「新規事業戦略の立て方が分からない…」

「どうやったら新規事業の戦略を上手く作れるの?」

上記のようなお悩みを抱えている方も少なくないでしょう。これまで新規事業の戦略を立てた経験がないと、なかなか戦略を立てるのは難しいかもしれません。しかし、成功する新規事業を創出するには「成功する戦略」が必要不可欠。

そこで本記事ではアタる新規事業の戦略策定について、ポイントやフレームワークを詳しく解説します。初めて新規事業を立ち上げる担当者の方や、戦略策定でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。

アタる新規事業に戦略は必要?

結論から述べると、アタる新規事業に戦略は必要です。

「新規事業=アイデア重視」のイメージがあるかもしれません。しかし、アタる新規事業は綿密な戦略をもって初めて成功します。新規事業の内容を決める上では確かにアイデアも必要ですが、アイデアのみで新規事業を進めるのは事業が失敗する要因になるでしょう。

アイデアを踏まえた上で、新規事業を成功させるための戦略を策定することが不可欠なのです。

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戦略立案は事業成功を「予定」にする作業

一言でいうと、戦略立案は事業成功を「予定」にする作業です。事業戦略を立てられれば新規事業の進め方を明確にできます。また「いつまでに」「どのような」作業・調査をするべきか把握できるので、新規事業の方向性を保ちやすいです。

言い換えれば、予定やタスクにまで落とし込めなければ、戦略は不完全な状態ですから、さらに煮詰める必要があるでしょう。

具体的かつ実現性の高い事業戦略があれば、あとは戦略に沿って事業を進めるのみです。もちろん事業の進捗によっては戦略に含まれない作業が必要になるでしょう。その際は臨機応変な対応が必要ですが、戦略という一本の軸があれば対応の方向性も制御しやすいです。

市場を読み最適な参入が可能に

新規事業の戦略を策定できれば、市場を読んで最適に市場へ参入できます。それを見越し、具体的な戦略を策定する際には、市場調査・競合他社の調査も実施しましょう。

市場の状態によっては、新規事業を始めるタイミングでない場合もあるでしょう。最適な参入のためには「市場の状態」と「新規事業の戦略」が噛み合うタイミングで事業を始めるのが得策。市場の状態を把握する上でも新規事業の戦略策定は重要になると考えましょう。

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新規事業戦略のポイント

新規事業戦略のポイントとして下記の8点が挙げられます。

・顧客を明確にする
・事業のロードマップを策定する
・「やりたいこと」に沿って意思決定する
・捨てる部分も考える
・業績評価の基準を明確にする
・フレームワークを活用して分析を行う
・事業環境・競合他社の分析も実施する
・中期計画・長期計画をそれぞれ作成する

顧客を明確にする

まずは新規事業の顧客を明確にしましょう。新規事業の顧客が明確でないと、どのような戦略を立てるべきか方向性が掴めません。たとえば10代~20代の顧客と、50代の顧客では抱えているニーズも異なります。また同じ年代の顧客でも職業や住まいなどによってニーズが変わります。

最初に新規事業でどの顧客層をターゲットにするか決めておくと、戦略を立てやすいです。おおまかなターゲット設定でも最初は問題ないので、まずは狙う顧客の層を明確にしておきましょう。

事業のロードマップを策定する

事業の展開予測を具体的に策定することも重要です。期間・フェーズごとに行うべき業務を抽出し、新規事業のロードマップを描きましょう。事業がどのように展開していくのかが曖昧だと、計画的に事業を進められません。

行き当たりばったりの展開となってしまい、成果に繋がりにくくなります。まずは事業全体のロードマップを描き、年単位でスケジュールや必要な要素を書き込み、細分化していきましょう。

その内容を踏まえ、日々の業務単位にまで落とし込めれば、新規事業に携わるメンバーにも共有しやすく、具体的な方針が分かりやすくなるのです。

「やりたいこと」に沿って意思決定する

新規事業を行う上では「やりたいこと」に沿って意思決定することが第一。「やりたいこと」と新規事業の実現可能性についてはバランスをとる必要がありますが、まずは「やりたいこと」を軸にして事業の意思決定をしましょう。

