近年大きな注目を集める「メタバース」分野に、あのディズニーも大きく参入していることをご存じでしょうか。実は、キャラクタービジネスの最大手企業も、メタバース分野に対してビジネスの親和性や将来性を感じているのです。
この記事では、ディズニーが行なっている具体的なメタバース事業や、参入した理由について解説します。
ディズニーの会社概要
The Walt Disney Company(ウォルト・ディズニー・カンパニー)は、「ディズニー」として映画・キャラクターで知られるエンターテイメント企業です。ここでは、ディズニーがどのような事業を行なっているのか、会社概要とともに見ていきます。
社名 | ウォルト・ディズニー・カンパニー |
設立 | 1923年10月16日 |
代表者 | CEO ボブ・チャペック |
本社所在地 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 バーバンク |
おもなグループ会社 | ABC(アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー)ピクサー・アニメーション・スタジオマーベル・コミックHulu |
ディズニーは1959年に現地日本法人も設立しており、現在はウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社として日本の事業を管轄しています。事業内容は多岐にわたりますが、公式WEBサイトで紹介されているのは、大きく以下の4つの部門です。
- DISNEY MEDIA & ENTERTAINMENT DISTRIBUTION(テクノロジー・メディア配信・広告販売)
- DISNEY GENERAL ENTERTAINMENT CONTENT(ストリーミング・コンテンツ制作)
- DISNEY PARKS, EXPERIENCES AND PRODUCTS(テーマパーク・リゾート・グッズ)
- THE WALT DISNEY COMPANY(ビジネスサポートチーム)
世界的に有名なコンテンツ・キャラクターブランドを使ったメディアやテーマパークはもちろん、近年はストリーミング配信まで幅広く手がけています。
ディズニーにおけるメタバース関連の動き
ディズニーは1956年に3D映像を用いたアトラクションを導入するなど、常に新しいテクノロジーを取り入れています。現在はメタバースにも進出しており、さまざまな分野でサービスを展開中です。ここでは、その一例を見ていきましょう。
また、ディズニー以外の企業におけるメタバース事業について知りたいという方は「日本と海外のメタバース企業一覧|参入の価値は十分あり?将来性も解説」もぜひご覧ください。
バーチャルディズニーストアが誕生
ディズニーのグッズなどを取り扱う「ディズニーストア」が、メタバース空間上にオープンするというイベントが実施されました。このバーチャルディズニーストアはVRイベントである「バーチャルマーケット5」に期間限定で出店され、実際のグッズの購入が可能です。
ここでは、バーチャルディズニーストアの詳しい特徴を見ていきましょう。
世界中からアクセス可能
メタバースはインターネットを通じて世界中からアクセスできるのが特徴です。バーチャルディズニーストアも、24時間いつでも誰でもアクセスできる店舗として展開されました。
「バーチャルマーケット5」はVRゲーム「VRChat」を利用して参加でき、誰でも無料でプレイが可能です。2020年12月19日から2021年1月10日までの約1ヶ月間に、イベント全体で100万人を超える来場者を記録しました。
人気シリーズエリアを展開
バーチャルディズニーストアは、デザインを変更しやすいというバーチャルの特性を活かして店舗内にさまざまなエリアを実装しました。
たとえば、「マーベル」エリアと「ディズニーツイステッドワンダーランド」エリアです。ともにディズニーの人気シリーズで、それぞれ等身大キャラクターフィギュアや限定アイテムなどが展示されました。
また、イベント開催が12月・1月だったことから、クリスマスやお正月をイメージした内装や商品も飾られています。
バーチャルハロウィーンイベント2021を開催
日本発のメタバースプラットフォームである「cluster」では、バーチャルハロウィーンイベント2021が開催されました。このイベントは2021年10月18日より開催された、「ディズニーツイステッドワンダーランド」の世界を楽しめるイベントです。
単にゲームの世界をバーチャル空間に再現するだけでなく、デジタルスタンプラリーなどのイベントも行われました。スタンプラリーでは5つのエリアで提示されたミッションをクリアすることでスタンプを入手でき、5つ集めると限定アバターを入手できます。
clusterはPC・スマートフォンなどから簡単にアクセスできるメタバースプラットフォームで、このような大規模なイベントもしばしば行われています。clusterについて詳しく知りたい方は「clusterとは?メタバース業界で存在感を増す企業の動きに迫る!」も参考にしてみてください。
仮想世界シミュレーターの特許を取得
