時代の移り変わりにより、企業を取り巻く環境も変化します。その変化に対応し、持続的に発展する企業経営には新規ビジネスも必要です。

しかし新規ビジネスを始めようにも、どのようにして考えれば良いのか、新しいビジネスのアイデアはどのようにして手に入れればよいのか、といった点が分からずに戸惑ってしまう企業も少なくないでしょう。

今回は新規ビジネスを生み出すためのポイントや考え方、分析方法、フレームワークについて紹介します。本記事を参考にしつつ、ぜひ”売れる”新規ビジネスの考え方を身に付けましょう。

新規ビジネスの考え方

新規ビジネスの考え方(見出し下画像)

新規ビジネスを考えるとき、何に目を向ければ良いか、何を考えれば良いか分からなくなることもあるでしょう。ここでは、新規ビジネスをどのようにして作っていくのか、考え方について解説します。

既存事業を分析して長所と短所を把握する

新規ビジネスを始める際、闇雲に新しいことをしようと考えても上手くいきません。まずは堅調な既存事業を見つめ直し、長所と短所を分析しましょう。

上手くいっている物事は見直す機会が意外と少なく、改めて向き合うと発見もあるものです。自社で現在成功しているビジネスは何か、その強み・弱みは何であるかを把握し、長所を発展させるのか短所を補うのか、新規ビジネスの方向性を考えましょう。

長所と短所を分析すれば、自然と競合他社との違いも見えてきます。他社よりも差を付けている領域、他社が手を出さない領域を見つけ、新規ビジネスを考えましょう。

▼関連記事▼
新規事業のアイディアはどう生み出す?考えるポイントやフレームワークなどを解説!
新規事業には例えばどんな種類がある?成功のコツや事例を詳しく紹介

身近な悩みから考える

身近なところにある困りごとを自社の技術で解決できるなら、それはビジネスになり得ます。これまで見落としていた悩みにもヒントが隠れているかもしれません。

1つ1つ取り上げて検証し、ビジネスの元になるものを見つけましょう。

▼関連記事▼
新規事業はなぜ必要?おすすめな理由や新しい事業の見つけ方について

確立できているビジネスモデルを他業種に展開・付加価値を与える

既に確立できているビジネスモデルを展開・発展させるのも、新規ビジネスになります。新規ビジネスだからといって、完全に新しいことをする必要はないのです。

これまでターゲットにしていなかった顧客にアプローチすれば、それも新規ビジネスとして成り立ちます。

▼関連記事▼
新規事業の必要性とは?事業開発のプロセスやフレームワークも解説
新規事業成功の要!プロダクトマーケットフィット(PMF)とは?
PSF(Problem Solution Fit)とは?PMFとの違いや進める手順を詳しく解説!
新規事業で使えるおすすめのマーケティング手法は?よくある失敗例も解説

他社の成功例や世間のニーズを知る

他社の成功例を真似るのも、ビジネスの世界でもよくあることです。成功しているビジネスは世間のニーズがあるので、さらに掘り下げてアプローチすれば新規ビジネスになるでしょう。

ただし、他社がやっていることを全てそのまま真似るのは問題です。既に顧客が付いている他社に対して、後から勝負を仕掛けたのでは苦戦を強いられます。また、「真似ている」という印象が強いとイメージダウンにもなります。

ビジネスモデルを真似つつ、自社の強みや独自性を加えたものを考えましょう。

▼関連記事▼
新規事業のアイディアはどう生み出す?考えるポイントやフレームワークなどを解説!
新規事業には例えばどんな種類がある?成功のコツや事例を詳しく紹介

新規事業のアイデアは量と質のどちらも大切

新規事業のアイデアは量と質のどちらも大切(見出し下画像)

新規ビジネスを考える場合、多くのアイデアを集めて良いものを選び出し、質を高めていく必要があります。量と質、どちらが欠けていても成功する新規ビジネスのアイデアにたどり着けません。