「やりたいこと」に沿って意思決定すれば自然と新規事業に対するモチベーションも高まります。新規事業に対する情熱が他の従業員にも伝播すれば、組織・チームとして見ても、新規事業への意気込みが前向きなものになるでしょう。

捨てる部分も考える

新規事業を行う上で忘れがちなのが「捨てる部分」の存在です。規模の大小を問わず、どのような企業にも時間や労働力に限りがあります。リソースの制約を考慮し、新規事業で捨てる部分も考えなければなりません。

まずは新規事業で譲れない項目を抽出しましょう。その項目に対し、優先的にリソースを振り分けます。優先順位に沿って時間・労力を割き、どうしても後手に回ってしまって足が出た部分に関しては思い切って捨てるのも大切です。選択と集中を意識しましょう。

業績評価の基準を明確にする

業績評価の基準を明確にすることも重要です。評価基準が明確なら新規事業に対する評価も客観的に行えますが、逆に評価基準が曖昧だと新規事業の評価を適切に行えません。

新規事業が成功しているか否かが判断できないと、今の方針が適しているのか、変更したほうが良いのか決めきれず、暗中模索に陥ってしまうでしょう。特に新規事業は細かな仮説検証を繰り返す事が多いため、新規事業を打ち出す前に業績評価の基準を決めておくことをおすすめします。

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フレームワークを活用して分析を行う

フレームワークを活用し、新規事業の分析を行うことも重要です。

フレームワークを使えば、自社の強みや弱み、対象の顧客など新規事業で必要となる情報を視覚的に整理できます。整理した情報を共有する際にも有用ですし、どの要素をどのように変えれば改善につながるのかが分かりやすくなるのです。

具体的なフレームワークの種類については後ほど詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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事業環境・競合他社の分析も実施する

新規事業においては、事業環境・競合他社の分析も欠かせません。事業環境・競合他社を分析すれば、新規事業の内容が市場においてどのような立ち位置になるのか、顧客の視点に立って観察できるのです。

たとえば競合他社がすでに参入しており、レッドオーシャン化している場合は、競合の調査を入念に行い、価格以外の箇所で差別化しないと価格競争に陥ってしまいます。結果的に提供したい価値が提供できなかったり、利益が目減りしたりするでしょう。

事業環境・競合他社を分析せずに参入すると、事業が失敗に終わる可能性も出てきます。

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中期計画・長期計画をそれぞれ作成する

新規事業を進める際は中期計画・長期計画をそれぞれ作成しましょう。

中期計画・長期計画を作成することで新規事業の展開をイメージしやすくなります。目安ではありますが、中期計画としては半年~1年ほど、長期計画としては2~3年ほどのスパンを設定すると良いでしょう。

もちろん、それぞれ更に長いスパンを設定しても問題はありません。大切なのは長期的な視点を持つということ。先行きの不透明な新規事業に取り組む中でコンパスとして働いてくれるよう、遠くの未来まで見据え、演繹が連なった論理的な計画を立てましょう。

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新規事業戦略を立てる際の注意点

新規事業戦略を立てる際の注意点として、下記の3点が挙げられます。

・計画作成を目的にしない
・根拠のない目標設定はNG
・世の中の流れを重視しすぎない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

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計画作成を目的にしない

新規事業戦略を立てる時は計画作成を目的にしないよう注意しましょう。

計画はあくまでも新規事業を進めるためのツールです。計画作成だけを行い満足してしまっては本末転倒。新規事業を成功させるための計画作成である点を意識し、計画作成に取り組みます。

逆算を意識し、新規事業の成功イメージや見据える未来を実現するために、何がいつまでに必要なのかを明確にしましょう。

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根拠のない目標設定はNG

新規事業戦略においては根拠のない目標設定もNGです。感覚的な目標設定を行うと実際の事業環境とかけ離れた目標になりかねません。目標設定の根拠となる情報やデータを収集・分析した上で、具体的な新規事業の目標を立てましょう。

例えば「日本の相対的貧困を解消する」という目標を立てたとします。しかし本質的にはこれはビジョンに過ぎず、一つ落として「具体的に何があれば相対的貧困はなくなるのか」が分からなければ戦略に落とし込めません。

「〇年を基準に相対的貧困率を減らす」、「貧困層の年収を〇%増やす」といった具体的な指標や基準となる数値を定めたとき、初めてビジョンが具体性を伴った数値として現れてきます。そして、その数値を実現するために何をするか考えたとき、すでに一貫性のある戦略立案の第一歩が踏み出されているのです。

