デザイン思考とは、デザイナーが特定の作品を作り出す際のプロセスをもとに考案された思考法です。デザイン思考は、顧客ニーズのキャッチアップに役立つため、プロダクト開発だけでなく、企業のスタートアップや事業の方針転換にも生かせるでしょう。
また、デザイン思考を体系的に理解しておくことで、社内の商品開発・アイデア出しのプロセスが加速し、VUCA時代に即した人材育成にも役立つはずです。
一方、デザイン思考の効率的な学習には専門の研修会社に依頼するのがおすすめですが、初めて利用する際は「どの会社の研修が良いのか」「研修内容に違いはあるのか」と悩むケースも少なくありません。
本記事では、上記のような方に向けて、デザイン思考研修の選び方に加えて、おすすめ10社の特徴や費用などを徹底解説します。
デザイン思考の研修会社を選ぶ時のポイント5つ
デザイン思考の研修会社を選ぶ際のポイントは、大きく分けて以下の5点です。
- デザイン思考研修の費用
- 研修会社・講師の実績
- デザイン思考研修の日数
- 研修のスタイル
- デザイン思考研修の内容
それぞれを把握することで、自社にマッチした会社が見つかるので、ぜひ参考にしてください。
デザイン思考研修の費用
デザイン思考の研修会社を選ぶ際は、最初に費用・予算から選別するのがおすすめです。
- カリキュラムの内容
- 研修形式・スタイル
- 参加人数
- 時間・日数
上記の内容によって研修費用は変動しますが、一般的に5名~10名定員の管理職研修であれば、40万円〜60万円が相場と思っておけば問題ないでしょう。
ただし、表面的なコストだけでなく、研修内容と費用、そして自社の知識レベルが噛み合っているかも重要なポイントといえます。
そのため「デザイン思考の基本的な考え方や概要の説明にとどまるのか」「具体的なプロセスをワークショップ形式で実践してもらえるか」など、できる限り詳細に内容を確認・比較しなければなりません。
研修会社・講師の実績
研修のクオリティは話者やカリキュラムによって大きく左右されるため、以下のようなポイントから研修会社と講師の実績にも着目しましょう。
- 研修内容に関連する業界で知名度が高い講師か
- 書籍の執筆経験がある人物か
- 研修会社がこれまで手がけてきた件数
上記である程度絞り込めたら、研修を依頼する前に何度か打ち合わせの機会を設け、企業担当者と講師の人柄、知識量なども確認してみてください。
デザイン思考研修の日数
意外な盲点となりがちなのが、研修のカリキュラムに応じた拘束日数です。個人と企業研修のいずれにしても「研修の最中は業務が行えない」ため、フリーランスなら直接的に収入が減り、組織単位であればチーム内で引継ぎを実施しなければなりません。
そのため、自社が検討する研修のスケジュールをチェックし、本業務をストップするだけの成果が得られるかを入念に吟味しましょう。
一方、どれだけ研修が良質であっても、受講者がきちんと学ばなければ効果は半減してしまいます。したがって自身や社員も「研修は休みではなく仕事の一環である」というマインドを持って真剣に臨むのがおすすめです。
研修のスタイル
一言で「研修」といっても、具体的なスタイルは以下のようにさまざまであり、いずれも異なるメリット・デメリットがあります。
研修スタイル | メリット | デメリット |
会場への集合型研修 (オフラインセミナー形式) | ・グループワークで主体的に参加可能・参加者同士でディスカッションできる・講師との距離が近く質問しやすい | ・現地へ向かうのに手間がかかる |
講師派遣型の社内研修 | ・社員が受講しやすい環境を用意可能・研修前後も無駄なく本業務が行える・社員の移動費(経費)を節約できる | ・大きなミーティングルームが確保しにくい・自社と講師の日程調整が決まりにくいケースがある |
オンライン研修 | ・いつでも研修を実施可能(録画型の場合)・場所を問わず受講できる | ・録画型の場合は講師とコミュニケーションが取れない・通信環境によっては映像が乱れる場合もある |
