パナソニックは家電や技術開発など、業界を牽引するトップ企業のひとつです。新規事業開発においても、いままでにないサービスを続々と生み出しています。

この記事では、パナソニックが手がける新規事業の事例を7つ紹介します。この記事を読むことで、あなたの企業で新規事業開発するヒントが見つかるかもしれません。

ぜひ最後までご覧ください。

パナソニックホールディングスの概要

パナソニックホールディングス株式会社(以下「パナソニック」という)とは、大阪府門真市に本社を置く、日本有数の大手企業グループです。創業は1918年、創業者は「経営の神様」とも呼ばれた松下幸之助氏です。

パナソニックは8つの事業会社と関連会社で構成される「事業会社制」をとっており、多岐にわたって事業を展開しています。既存事業としては、以下の例が挙げられます。

  • 家電
  • 照明
  • 住宅建材
  • 電気システム
  • 車載電子システム
  • デジタルカメラ
  • 新築戸建・賃貸住宅
  • 物流システム
  • 業務コンサル

日常生活のなかでも、一度はパナソニック製品に触れたことがある人も多いのではないでしょうか。売上高や従業員数から見ても、日本を代表する企業といえます。

パナソニックは新規事業の開発を積極的に推進している

既存事業のイメージが強いパナソニックですが、実は積極的に新規事業開発を進めています。時代とともに新しい企業の勢力が拡大しつつあるなか、既存事業の維持だけでは競争力の維持が難しいといえます。パナソニックの新規事業開発の事例から、トップ企業がどのような業界に注目しているのか、一緒に見ていきましょう。

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パナソニックが手がける新規事業開発の事例7選

パナソニックが手がける新規事業開発の事例は、以下の7つです。

  1. ゲームチェンジャー・カタパルト
  2. VIXELL(ヴィクセル)
  3. everiwa(エブリワ)
  4. foodable(フーダブル)
  5. noiful(ノイフル)
  6. EATPICK(イートピック)
  7. CHEERPHONE(チアホン)

それぞれ順番に見ていきましょう。

Game Changer Catapult(ゲームチェンジャー・カタパルト)

Game Changer Catapult(ゲームチェンジャー・カタパルト、以下「CGカタパルト」という)はパナソニックが培った家電のノウハウを活かして、いままでにない製品を開発したいメンバーによる組織です。開発メンバーは通常業務をこなしながら、身の回りの課題を解決するための製品を開発しています。社内だけではなく外部からの意見を取り入れながら、オープンイノベーションに取り組んでいるのが特徴です。

たとえば住環境や家事に対しての課題を解決するために、以下の開発に取り組んでいます。

  • 家事サポート
  • 衣類ロボ
  • 掃除ロボ

CGカタパルトでは前例や慣例にとらわれない、まったく新しい製品づくりに向け、日々研究開発を進めています。過去の例では、CGカタパルトのビジネスコンテストに参加したメンバーが事業を立ち上げ、チョコレートドリンクの専門店や障がいのある方向けの調理家電を開発しています。

そのほかにもCGカタパルトの事業アイデアはパナソニックの公式ホームページにて公開されています。興味のある方はぜひ覗いてみてください。

参考:Game Changer Catapult| Panasonic

今後の展望

CGカタパルトの強みは、新規事業開発のノウハウを蓄積している点です。今後はベンチャー企業のようなスピード感を持って、新規事業開発に取り組むことが目標といえるでしょう。CGカタパルトが起点となり、すでに多くの新規事業開発を進められています。時代の変化に柔軟に対応できる企業へ、進化するきっかけとなることが期待されます。

VIXELL(ヴィクセル)

VIXELL(ヴィクセル)はパナソニックの冷蔵庫事業で培われた技術を活かして開発された、定温輸送ができる保冷ボックスのレンタルサービスです。特定のワクチンや医薬品は保管の際、一定の温度を保つ必要があり、温度管理に失敗すると薬品の有効性がなくなってしまう可能性があります。