しかし、1度に両方を求めるのは難しいでしょう。はじめから質の高いアイデアを求めるのではなく、まずはたくさんのアイデアを集め、その中からブラッシュアップさせていきます。

まずは量を重視してたくさんのアイデアを集める

アイデアの質も大切ですが、まずは量を重視し、数多くのアイデアを集めましょう。集まったアイデアの中から取捨選択したり、組み合わせたりする過程で内容が洗練されていきます。

そして、アイデアの量を求めるなら、さまざまな立場・視点から意見を集める工夫が必要です。

▼関連記事▼
新規事業アイデアの成功事例5選と失敗しない考え方のコツを解説
新規事業のアイディアはどう考える?新規事業事例と合わせて詳しく解説!

従業員とブレインストーミングしよう

多くのアイデアを集めるなら、従業員とブレインストーミングしてみましょう。思いがけないところから、新規ビジネスの元になるアイデアが出てくるかもしれません。

ブレインストーミングでは、そのアイデアが現実的であるか、市場のニーズに合っているかなどの検討や批評は後回しにし、とにかく自由に意見を出してもらうことを重視します。

良質なアイデアにたどり着くには、今まで見落としていた意見や斬新な発想も必要です。発言内容をその場で否定されてしまうと、場が萎縮して活発な意見発信を阻害するでしょう。

誰でも気軽に、思いついたことをどんどん発言できるブレインストーミングを実施しましょう。

▼関連記事▼
市場調査で役立つツール10選!市場調査の概要や手法も合わせて解説!
市場調査で活用できるフレームワーク6選!フレームワークの活用方法も合わせて解説!
市場調査の具体的な手法は?種類ごとの手法について詳細を解説!

オンラインツールを活用するのも手

突然、社員を集めて意見を出すよう指示しても、活発に発言されないケースもあるでしょう。昨今は働き方の多様化や、集密リスク会費のため、大人数が一堂に会する場を倦厭する人も珍しくありません。また、大勢の人の前では意見を言いづらい性格の人もいるでしょう。

そんな場合、オンラインツールを活用してブレインストーミングを行うのも有効な方法です。

例えばグーグルスプレッドシートのような、オンラインで共有しながら複数人が同時編集できるファイルを用意します。そこに、各自が思いついたタイミングでアイデアを書き込めば、社員全員を集める必要はありません。

誰かが書き込んだアイデアを見た人が、触発されて新たなアイデアを書き加える可能性もあるでしょう。アイデアが集まってきたら、内容の特徴や共通点のあるものをまとめたり、整理したりも簡単にできるのも長所です。

時間や場所に縛られることなく誰でも参加できる環境が作れ、その後の管理もしやすくなります。

集まったアイデアをブラッシュアップし質を高める

アイデアが集まったら、それらを整理してブラッシュアップしていきます。

独自性はあるか、収益化できるビジネスモデルを考えられる内容かなどを検証し、アイデアの質を高めましょう。複数のアイデアから、新しいアイデアが導き出されることもあります。

このように、量を用意してから質を高めるという考え方で進めると、新規ビジネスのアイデアが得やすくなります。

新規事業で活用できる考え方やツール、フレームワーク

新規事業で活用できる考え方やツール、フレームワーク(見出し下画像)

ここからは新規事業を見つける際に役立つ考え方やツール、フレームワークを紹介します。多種多様な方法がありますが、取り組みやすいものを採用し、新規事業に役立てましょう。

▼関連記事▼
新規事業でおすすめのフレームワーク11選!概要や活用方法について詳しく解説!
新規事業のアイディアはどう生み出す?考えるポイントやフレームワークなどを解説!
新規事業の必要性とは?事業開発のプロセスやフレームワークも解説
アタる新規事業は戦略がカギ!戦略策定のポイントやフレームワークも解説
PSF(Problem Solution Fit)とは?PMFとの違いや進める手順を詳しく解説!
CPF(Customer Problem Fit)とは?CPFの概要や活用の流れを詳しく解説!
デザイン思考(デザインシンキング)とは?おすすめフレームワークと活用事例も解説
【具体例あり】仮説検証とは?サイクルの回し方やフレームワークを解説