世の中の流れを重視しすぎない

新規事業の戦略を立案する際には、世の中の流れを重視しすぎないことも重要です。

世の中の流れを重視しすぎると、本来やりたかった新規事業から遠ざかることも。もちろん、世の中の流れを無視するわけにはいきませんが、世の中の流れを軸にしすぎず、自社が提供したい価値を軸にして戦略を立てることをおすすめします。

将来的にニーズが移り変わったとしても、提供する価値を基準に置いていれば、新規事業の内容を柔軟に変更できますし、一貫した価値を提供する姿勢は強固なブランディングに繋がるでしょう。

新規事業戦略で役立つフレームワーク3選

ここからは、新規事業の戦略立案で役立つフレームワークを紹介します。今回紹介するフレームワークは下記の3つです。

・SCAMPER法
・MVV
・4C分析

それぞれ詳しく見ていきましょう。

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SCAMPER法

SCAMPER法とは下記の7項目をもとにしてアイディアを生み出すフレームワークです。

・Substitude(代用する):人材や材料、場所など様々な要素に対して代用できるものがないか確認する
・Combine(組み合わせる):既存の事業を組み合わせて新しい効果・価値を生み出す
・Adapt(適応させる):過去の成功事例、アイディアなどを新しい状況に適応させる
・Modify(修正する):機能や性能、形態に変化を加えて修正する
・Put to other uses(他の使い方):本来とは異なる使い方を適用させる
・Eliminate(取り除く):商品・サービスの種類や機能などを絞り込む
・Rearrange / Reverse(並び変える / 反対にする):商品・サービスの手順などを入れ替える

上記項目の頭文字をとって「SCAMPER法」と呼ばれます。SCAMPER法を活用することで、項目ごとに精査しつつ、整理された新規事業のアイディアを抽出できるのです。新規事業のアイディアを網羅的に抽出し、検討したい際にはSCAMPER法が最適と言えます。

具体的には、新規事業の草案を考えたり、新規事業のロードマップを引いたりする際の思考フレームワークとして活用するのが良いでしょう。

MVV

MVVとは「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」の頭文字を取って命名されたフレームワークです。MVVは主に新規事業に対する姿勢・価値観などを整理する際に利用されます。各項目の概要は下記のとおりです。

・Mission(ミッション):企業の使命や存在理由、実現したい目標のこと
・Vision(ビジョン):理想となる企業像・組織像、使命を達成できる状態
・Value(バリュー):企業・組織の価値観や価値基準

MVVは、本来は企業の将来像や方向性を把握するためのもの。しかし、新規事業におけるMVVを改めて策定すれば、事業全体を貫く強固な軸としても活用できます。新規事業を創出した結果、どのようなMVVが達成されるのかが明確になれば、ステークホルダーへの説明も容易になるでしょう。

4C分析

4C分析は顧客が商品・サービスを購入する際に大きな影響を及ぼす4つの要素を分析するフレームワーク。4C分析の要素は下記のとおりです。

・Customer Value(顧客価値):商品・サービスに対する顧客の期待値・満足度
・Cost(コスト):商品・サービス価格の妥当性
・Convenience(利便性):商品・サービスの購入のしやすさ
・Communication(コミュニケーション):顧客と企業がコミュニケーションを行う場

上記4つの要素の頭文字をとって4C分析と名づけられ、数多くの企業が実用している有名なフレームワークです。4C分析を実施すれば、顧客視点に立ってサービスの特徴を把握したり、強み・弱みを見直したりできます。

新規事業の内容やサービスの提供方法を具体的に決める際に最適なフレームワーク。他社との差別化を図ったり、サービスの改善点を見つけたりするのに大いに役立ちます。

新規事業戦略を立てて事業を成功に導こう!

新規事業の戦略を立てる際は、ポイントを押さえ、丁寧に策定する意識が重要です。感覚的に戦略を立てるのではなく、ターゲットや事業展開、評価基準などの項目を具体的に設定していきましょう。

また新規事業戦略の策定ではフレームワークの活用もおすすめです。記事後半で紹介したフレームワークをぜひ活用してみてください。

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