たとえばファイザー社が提供する新型コロナウイルスのワクチンも、安定した管理が可能な輸送温度を「-15℃以下」としています。

参考:ワクチンの移送にあたり留意すること(ファイザー社ワクチン)|大阪市

そのため厚生労働省はワクチン輸送時の保冷バッグについて、細かく規定した上で安全を管理しています。

参考:ワクチン冷蔵移送に係る保冷バッグ使用方法の変更について|厚生労働省

保冷バッグの課題は、温度管理が難しい点です。そのためVIXELL(ヴィクセル)ではセンサーユニットによる高度な温度管理を実現しました。また高断熱構造による長時間の保冷や強度や耐久性など、パナソニックの家電開発技術が応用されています。

今後の展望

今後の展開のひとつとして、国際輸送への対応強化が挙げられます。医薬品を海外から日本に輸送する場合、国内間の移動と比べて周辺の温度や環境が変わりやすく、より高度な温度管理の技術が求められるといえるためです。

また、災害時の備えとして医薬品の一時保管場所への利用も始まっています。定期的な投薬が必要な高齢者がいる地域などで、今後の活用が期待されます。

everiwa(エブリワ)

EV(電気自動車)普及の壁となっている充電インフラ整備のためのサービスがeveriwa(エブリワ)です。2020年に実施されたEVに関する調査によると、アメリカや中国と比べて、日本のEV充電器の数や設置密度は低く、普及に向けた環境は整っていないといえます。

引用:令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業次世代自動車普及動向の調査報告書|みずほ情報総研株式会社

そこでパナソニックはEVチャージャーのオーナーと、EVユーザーをつなぐマッチングサービスを開発しました。everiwaの利用によって下記のように双方にとってメリットがある関係性を構築するのが狙いです。

  • EVチャージャーのオーナー ……EVチャージャーの活用で新たな収益に加え、CO2削減に貢献できる
  • EVユーザー……EV充電がもっと便利になる

everiwaのサービス開始予定は、2023年春です。everiwaアプリをダウンロードして、以下の流れでサービスを利用できます。

  1. マップからEVチャージャーを選択する
  2. 日時指定で予約する
  3. チェックイン・チェックアウト
  4. オンライン決済

今後の展望

everiwaが今後発展するためには、EVチャージャーホストの登録をどれほど増やせるかが焦点となります。EVチャージャーが空いている時間に集客できれば、オーナーにとっては収入を増やせるメリットがあります。しかしEVチャージャーの設置費が高額で、まだ普及が進みやすい環境ではないといえるでしょう。これからの動きに注目です。

foodable(フーダブル)

foodable(フーダブル)が提供するのは「家電と食材のサブスク」です。新品のキッチン用家電と、毎月選べる食材を定額で利用できます。

foodableには以下の2つのプランが用意されています。

  • 家電×フードプラン……3,980円〜/月※
  • フードのみプラン……1,700円〜/月※

※名称・金額は執筆時点、税込・送料込み

それぞれのプランには以下のようなコースが用意されており、自宅にいながらさまざまな体験が可能です。

  1. おうちでご褒美ごはん体験(オーブンレンジ+冷凍デリ)
  2. おうちで初めてのご当地米食べくらべ体験(炊飯器+ご当地米)
  3. おうちで100%オーガニックスムージー体験(タンブラー・ミキサー+冷凍スムージーキット)

※名称・内容は執筆時点

引用:foodable| Panasonic

foodableでは手頃な価格で、人気のキッチン家電を利用できます。また家電には買取オプションがついているため、foodableの利用で購入前に使用感を確かめられるのもメリットです。

今後の展望

foodableは、2024年度に20億円の利益創出を目指すとしています。象印マホービンなどの競合他社も参入しており、サブスクの市場規模は今後も拡大傾向にあると予想できます。家電のリーディングカンパニーの強みを活かして、市場優位を確立できるか注目です。

noiful(ノイフル)

noiful(ノイフル)は、先進家電を設置したリノベーション賃貸住宅を提供するサービスです。パナソニックホームズ(旧パナホーム)で培った住宅業界のノウハウと家電を融合させた事業となっています。

noiful(ノイフル)で探せる物件は、パナソニックの家電があらかじめ備え付けられており、新しく購入する費用や手間がかかりません。また、備えつけのスチーマーナノケアやロボット掃除機といった先進家電が、普段の生活をワンランク快適にしてくれます。

