「新規事業の狙い目となるのはどんな市場?」

「新規事業の狙い目はどう見つければ良い?」

「新規事業で失敗しないためにはどうすれば良い?」

あなたはこのような疑問を抱えていないでしょうか。

新規事業を立ち上げるのは非常に難しく、ほとんどが失敗してしまいます。

さまざまな商品・サービスが出回っている中で成功させるには、狙い目となる市場を見抜くことが重要です。

しかし新規事業の狙い目をどう見つければ良いか、分からない人も多いでしょう。

そこで今回は、以下の内容を解説します。

  • 狙い目となる新規事業の条件
  • 狙い目となる市場の探し方
  • 新規事業のアイデアが浮かばない時の考え方

新規事業の狙い目について知りたい場合は、ぜひご一読ください。

新規事業の狙い目を見つけるのが難しい3つの要因

新規事業は「10回挑戦して1回成功するかどうか」と言われるほどで、狙い目を見つけることは非常に困難です。

新規事業の狙い目を見つけるのが難しいのは、以下3つの要因が関係します。

  1. 科学技術の向上
  2. ユーザーニーズの変化
  3. 既存事業の強みを活かしづらい

順番に見ていきましょう。

科学技術の向上

インターネットやスマートフォンなどの科学技術の向上は、新規事業立ち上げにも影響を与えます。

顧客も技術の向上に合わせて、より質の高い商品やサービスを求めるようになるためです。

例えばiPhoneは、2008年に日本で発売された当初は売り上げが伸び悩んでいました。

しかしスマートフォンが機能性を高めたことで2010年以降普及率が伸び始め、2015年にはガラパゴスケータイを追い抜いています。

引用:メーカー4社から見るスマートフォンへの消費者ニーズ|株式会社NTTデータ

その後スマートフォンのメーカーは、モデルチェンジを繰り返し「より高機能に」「より軽く」といった技術革新を競い合うようになりました。

ユーザーニーズの変化

前述した科学技術の向上とも関係しますが、トレンドの流れや社会情勢によるユーザーニーズの変化も、新規事業の狙い目が見つけづらい要因です。

ユーザーニーズの変化により、これまで売れていた商品が売れなくなったり新しい商品が突然ヒットしたりということも珍しくありません。

近年では、eコマースのようなモバイル小売が年々拡大傾向です。これはネットの普及によるトレンドの変化が要因で、かつては考えられないものでした。

また小売業においては、廃業する店舗より新たに開業する店舗の方が多い傾向です。その分多くの新製品が市場に投入され、競争が激化しニーズも変化しやすくなっています。

引用:NRF|「The State of Retailing Online 2018(2018年オンライン小売業の現状)」調査|全米小売業協会

既存事業の強みを活かしづらい

新規事業では、自社の既存事業の強みを活かしづらい傾向にあります。完全に0から事業を始めるため、既存事業で培った強みがほとんど役にたたないためです。

また新規事業の予算も、既存事業の基準で決められます。

新規事業は既存事業の基準だと「利益の少ない事業」であるため、成果が出る前に縮小・撤退ということになりやすいのです。

最初は成果が出なくて当たり前ですので、新規事業立ち上げ時は独自の評価基準を作ると良いでしょう。

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新規事業の評価とは?基準や指標、実際の評価手順を分かりやすく解説

狙い目となる新規事業の3つの条件

狙い目となる新規事業には、以下のような条件があります。

  1. 競合企業がほとんどない
  2. 自社に強みがあり他社が参入しづらい
  3. ニッチなターゲットが多い

順番に見ていきましょう。

競合企業がほとんどない

新規事業は、競合企業の少ないブルーオーシャンを狙うのが有効です。競合の真似をすることなく、商品・サービスに付加価値をつけて提供していけます。

新規事業の見込み客がファンになってくれれば、安定した利益も得られるでしょう。

逆に競合の多いレッドオーシャンだと、新規での顧客獲得が難しく新規事業が成功する確率も低くなります。

また需要があっても消費者が少ない市場も、十分な収益を得られない恐れがあるため避けるべきです。

新規事業は、競合が少なく収益につながるほどの消費者がいる市場で始めましょう。

自社に強みがあり他社が参入しづらい

自社に強みがあり他社が参入しづらい市場だと、新規事業がうまくいきやすいです。競合ができにくい分、自社の市場における優位性確保につながります。

具体的には社会情勢の課題や困難を解決できる事業だと、他社を引き離せる傾向です。

北海道北見市にある映像制作会社「北映Northern Films」は、コロナ禍で苦しむ地元の事業者のため、無償で映像を制作しインターネット上でPRするプロジェクトを企画します。

