新規事業開発などの際に用いられるマネジメント手法として有名なリーンスタートアップ。概要はなんとなく知っていても、いざ実践しようとするとうまくいかず、書籍で一度体系的に学びたいと思った方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、リーンスタートアップについて学びたい方に向けて、おすすめの関連書籍11冊を厳選しました。

エリック・リースが書いた書籍は2011年に出版(翻訳は2012年)され、今もなお多くのマーケターなどからの支持を獲得しています。本記事で紹介する書籍のうち、最も興味のある書籍からぜひ手にとってみてください。

リーンスタートアップ本のおすすめを3つに分類

本記事で紹介する11冊の書籍は、以下の3つに分類されます。

  • 提唱者エリック・リースが書いた本
  • エリック・リースがキュレーターを務めるシリーズ本
  • 事例豊富で実践的ノウハウが学べる本

提唱者エリック・リースが書いた本

リーンスタートアップとは、MVPと呼ばれる必要最小限の機能を実装した製品やサービスを通して顧客ニーズを汲み取り、より満足できる商品等の開発を進めるマネジメント手法です。

リーンスタートアップは顧客の反応をもとに製品などの開発を進めるため、顧客が必要としている製品などを提供できるメリットがあります。顧客が求めていない商品開発をしなくて済むため、無駄を省けるとしてさまざまな企業で導入されています。

リーンスタートアップの提唱者であるエリック・リースは、2008年に自身の起業体験をブログサイトで紹介。当時の事業開発における通説は、アイデアを磨き、事業計画を整備してから資源を一気に投入するやり方でした。

ニーズが確実な事業であれば無駄のない効率的なプロセスでしたが、時代の変化が激しく、ユーザーニーズの把握が困難な時代において、リーンスタートアップが高く評価されたのです。

ブログサイトで紹介し、大きな反響を呼んだ結果、最初の著書が出版されるに至りました。

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エリック・リースがキュレーターを務めるリーンシリーズ

エリック・リースがキュレーターを務めるリーンシリーズは、各分野における著名人が執筆。リーンスタートアップを実践レベルまで具体的に掘り下げ、書籍を手にとった読者がすぐに試せる内容として、わかりやすくまとめられています。

リーンシリーズの中でも、以下の6冊は日本語に翻訳されています。

  • Running Lean
  • Lean Analytics
  • リーンブランディング
  • リーン顧客開発
  • リーンエンタープライズ
  • Lean UX

マーケターだけにとどまらず、メディアサイトなどの開発者やデザイナーが読んでも参考になる内容で、あらゆるビジネスパーソンが手にとって学ぶべきシリーズです。

事例豊富で実践的ノウハウが学べる本

リーンスタートアップを利用する際に必ず登場するのがリーンキャンバスやMVPで、これらを作る方法などに苦戦する方も多いのではないでしょうか。

そのような方に向けて、リーンスタートアップを用いた事例を豊富に掲載した、実践的ノウハウが学べる書籍もピックアップしています。自社の新規事業開発に近しい事例があれば、同様の流れに沿ってリーンスタートアップをスムーズに実践できるはずです。

中にはリーンシリーズの続編的な位置付けの書籍もあるため、各章から興味のある書籍をそれぞれピックアップし、リーンスタートアップについて体系的に理解しましょう。

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【事例付き】リーンキャンバスとは?9つの要素について書き方や順番を解説

リーンスタートアップとMVPの基本がわかる!提唱者エリック・リースの本

本章で紹介する2冊の書籍は、いずれも提唱者であるエリック・リースが執筆しています。「リーンスタートアップとはなにか」について本質から学びたい方は、提唱者が執筆した書籍をぜひ手にとってみましょう。

リーン・スタートアップ

『リーン・スタートアップ』(税込1,980円)は、リーンスタートアップとは何なのか、提唱者自身が解説する一冊。自身の起業体験も含めて、わかりやすく体系的に紹介しています。本書は2011年に出版され、翻訳版は2012年に出版されました。

本書は、リーンスタートアップの中核となる5つの原則について3部構成で解説。また、今さら聞けないリーンスタートアップの用語や概念についても紹介しています。

出版から10年が経過しても、今なお多くの方に読まれています。リーンスタートアップについての「バイブル」的一冊である本書は、マーケターの必読書といえるでしょう。

スタートアップ・ウェイ 予測不可能な世界で成長し続けるマネジメント

『スタートアップ・ウェイ 予測不可能な世界で成長し続けるマネジメント』(税込2,200円)は、リーンスタートアップを大企業に適用させる場合の考え方を解説した一冊。

トヨタなどの大企業が採用するマネジメント手法である「スタートアップ・ウェイ」について解説している本書は、企業幹部向けの組織論を多く扱っています。そのため、本書の立ち位置は応用編・上級編に該当します。

リーンスタートアップについてまずは体系的に学びたい方や、大組織のマネジメントに携わることはない方などは、無理して読む必要はないでしょう。上記『リーン・スタートアップ』で基礎を学んだほうが、深い学びを得られるはずです。

