新規事業は会社の規模を問わず、安定した経営のために必要です。既存事業をさらに発展させたり、新たな分野を開拓したりと、新規事業の役割は会社によっても異なります。

今回は新規事業がどの企業にとっても必要であることや、おすすめできる事業の見つけ方、始めるときのポイントについて解説。自社に適した新規事業を展開して、会社を発展させましょう。

会社規模に関係なく新規事業がおすすめな理由

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新規事業というと、大企業が新たな分野に参入することや、ベンチャー企業が新しく興したビジネスをイメージする人も多いでしょう。しかし、どんな企業であれ経営を継続させるには新規事業に取り組んだ方が良いので、会社規模に関係なく検討をおすすめします。

事業が軌道に乗り、安定した業績を上げている企業でも、その状態が未来永劫続くとは限りません。既存事業の業績が悪化した際、違う分野で収益を上げられる状態にしておくとリスク分散になります。

将来を考え、適当なタイミングで新規事業にも取り組むようにしましょう。

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新規事業にも「攻め」と「守り」がある

新規事業には積極的な増収増益を目指す「攻め」と、既存事業の伸び悩みを新しいビジネスで補う「守り」が存在します。

攻めの新規事業では会社をより発展させるため、潤沢な予算を使って行うこともあるでしょう。長期的な目線で事業に取り組み、時間をかけて初期費用を回収します。

一方、守りの新規事業では、高額な初期費用や長期計画で取り組む猶予がない場合が多いでしょう。限られたリソースで確実に売上を伸ばしていく必要があります。

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新規事業の立ち上げは社員の成長を促す

新規事業の立ち上げは、ビジネスをイチからスタートさせるため、既存事業に従事するだけでは得られない経験をするチャンスです。社員のチャレンジ精神を養い、積極的な意見発信を促す機会にもなるので、新規事業には幹部候補や将来を期待する若手人材が携われるようにしましょう。

また、新しいことに挑戦できる企業体質となれば、良い人材が集まりやすくなる効果も期待できます。人事的な好循環が生まれ、魅力ある会社になるでしょう。

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【今すぐできる】新規事業の見つけ方おすすめ4選

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おすすめのビジネスとして注目されていても、それが自社の新規事業に相応しいかは、会社の規模や元々の事業内容によっても異なります。全ての企業に共通しておすすめな新規事業は存在しないので、新規事業は、自社にあったものを選びましょう。

ここからは、各企業に適した新規事業を見つけるための考え方や方法について解説します。

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既存事業のノウハウやリソースから考える

新規事業といっても、全く新しい事業にする必要はありません。既存事業の方向性を変えてみたり、新しい技術を取り入れたサービスを展開してみたりといった手法も、新規ビジネスになり得ます。

既存事業で培ったノウハウを積極活用し、自社の強みを起点とした新規事業を考えてみましょう。

顧客の要望や悩みに注目する

これまで自社の商品やサービスでは対処できないと思われていた事柄を見直してみるのも、新規事業のアイデアに繋がることがあります。何かをプラスしてみたり、提供課程で派生させたりすると、解決できる顧客の要望や悩みもあるでしょう。

既存事業で見落としてきた事柄がないか、今一度状況を見直してみましょう。

他社の成功事例から考える

同業他社が成功を収めた新規事業は、その分野に強みを持っていたのはもちろん、市場のニーズとマッチしていたと考えられます。他社の成功事例を分析し、自社で取り入れられる要素はないか検証して、新規事業にできるものを探してみましょう。

ただし、他社が既に展開している事業と全く同じ内容で始めたのでは、成功が難しくなります。二番煎じは好印象を持たれにくいので、他社との差別化が重要です。

ターゲット層を変えたり、自社ならではの付加価値を付けたりして、独自性を出しましょう。

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人がやりたがらない作業に目を向ける

面倒なことや、誰かに変わってほしいと思う人が多い作業は、代行ビジネスのニーズがあると考えられます。近年、退職代行や内定辞退代行、営業代行に事務代行、家事代行など、様々な分野での代行サービスが登場しています。

やりたがらない人の多い作業内容で自社の強みを活用できないか考え、新規事業として提供できるサービスを見つけましょう。

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【失敗しない】新規事業を始めるときの5つのポイント

新規事業を始めるときのポイント(見出し下画像)

新規事業を始めるときは、次に紹介するポイントを押さえましょう。

初期投資を抑え、少人数でできるものから始める

新規事業に期待を寄せるのは良いのですが、高額な初期投資や大量の人員を投じるのはリスクが高すぎます。なるべく初期投資は抑え、無理なく始められる規模でスタートさせる方がおすすめです。

スタート1期目から大きな売上を求めるのではなく、段階的に目標を立てて進めましょう。まずはMVPの製作から始め、低コストで作った商品を投入し、市場の反応に合わせて改良を重ねていくのが良いです。

ビジネスモデルをしっかり検討して取り組む

実現可能なビジネスなのか、他社に類似したものがないかを検証せず、ビジネスモデルが曖昧なまま始めてしまうと成功を逃します。

十分なシミュレーションやマーケティングも事前準備として行った上で取り組みましょう。新規事業が動き出した後も適宜、状況を確認し、軌道修正しながら目標を目指します。以下の記事では新規事業のマーケティングに役立つ分析手法や考え方をご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