基本的にオンライン研修の方が会場のコストがかからない分リーズナブルな印象ですが、直接対面の方が即座に講師へ質問できるでしょう。
個人と企業単位のいずれにしても、費用対効果を考慮しつつ集中して学べる研修スタイルを選んでみてください。
デザイン思考研修の内容
研修会社を選ぶ上で、「どんな内容か」というポイントは費用や日数と並び非常に重要です。
- デザイン思考を実践するプロセスを学びたい
- デザイン思考を学び、状況に応じて柔軟な対応ができるようになりたい
- ワークショップを通じて実践的に学びたい
自社が求める内容・不足を感じている知識が得られなければ、そもそも研修に参加する意味がありません。
事前打ち合わせの時点で各社が提供する研修内容をよく確認し、ニーズにマッチする会社を選択しましょう。
もし不安であれば、スタッフやチーフ・課長といった現場のメンバーにもアンケートを取り、何を学びたいかを明確にするのがおすすめです。
▼関連記事▼
デザイン思考(デザインシンキング)とは?おすすめフレームワークと活用事例も解説
デザイン思考の研修におすすめの会社10選
デザイン思考の研修会社を選ぶポイントが把握できたら、次はおすすめの10社を具体的にチェックしていきましょう。
- 株式会社インソース
- RESKILL
- LINPRESS
- JMAマネジメントスクール:
- エディフィストラーニング株式会社
- 株式会社アイ・ラーニング
- 株式会社富士通ラーニングメディア
- ミテモ株式会社
- 株式会社グッドパッチ
- 日本プロジェクトソリューションズ株式会社
それぞれの特徴や費用を踏まえて、自社に合っているところを見つけてみてください。
株式会社インソース:講座数2,500超えの研修専門会社
研修の特徴・内容 | ・若手から管理職層まで幅広い層が受講可能・デザイン思考の概要・デザイン思考の5つのプロセス(共感・定義・発想・試作・試行)を学習グループワークを通じたデザイン思考の実践 |
研修スタイル | ・オンライン・オフライン集合型研修 |
所要日数 | 1日 |
費用 | 約30,000円 |
株式会社インソースのデザイン思考研修は、多様な顧客ニーズに応えられる商品・サービスを生み出すための思考プロセスを学べます。
参考までに、株式会社インソースはこれまで2,500以上の講座・研修を扱っているプロフェッショナル集団。同社が提供するデザイン思考の研修は、高い満足度を獲得しています。
RESKILL:10秒見積もり・無料オンライン対応が魅力
研修の特徴・内容 | ・実践的に役立つ内容まで落とし込める・デザイン思考の各プロセスを詳細に解説理解・デザイン思考全体をワークで実体験・前例や固定観念にとらわれないアイデア出しの方法 |
研修スタイル | ・オンライン・オフライン集合型研修 |
所要日数 | 1日(6時間) |
費用 | 料金一律|想定研修時間と概算人数の情報のみで見積もり対応可能 |
RESKILL(リスキル)のデザイン思考研修は、ビジネスにおいて必要とされる理由・活用シーンやベースとなる考え方が学べます。
デザイン思考の全般知識を満遍なく学べる上に、わずか10秒で見積もってもらえる点も大きな魅力。オンライン研修も追加料金なしで対応可能となっており、受講者に寄り添ったサポート体制が特徴的です。
LINPRESS:グループワークで効率的に身に付く
研修の特徴・内容 | ・画期的な生み出した事例からアイデアの発想法を学べる・異なる業界の受講者同士によるグループワーク・インタビューを通じて外部知識を取り込める |
研修スタイル | オンラインのみ |
所要日数 | 1日 |
費用 | 38,500円(税込)/人 |
LINPRESS(リンプレス)のデザイン思考研修は、身近な実例をもとにデザイン思考の基礎を学習し、実践的なプロセスを体感できます。
また、本研修はオンラインの個人参加型研修ですが、社内研修にも対応しているため、興味のある方は公式サイトから問い合わせてみましょう。
JMAマネジメントスクール:創立80年のJMAが開催