このプロジェクトはメディアにも取り上げられ、会社の認知度が上昇し依頼増加につながりました。

こういった地方で取り組むビジネスは、他社に模倣されにくく一度優位性を獲得すると長く成長可能です。

新規事業は、他社に模倣されることなく自社の強みを活かせるものだと成功率が高まります。

ニッチなターゲットが多い

新規事業は、ニッチなターゲットが多い市場を狙うのがおすすめです。

ニッチなターゲットが多い市場はユーザーニーズを掴みやすく、事業を効率的に行えるためです。

狭い分野に特化した新規事業で、成功した事例もあります。

福井県にある「清川メッキ工場株式会社」は、10億分の1という細かい単位でめっき加工ができる「ナノめっき」を開発しました。

めっき加工はややニッチな市場ですが、圧倒的な技術力が評価されたことで全国から依頼が殺到しています。

このように自社の強みを活かしニッチ市場を開拓できるなら、狙い目の新規事業と言えるでしょう。

新規事業で狙い目の市場を探す3つの方法

新規事業で狙い目の市場を探すのは、以下3つの方法が有効です。

  1. 既存事業に関連するものを探す
  2. 新しい技術について調べる
  3. 自社のビジネスの種から考える

順番に見ていきましょう。

既存事業に関連するものを探す

既存事業や過去の実績で、新規事業に活かせるものがないか探してみましょう。既存顧客がいるため、ニーズのリサーチが容易で把握しやすいのも利点です。

既存客のニーズから発展させる他に、意外な受注データを見つけるのも有効です。

「なぜ注文してくれた?」と思うような受注からニーズを分析することで、新規事業につなげられることもできます。

新しい技術について調べる

新しい技術について調べ、社会の変化点に注目しましょう。近年AIやlotなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活かした事業が多数生まれています。

健康食品で知られる大塚製薬とNECは、処方箋の飲み忘れが多いことに注目。服薬状況をスマホに送信するIoTモジュールや、服薬状況を確かめられるアプリを開発しました。

在宅医療には正しい服薬管理が重要なため、医療業界において貢献度の高い開発です。

新しい技術を積極的に活用することで、今までにない斬新な事業を立ち上げることもできます。

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自社のビジネスの種から探す

自社が持っているビジネスの種から、新規事業になる可能性のあるものはないか考えてみましょう。

ビジネスの種から新規事業を作る場合、市場の存在が確立されていないことが多い傾向です。

そのため「この技術がどんなニーズを満たすか?」の分析が必要となります。

またビジネスの種の中でも、どれに着目するかもポイントです。

「機能に発展性があるもの」「他社に模倣されにくいもの」を見つけられると、新規事業の成功率が高まるでしょう。

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新規事業のアイデアが思いつかない時の考え方

新規事業を立ち上げようにも、なかなかアイデアが浮かばないことも多いかと思います。

アイデアが思いつかない場合は、以下の考え方が有効です。

  1. 新規事業の強み・弱みを分析する
  2. オズボーンのチェックリストを取り入れる
  3. 競合他社のビジネスモデルを分析する

順番に見ていきましょう。

既存事業の強み・弱みを分析する

既存事業から、自社の強みを活かす方法は他にないかを分析してみましょう。弱みであっても、克服できれば新規事業になる可能性があります。

具体的には、以下のようなものから考えてみてください。

  • 商品
  • サービス
  • ノウハウ
  • 売上金額
  • 自社の従業員のスキル

既存事業がベースのため、0から考えるよりアイデアが出やすいです。

既存事業ならある程度業績が安定していることが多いですが、客観的に分析するようにしましょう。

オズボーンのチェックリストを取り入れる

オズボーンのチェックリストは、ブレインストーミングの考案者である「A.F.オズボーン」氏によって発案されました。

以下9つのチェックリストをもとに、アイデアを捻り出していきます。

  1. 転用:他に使い道はないか?
  2. 応用:他からアイデアを借りられないか?
  3. 変更:変えてみたらどうか?
  4. 拡大:強くしたり大きくしたりできないか?
  5. 縮小:小さくしたり機能を減らしたりできないか?
  6. 代用:他のものを代わりにできないか?
  7. 再編成:入れ替えてみたらどうか?
  8. 逆転:考え方を逆にできないか?
  9. 統合:組み合わせてみたらどうか?