ユーザーは、オンラインで物件の内覧予約や入居手続きが可能です。

今後の展望

noiful(ノイフル)の今後の課題は、対象物件の拡大です。noifulは2022年1月にスタートした事業で、まだまだ物件数は多くありません。物件価値を適切に上昇できれば、空室に悩む物件のオーナーや、付加価値をつけて家賃をアップしたいオーナーには依頼するメリットがあるでしょう。また、noifulがスタートした東京以外のエリアでも事業展開できるかにも注目です。

EATPICK(イートピック)

EATPICK(イートピック)は食をテーマにユーザー同士がつながるコミュニティ機能を備えたサービスです。毎日のようにユーザーが作った料理の写真がアップされており、材料や作り方の解説が載せられている投稿もあります。

2020年12月にはサービスがリニューアルされ、下記2つの機能が追加・リニューアルされました。

  • キッチン家電コーナー
  • EATPICKマルシェ

これによりキッチン家電ごとのレシピ検索が可能となり、ユーザーがより簡単に情報を取得できるようになりました。また、全国各地のお店がEATPICKマルシェに出店しており、ユーザーはECサイト内で商品を購入できます。EATPICKの訪問や投稿に応じて貯まるポイントをECサイト内で使えるようにすることで、コミュニティとの相互の活性化が図られています。

今後の展望

事業が始まった2020年5月では1日あたり1万PV、将来的には100万人の無料会員の獲得を目標としていました。2021年11月末時点では会員数30万人で、目標の約1/3です。EATPICKは今後のコミュニティの発展に注目が集まります。

CHEERPHONE(チアホン)

CHEERPHONE(チアホン)は「スポーツを観戦しながら音声配信を聞く」配信サービスです。ユーザーはスポーツを実際に観戦しながら、スマホで配信を聞けるようになっています。サービスを利用するユーザーのメリットは、おもに以下のとおりです。

  • 選手を知らなくても楽しめる
  • 難しいルールの解説が聞ける
  • スポーツや選手の知らなかった魅力に気づける

同時解説は実際の試合と配信のタイムラグが気になる場合がありますが、CHEERPHONEの場合はおよそ「0.2〜0.3秒」とラグが少ないのが特徴です。またQRコードを読み込むだけで配信を聴けるため、事前にアプリをダウンロードする必要はありません。

スポーツの球団側にとっては、大きな設備投資をせずに解説を導入できるのがメリットといえるでしょう。

今後の展望

CHEERPHONEは今後サービスを多くのスポーツに展開できるかが焦点です。CHEERPHONEが導入されたおもな例は以下のとおりです。

  • サッカー
  • ゴルフ
  • アメリカンフットボール
  • フィギュアスケート

サービスの認知度のアップとともに、利用者をどこまで増やせるかに注目しましょう。

パナソニックとスタートアップの共同プロジェクトとは

「パナソニックくらしビジョナリーファンド」はパナソニックの社員とスタートアップの共創プロジェクトです。出資やノウハウ提供を通して、「人、社会、地球を健やかにするため」の事業を支援しています。

2022年11月には「パナソニックくらしビジョナリーファンド」を通じて、IoTソリューションを手がける企業への出資が決定しました。今後ますます需要の高まりが見込まれる分野に投資することで、競争力のあるサービスの開発を目指しています。

パナソニックには家電開発から電気設備、製造、販売とさまざまな経験を持つ社員が在籍しています。そのため共同で事業に取り組めることは、今後の事業開発に大きな影響を与えるでしょう。

まとめ

パナソニックはこれまで蓄積したノウハウをもとに、新規事業開発に日々チャレンジしています。

新規で事業を開発し続けることによって、さらに組織を発展させているといえるでしょう。

ぜひあなたも、自社のノウハウが新規事業開発にどのように活かせるか考えてみてください。

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