事業のコンセプトを検討・5W1H

5W1Hは、問いかける際の6つの単語の頭文字を取ったものです。

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)

この6つの問いに対する答えを書き出し、新規ビジネスの内容を具体化します。どんな商品・サービスを提供したいのか、なぜそれが必要なのかを深掘りでき、ビジネスのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)も明確になるでしょう。

また、5W1Hは、コミュニケーションやわかりやすい文書を書く時にも使われる手法です。相手に情報を正しく、わかりやすく伝えるためにも役立つので、様々なビジネスシーンでも活用できるでしょう。

さらに、5W2Hや7W2Hといった手法も存在します。

5W2Hには5W1Hの6つの要素に「How much(いくらで)」が加わり、売上げ目標やコストなどを追加した考え方です。ここからさらに「How many(どれくらいの)」を加えた、5W2Hもあります。

7W2Hは5W1Hに「Which(どちら)」「Whom(誰に)」「How much(いくらで)」が加わったものです。明確にしなければならない事柄が多い場合は、このような考え方も活用しましょう。

思考の整理や深掘り・マンダラート(マンダラチャート)

マンダラートは、仏教のマンダラ模様に由来する思考法です。アイデアの整理や発展、考えを深めるのに役立つので、新規事業の目標設定や課題の深掘りにも応用できるでしょう。

マンダラートでは、3×3のマスを用意して中心のマスに1つの課題やアイデアを、周辺の8マスに関連する事柄を書き出します。全てのマスを埋めたら、周辺の8マスにある事柄を1つ1つ取り上げ、同じように3×3のマスの中心に書き込んで、周辺に関連する事柄を書き出す。

こうすることで考えが整理され、物事の関連性が見えてくるでしょう。今まで気付かなかった、新規ビジネスを発展させる方法や課題の解決方法などを知るきっかけにもなります。

シーンごとの分析やアイデアの掛け合わせ・マトリックス法

マトリックス法は、縦軸と横軸にキーワード(変数)を設定し、縦横の組み合わせから思考する考え方です。これにより、状況の分析やシーンごとの課題検証、アイデアの掛け合わせなどがしやすくなります。

ただし、マトリックス法では同軸上にあるキーワード同士は組み合わせられません。この考え方を利用する際は、縦軸・横軸それぞれに共通する属性を持ったキーワードを入れるようにしましょう。

アイデアの整理や順序の検証・KJ法

KJ法はアイデアの整理や取り組む順序などを検証する際の考え方です。ブレインストーミングで出てきた意見を書き出して、整理・検証する場合にも役立つでしょう。

付箋やメモ、カードなどの手頃なサイズの用紙に、1枚1アイデアとして書き込みます。ある程度書き出せたら、関連するものをグループ化したり、取り組む順序を考えて並べ替えたりして、アイデアをまとめましょう。このとき、グループごとに名前を付けて整理するのもおすすめです。

この考え方では新規ビジネスに取り組む際の順序や、問題点の整理などが可能になります。

アイデアをさらに展開・SCAMPER(スキャンパー)法

SCAMPER(スキャンパー)法は、思いついたアイデアに7つの問いかけをして、アイデアを広げていく思考法です。

  • Substitute(代用できないか?)
  • Combine(組み合わせられないか?)
  • Adapt(応用・適応できないか?)
  • Modify(修正・変更できないか?)
  • Put to other uses(転用できないか?)
  • Eliminate(減らせないか?)
  • Reverse、Rearrange(逆転や組み替えはできないか?)