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顧客視点を忘れないようにする

新規事業を立ち上げるときは、顧客視点を忘れないよう注意しましょう。立ち上げるための準備や商品開発の課題クリアに気を取られてしまうと、顧客を置き去りにしたビジネスになりかねません。

事業を立ち上げること自体が目的とならないよう、新規事業によって顧客にどのようなメリットを与えられるかを常に意識することが重要です。

フランチャイズを利用する方法もある

フランチャイズを利用して新規事業に取り組む方法もあります。全くノウハウのない分野でも新規参入しやすく、素早く収益化できる点などがフランチャイズのメリットです。

ただし、フランチャイズによって始めた新規事業では、自社独自の技術やノウハウを開発し、蓄積していくのは困難でしょう。1つの加盟店が開発したノウハウも、他店舗に水平展開されて独自性はなくなります。これらのデメリットをカバーしつつフランチャイズビジネスを展開するには、以下の記事が参考になるでしょう。

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事業撤退のタイミングも考えておく

新規事業が失敗することもあるので、「この目標が達成できなかったら」「これだけ赤字が計上されたら」といった、事業撤退を判断するラインを考えておきましょう。

もう少し頑張れば好転するかもしれない、といった曖昧な希望的観測で事業を続けると、ずるずると赤字を出し続ける恐れもあるのです。結果、既存事業の足を引っ張ることもあるので、撤退の判断を下すタイミングを見極められるようにしましょう。

新規事業は既存法人内での立ち上げと新法人設立、どちらがおすすめ?

新規事業は既存法人内での立ち上げと新法人設立、どちらがおすすめ?(見出し下画像)

新規事業を考える場合、既存の法人企業内で専門部署を作って立ち上げる方法と、新しい法人を設立して始める方法があります。

どちらにもメリット・デメリットはありますが、コストを抑えて新事業を進めやすくする意味では、既存法人の中で新規事業を立ち上げるメリットの方が大きいでしょう。

それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

既存法人内で新規事業を立ち上げるメリット・デメリット

既存法人内で新規事業を行うメリットは、次の3つが挙げられます。

  • 既存法人やその事業内容の知名度・社会的信用を生かせる
  • 損益通算が可能になる
  • 初期費用を抑えられる

既存事業や法人の知名度や社会的信用をそのまま新規事業にも生かせるのは大きなメリットです。既存の得意先・仕入先に新規事業の営業も仕掛けやすくなります。

会計上、事業間の損益通算も可能になるので、新規事業の赤字を既存事業の収益で埋めれば、法人事業税を抑えられます。さらに、新法人の設立よりも初期費用を押さえられ、スタートさせやすいのもメリットです。

一方、デメリットはあまりなく、強いていえば事業内容によっては約款変更が必要になる点でしょう。既存事業と関係ない分野の新規事業であるなら、約款の書き換えと変更登記の手間や費用がかかります。

新法人を設立して新規事業を立ち上げるメリット・デメリット

続いて新法人を設立して新規事業を始めるメリットは次の2点です。

  • 既存事業・既存法人と独立した存在になれる
  • 条件を満たすと消費税が免除される期間がある

もしも新規事業の業績が思わしくなくても、会社決算をそれぞれ独立して行うため、既存事業の業績には影響を与えません。ただし、これは後述するデメリットの赤字決算がそのまま計上される点とも表裏一体です。

なお、新法人を設立した際は、条件を満たすと消費税を免除される期間があります。設立時の資本金が1,000万円以下であれば、1期目は消費税免税事業者となり、納める税金を抑えられるでしょう。さらに、1期目の上半期課税売上高が1,000万円以下であれば、2期目も消費税免税事業者になります。

デメリットは設立にかかるコストや赤字の損益通算ができない点です。

  • 法人設立の登記費用をはじめ、様々なコストが発生する
  • 赤字決算がそのまま会計として計上される

新たに法人設立すると、事業所の準備や登記費用がかかり、独立した会社として従業員の労務管理や経理業務などの事務手続きコストも発生します。どの程度の規模でスタートさせるかにもよりますが、数十万から数百万の費用が必要となるでしょう。

また、事業間での損益通算ができないため、赤字決算になればそのまま会計に計上されます。消費税の免除が適用されても最大で2期まで(2年間)に限定されるため、長期的に見ると十分な収益を挙げられなければ、初期費用を回収できません。費用を抑えて新規事業に取り組みたい場合には不向きです。

これらを踏まえて社内ベンチャーの設立を検討している方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

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会社の発展・維持には新規事業が必要

会社の発展と維持には、新規事業がおすすめです。会社の規模に関わらず、自社の状況を考えて、適切なタイミングで新規事業を展開させましょう。

どのようなビジネスが新規事業に適しているかは、会社によって異なります。既存事業の内容や顧客の悩み、他社の成功例などを分析して最適な新規事業を見つけましょう。

なお、新規事業を始める時は、初期投資を抑えて小さくスタートさせ、ビジネスモデルをしっかり検討し、顧客視点を忘れないよう進めていくことが重要です。場合によってはフランチャイズ契約も選択肢に加え、素早く収益化できる方法を模索します。

また、最初から新法人を立ち上げて新規事業に取り組むより、既存法人内で始める方がおすすめです。費用面でも社会的信用面でもメリットがあり、新規事業を始めるにあたっての大きな助けとなるでしょう。

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