上記チェックリストの各質問に対して、思いつく限りの全てのアイデアを出しましょう。今まで思いつかなかった発想のアイデアを、短時間で出す効果があります。

なおチェックリストひとつごとに、アイデアが出なくなるまで次の質問には進まないのがポイントです。思いつくアイデアを全て捻り出せます。

競合他社のビジネスモデルを分析する

競合他社と比較し、既存事業の外部環境を分析しましょう。

商品やサービス内容について知ることで、競合他社の強みと弱みを把握できます。また、自社の商品・サービス開発に活かすことも可能です。

分析によって自社に合うものを見つけられたなら、積極的に取り入れましょう。自社と他社の要素を掛け合わせることで、差別化も狙えます。

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狙い目の市場を新規事業として育てるポイント

狙い目の市場を見つけられても、うまく新規事業を育てられなければ失敗してしまいます。

新規事業を育てていくポイントは、以下の通りです。

  1. ターゲットを絞る
  2. 販売・展開方法を固める
  3. リーンスタートアップを取り入れる

順番に見ていきましょう。

ターゲットを絞る

新規事業で狙うターゲットは、細かく絞りましょう。細かくするほど、企画開発や宣伝方法が詳細になるためです。

ターゲットが絞れているとニーズも掴みやすいため、顧客満足度の向上にもつながります。

新規事業のターゲットを絞るには「ペルソナ分析」が有効です。

ペルソナとは年齢や性別、性格などを細部まで設定し、具体的に作り上げたターゲット象のことをいいます。

ライフスタイルまで詳細に想定することで、自社の情報をどこで知るかもイメージ可能です。

新規事業を軌道に乗せるためにも、ターゲットはできる限り絞っていきましょう。

販売・展開方法を固める

「誰に、何を、どのように、どれくらい売るか」という販売・展開方法を具体的に固めましょう。

どんなに優れた商品であっても、販売方法が悪ければ期待したような成果を得られない恐れがあるためです。

近年では従来の店頭販売だけでなく、ネットでの販売やサブスクリプションなどさまざまな販売・展開方法が成果をあげています。

どの販売・展開方法が合うかは商品・サービスによって異なるため、慎重に検討しましょう。

リーンスタートアップを取り入れる

新規事業を立ち上げる際は、リーンスタートアップという手法を取り入れるのも有効です。

リーンスタートアップとは、コストを抑えて試作品を作り小さく事業を始める手法のことをいいます。

顧客の反応をみながら改良していけるため、大きな損失を出すリスクが少ないのが利点です。

時代遅れと言われることもある手法ですが、現代でも十分効果があります。

詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください

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リーンスタートアップの成功事例7選|新規事業立ち上げのヒントを解説

新規事業で失敗しないために大切な3つのこと

新規事業を始めるなら、失敗することはなんとしても避けたいですよね。

失敗を防ぐには、以下3つのことが大切です。

  1. 参入タイミングを見極める
  2. 新規事業の目的をしっかり決める
  3. 自社の経営資源について理解しておく

順番に見ていきましょう。

参入タイミングを見極める

新規事業の成功には、参入タイミングをしっかり見極めることが重要です。参入タイミングは、企業の成長サイクルから判断できます。

  • 創業期:会社を立ち上げて数年以内の時期
  • 成長期:既存事業が軌道に乗っている時期
  • 成熟期:企業の経験やスキルが熟成されてくる時期
  • 衰退期:人材、資源ともに余裕がない時期

新規事業を始めるのに適しているのは、成長期と成熟期です。自社が現在どのフェーズかを把握し、参入タイミングを検討しましょう。

新規事業の目的をしっかり決める

新規事業を何のために立ち上げるのか、目的をしっかり決めましょう。目的を見誤っていると、新規事業を成功させられません。

近年は科学技術向上による焦りから、新規事業を始めようとする企業も多い傾向です。しかし、新規事業を立ち上げることが目的になってしまうと失敗するでしょう。

新規事業はあくまで手段であり、目的ではありません。ここを見誤らず、何のための新規事業なのかよく考えておきましょう。

自社の経営資源について理解しておく

自社の経営資源について、理解しておきましょう。経営資源とは、以下4つのことを指します。

  1. ヒト
  2. モノ
  3. カネ
  4. 情報

経営資源には、それぞれに生じる課題と扱い方があります。例えばヒトであれば「どのような人に任せるべきか」「任せられる人がいない」といった課題が考えられるでしょう。

自社の経営資源にどんな課題があるかを理解し、どう克服・活用するかを考えていくのが有効です。

まとめ

狙い目となる新規事業の条件は、以下の3つです。

  1. 競合企業がほとんどない
  2. 自社に強みがあり他社が参入しづらい
  3. ニッチなターゲットが多い

新規事業のほとんどは成果をあげられないため、狙い目を見つけることも難しい傾向です。

狙い目を見つけるには、入念な市場調査と自社・競合他社の分析が求められます。

この記事の内容を参考に、狙い目となる新規事業を見つけ立ち上げてみてください。

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