ディズニーは仮想世界を体感するテクノロジーである「バーチャルワールド・シミュレーター」を開発、アメリカで特許を取得しました。これはプロジェクション装置・トラッキングなどの技術を使って現実世界と仮想世界を連動させるシステムです。
ディズニーは2021年の業績発表で「最高の体験を消費者に提供する新テクノロジー」の活用を事業方針として掲げていました。その一つがこの仮想世界シミュレーターで、ヘッドセットなどのデバイスがなくてもARを楽しめるシステムとして開発中です。
ディズニーはARデバイスが着脱の煩雑さやコスト面などで問題点を抱えていると考え、簡単に仮想世界を体験する方法としてこの技術を提案しました。ユーザーの動きをカメラがトラッキングし、それに応じた映像を周囲の壁や空間に投影することで擬似的にARを体験できます。
この技術はまだ実際に導入する計画はないとのことですが、今後さまざまなアトラクションなどに利用されることが期待されます。
NFTの販売も開始
ディズニーはNFT(非代替性トークン)の販売にも進出しています。NFTはデジタルデータを複製困難にし、本物・偽物の判別を可能にする技術です。アート・ゲーム・チケットなどさまざまな分野に応用されています。
ディズニーが販売したのは、ディズニーキャラクターの絵が描かれたデジタルアートのNFTです。2021年11月に1枚333ドル(約37,000円)という価格設定で販売され、4,333枚がすぐに完売しました。
NFTはデジタルデータであるため、2次取引が簡単に行えるのも特徴の一つです。ディズニーが公式に発行したとわかるNFTの特性から価値が高まり、2022年2月には1枚24,200ドル(約2,662,000円)まで値上がりしました。
ディズニーはその後もNFTアートコレクションを販売しており、いずれも販売時より価値が高まりました。今後もNFTが出されると予想され、大きな注目を集めています。
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ディズニーがメタバース事業に参入する3つの理由
さまざまな側面からメタバースに参入するディズニーですが、その狙いはどこにあるのでしょうか。ここでは、ディズニーがメタバース事業に参入する理由を大きく3つ紹介します。
世界的に有名なエンターテインメント資産が多い
1点目は、そもそもディズニーが持っている世界的なキャラクター・映画・テーマパークを生かせるため、相性がよいという理由です。メタバースはVRやAR技術を使って没入型のバーチャル体験をできます。
そのため、ディズニーが持つ資産をより身近に強く体感できるプラットフォームとして期待できるのです。
メタバースを活用したビジネスモデルはプラットフォーマーのほか、クリエイターのサポートや自社サービスの展開などがあります。各ビジネスモデルの特徴や収益性について知りたい方は、「メタバースはビジネスチャンスの宝庫?活用事例やメリット・デメリットを紹介」もぜひご覧ください。
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テクノロジーに精通したリーダーがいる
2点目は、最新技術であるメタバース事業への進出にあたり上級幹部として任命された「マイク・ホワイト氏」の存在です。
ホワイト氏は10年間にわたりディズニーの各テクノロジー部門で責任者を勤めた経験があり、データシステム・モバイル・ゲームなど多岐にわたる技術開発の指揮を行なってきました。
近年さまざまな分野の業界でメタバース進出が進んでいますが、ディズニーはその中でも知名度・人気の高いキャラクターや映画を持っています。
このようなディズニーブランドと最新技術との融合を長きにわたって見てきたホワイト氏をリーダーに起用することで、最大限にメタバースを活用できるとディズニーは考えているのです。
活発なコミュニティが発足している
3点目は、ディズニーに関するコミュニティが発足しているという理由です。
そもそも知名度が高くファンも多いディズニー作品は、すでにさまざまなコミュニティがあります。その中でディズニー側も、新しくディズニーの世界観を取り入れた大規模なコミュニティを開発すると発表しました。
このプロジェクトは「ストーリーリビング・バイ・ディズニー」と名付けられ、住宅などを含む一種のコミュニティタウンとなっています。健康増進のプログラムや料理教室など生活に根付いたイベントも提供され、ゲストも1日券で入場が可能です。
この取り組みは、ディズニーがコミュニティの拡充に焦点を当てていることを表しているといえます。
テーマパーク事業のノウハウを持つディズニーならではの現実世界におけるコミュニティはもちろん、今後メタバースが浸透することで交流の場は仮想世界へも広がっていくでしょう。
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ディズニーもメタバース事業へ本腰を入れ始めている!
世界最大手のエンターテイメント企業であるディズニーも、メタバース事業が自社のビジネスとマッチすると考えて参入しています。今後さらに業界自体も拡大していくことが予想されるメタバースに、いち早く着目してみてはいかがでしょうか。
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