これらの問いによってアイデアを深掘りし、ブラッシュアップや組み合わせに活用できます。

4つの視点から掘り下げる・4P分析

4P分析は売手側の4つのPから、ビジネスを掘り下げる分析方法です。

  • Product(製品・サービス)
  • Price(価格)
  • Place(販売場所・提供方法)Promotion(販促活動)

以上の4つを考えることで、新規ビジネスの事業内容やマーケティング戦略を明確にできるでしょう。

ターゲットを具体化・ペルソナ設定

ペルソナ設定は、ターゲットを明確にし、そのニーズに応えられるよう考えていく方法です。

老若男女問わず使われる商品・サービスの方が売上を伸ばせそうですが、新規ビジネスはいきなり幅広い顧客をターゲットにするのは得策でありません。どんな人が必要としているものであるかを決めておけば、当初の目的とズレたビジネスになってしまうのを防げます。

また、ペルソナ設定は新規ビジネスを考える際だけでなく、マーケティングにおいても効果的です。有効な宣伝方法や販売経路を考える際にも役立ちます。

適切な市場で優位性を確保・STP分析

STP分析は、次の3つの単語の頭文字を取った分析方法です。

  • Segmentation(マーケットの切り口)
  • Targeting(顧客)
  • Positioning(位置づけ)

市場の全体像を把握し、どんな市場でどんな顧客を対象とするビジネスを行うのか、優位性を確保できる場所はどこなのかを分析します。

顧客目線で考え、それに合わせた事業展開をすることが重要となるので、ペルソナ設定と合わせて分析するとさらに効果的です。

自社のポジションを見つける・3C分析

3C分析は顧客・競合・自社の3つの軸で分析するフレームワークです。

  • Customer(顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

各項目での課題や重要なポイントを書き出して客観視すると、顧客・競合の外部要因と自社の内部要因の関係性を分析できます。

内部環境と外部環境の関係性を棚卸し・SWOT分析

SWOT(スウォット)分析は物事を4つの領域に分けて分析する考え方です。4つの領域は次のように分類されます。

 プラス要因マイナス要因
内部環境Strength(強み)Weakness(弱み)
外部環境Opportunity(機会)Threat(脅威)

内部環境は従業員や会社自体が抱える問題など、自身で管理・解決できる要素です。対して外部環境は競合他社や市場動向など、こちらがコントロールできない要素を指します。

この4つの領域に分けて自社の状況を分析することで、克服すべき問題点や勝負できる強みを見極め、新規ビジネスにおける戦略も立てやすくなるでしょう。3C分析とも組み合わせると、より効果的な分析が可能になります。

考え方のポイントを押さえて新規ビジネスを始めよう

新規ビジネスは既存事業の優位性を把握し、現在のビジネスモデルや世間のニーズに合わせて考えていくことが重要です。新規ビジネスだからといって、完全に既存事業と異なるものを展開する必要はなく、自社の強みを生かせるやり方を考えましょう。

社員からのアイデアを募る際は、まずは量を集める点を意識したブレインストーミングを実施するのもおすすめです。1度に集まる場を持つのが難しいなら、オンラインツールも活用できます。

その他にも活用できる考え方やフレームワークを取り入れ、新規ビジネスを生み出しましょう。

▼関連記事▼
新規事業でおすすめのフレームワーク11選!概要や活用方法について詳しく解説!
新規事業のアイディアはどう生み出す?考えるポイントやフレームワークなどを解説!
新規事業の必要性とは?事業開発のプロセスやフレームワークも解説
アタる新規事業は戦略がカギ!戦略策定のポイントやフレームワークも解説
PSF(Problem Solution Fit)とは?PMFとの違いや進める手順を詳しく解説!
CPF(Customer Problem Fit)とは?CPFの概要や活用の流れを詳しく解説!
デザイン思考(デザインシンキング)とは?おすすめフレームワークと活用事例も解説
【具体例あり】仮説検証とは?サイクルの回し方やフレームワークを解説

Reinforz Insight
ニュースレター登録フォーム

最先端のビジネス情報をお届け
詳しくはこちら

プライバシーポリシーに同意のうえ