研修の特徴・内容 | ・デザイン思考を含めたさまざまな思考法を短期間で理解できる・デザイン思考のフレームワークやプロセスについて演習を通して学べる・デザイン思考を活用した社会課題の解決方法 |
研修スタイル | オンライン |
所要日数 | 2日 |
費用 | 114,400円(税込)/人 |
JMAマネジメントスクールのデザイン思考研修は思考手順のような表面知識だけでなく、デザイン思考の本質的な部分の理解を目指しています。
そして、本研修は創立80年を誇るJMA(日本能率協会)が主催しているのもおすすめ理由の1つであり、長年のノウハウからたしかな知識を授けてくれるでしょう。
製品・商品開発、社会課題の解決といった課題を取り上げてくれるため、多角的な視点から発想のヒントが得られます。
エディフィストラーニング株式会社:講義から演習までバランス良くカバー
研修の特徴・内容 | ・基礎編と応用編で網羅的な理解を促進・デザイン思考のマインド・手法に加えて職場や家庭での実践方法が学べる・演習を通して具体的な思考プロセスが身につく |
研修スタイル | オンライン |
所要日数 | 2日 |
費用 | 110,000円(税込)/人 |
エディフィストラーニング株式会社は、ベーシック(基礎)編とアドバンス(応用)編の2部構成でデザイン思考研修を実施しています。
具体的に、ベーシックではマインドセットやプロセスといった基盤となる部分を学習し、アドバンスでメソッドのバリエーションなどを充実させる流れです。
デザイン思考のプロセスを進める上で大切な「思考の柔軟性」も身につくため、ぜひ検討してみてください。
株式会社アイ・ラーニング:リーズナブルで良質な講座が人気
研修の特徴・内容 | ・幅広い職層・職種の方に対応・1人あたりの費用がリーズナブル・演習とワークショップ形式でデザイン思考のプロセスと手法を学べる・問題の見つけ方や考え方の切り口など、思考の発想を広げられる |
研修スタイル | オンライン |
所要日数 | 1日 |
費用 | 39,600円(税込)/人 |
株式会社アイ・ラーニングのデザイン思考研修は、思考プロセスと全体概要に加えて、現場で活用するための知識も習得できます。
他社に比べて研修費用が安価な点も大きな魅力であり、基礎学習をコスパ良く行いたい方には特に役立つでしょう。
株式会社富士通ラーニングメディア:さまざまなスタイルでデザイン思考のノウハウを提供
研修の特徴・内容 | ・デザイン思考の方法論を学び、実践できる・デザイン思考をイノベーションに結びつける手法・マインドが身につく |
研修スタイル | 集合研修(オフライン) |
所要日数 | 2日 |
費用 | 97,900円(税込)/人 |
株式会社富士通ラーニングメディアのデザイン思考研修は、思考プロセスの学習などを経て、自身の周囲に隠れているビジネス価値を見出すスキルが身につきます。
デザイン思考の端的な知識ではなく、根底的なマインドの部分から意識を変えることで現状の仕事を新しく捉え直し、より大きな価値づくりの実現にも繋がるでしょう。
ミテモ株式会社:年間47万人以上が受講
研修の特徴・内容 | ・デザイン思考研修の実績が豊富・研修がカスタマイズできて自由度が高い |
研修スタイル | 社内研修 |
所要日数 | 1日〜 |
費用 | 要問い合わせ |
ミテモ株式会社のデザイン思考研修はワークショップ形式となっており、日数や実施内容をカスタマイズして、オリジナルの社内研修を実施できます。
- デザイン思考のエッセンスを学びたい
- デザイン思考をベースに、新商品・サービスを考えられる力を身につけたい
- デザイン思考で新商品等の創出から価値を届けるまでのプロセスを身につけたい
上記のようにさまざまな要望に応じて研修を実施できるため、社内研修を検討している方は特におすすめです。
株式会社グッドパッチ:企業のニーズに合わせてプランをカスタマイズ
研修の特徴・内容 | ・ワークショップ形式で受講できる・デザイン思考に必要な要素を1日で体験できる・実際のアプリデザイン・サービスデザインの現場で培ったデザインプロセスが学べる・業種業界関係なく受講可能 |
