料を徴収するなどさまざまな面で収益が見込めるため、安定した経営が可能なのです。
なお、メタバースにはプラットフォーマー以外にも多くのビジネスモデルが存在します。詳しく知りたい方は「メタバースはビジネスチャンスの宝庫?活用事例やメリット・デメリットを紹介」の記事も参考にしてみてください。
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グリーはメタバースのプラットフォーマーとして成長中!
グリーは培ってきたアバター・ゲームなどのノウハウをもとに、世界規模のメタバースプラットフォーマーを目指して急成長しています。今後も大きな投資を行う見込みである点、またメタバース業界全体も拡大が期待される点から、さらなる事業展開がされるでしょう。
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