研修スタイル | 社内研修 |
所要日数 | 1日 |
費用 | 要問い合わせ |
株式会社グッドパッチでは「デザインプロセスワークショップ」と題して、新規事業・事業改善に欠かせないUXリサーチ、サービスデザインなどの実践方法を、たったの1日で体験できます。
コンテンツや時間配分はカスタマイズ可能なため、研修の目的に合わせたオーダーメイドプランで研修を計画したい方におすすめです。
日本プロジェクトソリューションズ株式会社:研修受講実績5,000人以上
研修の特徴・内容 | ・研修形式を選べて体系的な理解が深まるカリキュラム・イノベーションに必要な問題解決スキルを身につけられる・難解なデザイン思考の知識体系を分かりやすく学べる |
研修スタイル | 対面式|eラーニング」 |
所要日数 | 2日(対面式) |
費用 | 要問い合わせ |
日本プロジェクトソリューションズ株式会社のデザイン思考研修は、デザイン思考によるアイデア創出に加えて、そこから先の事業化までを体系的に学べます。
研修実績についても申し分なく、さまざまな知識レベルに合わせた講義を展開してくれるため、たしかな効果が得られるでしょう。
デザイン思考の研修を受けるメリット3つ
ここからは、デザイン思考の研修を受ける3つのメリットを確認していきましょう。
- メンバー全員のナレッジを統一できる
- ネットや書籍では学べない知識が身につく
- 準備の手間がかからない
最大限の効果を引き出せるように、しっかり押さえておいてください。
メンバー全員のナレッジを統一できる
デザイン思考の研修をチーム単位で受講することで、メンバー全員の知識量や質を統一できるだけでなく、以下のような副次的なメリットも期待できます。
- 研修を通して目的意識・目線が統一化される
- 研修が受けられなかったメンバーにもナレッジを共有できる
- 研修後の知識共有もスムーズになる
また、良質な研修会社を選べば組織全体の知識レベルが大幅に底上げされるため、イノベーティブなアイデアが生まれる可能性も高められるでしょう。
ネットや書籍では学べない知識が身につく
デザイン思考研修の担当講師は、ほとんどが業界の第一人者、あるいは大企業の一線で活躍してきたビジネスパーソンで構成されています。
そして、研修で語られる実体験や独自ノウハウは、ネットや書籍に掲載されている手法とは比較にならないほど濃密で実践的です。
実際のところ、インターネットの方が格段に早く安価でデザイン思考を学べるかもしれませんが、情報の鮮度や信ぴょう性に欠ける部分も多く、表層的な知識しか身につきません。
加えて、ネット・書籍で体系的に深く学ぼうとすると、逆に費用がかかり効率も悪化するでしょう。すなわち、専門的な研修はその道のプロから濃密なナレッジを最短且つ適切なコストで学べる手段なのです。
準備の手間がかからない
コスト削減を目指して研修の内製化を検討する企業も少なくありませんが、開催に向けた準備や後片付けはとても手間のかかる作業です。
特に、自社で教材を作るとなると、印刷費用や人件費だけでなく、内容をチェックして校正するための時間もかかります。
一方、研修会社に依頼すれば、会場設営・資料の準備などはすべて一任することが可能です。
たしかに、研修会社への費用は発生するものの、自社でセッティングした場合の負担と比べれば、決してコストパフォーマンスは悪くないでしょう。
デザイン思考の研修を受ければ効率的にノウハウを習得できる
本記事では、デザイン思考研修を提供している会社の選び方やおすすめの10社を解説してきました。
研修会社を選ぶポイントは以下の通りであり、1つずつクリアすれば初めて検討する方でもスムーズに進められるでしょう。
- 費用と日数
- 研修会社や講師の実績
- 研修の内容
加えて、上記を中心に研修内容をカスタマイズできるケースもあります。自社に合った研修会社をじっくり探して、最大限効率的にデザイン思考を身につけてみてください。
▼関連記事▼
デザイン思考とアート思考の違いは?特徴や使い分ける方法を解説
デザイン思考の本10選!初心者におすすめの書籍をランキング形式で解説!