リーンキャンバスなどについてよくわかる!リーンシリーズ

提唱者がキュレーターを務めるリーンシリーズは、リーンスタートアップを実践レベルまで具体的に掘り下げ、読者がすぐに実行できる内容としてまとめられています。

リーンキャンバスやMVPなどについて実践的に学びたい方は、下記で紹介する中から興味のある書籍を手にとってみましょう。

Running Lean ー実践リーンスタートアップ(THE LEAN SERIES)

『Running Lean ー実践リーンスタートアップ(THE LEAN SERIES)』(税込2,420円)は、リーンスタートアップの中で最も使われるツールである「リーンキャンバス」を提唱した一冊。リーンスタートアップの手法をより実践的に、順序立てて解説しています。

リーンキャンバスとは、スタートアップのビジネスモデルを可視化するためのツールです。

  • 顧客の課題
  • 顧客セグメント
  • 価値提案
  • ソリューション

上記など合計9項目にフォーカスし、ビジネスモデルを紙に書き出して可視化し、検証と改善を繰り返します。

本書では、顧客が必要とするMVPを構築する方法などについて、リーンキャンバスや顧客インタビューを使いながら具体的に解説。新規事業立ち上げの成功率を上げたい方は、本書からリーンスタートアップのエッセンスを学びましょう。

Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法(THE LEAN SERIES)

『Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法(THE LEAN SERIES)』(税込3,630円)は、リーンスタートアップが提唱する構築・計測・学習ループの「計測」に焦点を当てた一冊。

6つのビジネスモデルを例に、具体的なデータを使いながらスタートアップが成長するための「計測すべき数値」を詳しく解説しています。

  • EC
  • SaaS
  • モバイルアプリ
  • メディアサイト

とくに上記などを扱う開発者・ビジネスパーソンは、本書で紹介している数値分析のメソッドについて理解を深め、自社ビジネスにうまく活用させられるはずです。数字や指標が苦手な方でも、本書の内容を踏まえて、顧客の行動を適切に分析できるようになるでしょう。

リーンブランディング ―リーンスタートアップによるブランド構築(THE LEAN SERIES)

『リーンブランディング ―リーンスタートアップによるブランド構築(THE LEAN SERIES)』(税込3,300円)は、リーンスタートアップを「ブランディング・ブランド作り」に当てはめて解説した一冊。

本書は「顧客との関係」を確実に成長させていく方法について、事例を交えてわかりやすく解説しています。新製品や新サービスについて顧客に認知させ、興味をもってもらうには、「ブランディング」が必要不可欠です。

リーンスタートアップを用いたブランディング手法について、具体的な手法を細かく紹介しています。マーケターはもちろん、すべてのビジネスパーソンが読んでおいて損はない一冊です。

リーン顧客開発 ―「売れないリスク」を極小化する技術(THE LEAN SERIES)

『リーン顧客開発 ―「売れないリスク」を極小化する技術(THE LEAN SERIES)』(税込2,860円)は、仮説と検証を繰り返すことで顧客を理解し、適切なセグメントに向けた製品を迅速に開発する「顧客開発」について解説した一冊。

ターゲット顧客のプロフィールをマッピングする方法から、顧客の行動背景や課題を明確にするインタビューのコツに至るまで、顧客開発の手順を具体的に紹介しています。

製品開発ではなく顧客開発に焦点を当てた一冊で、顧客のニーズを的確に読み取り、売れないリスクを減らすTipsがふんだんに盛り込まれています。

リーンブランディング同様、本書もマーケターに限らず、すべてのビジネスパーソンにおすすめです。

リーンエンタープライズ ―イノベーションを実現する創発的な組織づくり(THE LEAN SERIES)

『リーンエンタープライズ ―イノベーションを実現する創発的な組織づくり(THE LEAN SERIES)』(税込2,086円)は、リーンスタートアップを既存企業に適用するための方法を解説した一冊。

本書では、さまざまな成功企業の事例をもとに、市場環境やニーズの変化に対応し、組織文化やガバナンスなどを最適化し続ける組織になるための原則とパターンを解説しています。

組織開発や組織運営に関して網羅的にまとめており、概念的な理解を改める際、定期的に読み返したくなる辞書的な一冊です。

想定読者は上記に比べてやや限定的ですが、組織運営・組織開発に関して学びたい方はぜひ手にとってみましょう。

Lean UX 第3版 ―アジャイルなチームによるプロダクト開発(THE LEAN SERIES)

『Lean UX 第3版 ―アジャイルなチームによるプロダクト開発(THE LEAN SERIES)』(税込2,970円)は、リーンスタートアップやアジャイル開発の原則をUXデザインの設計に適用した一冊。

アジャイル開発とは、ソフトウェア開発などで使用される開発手法の1つです。開発対象を機能単位に分解して、各機能について「イテレーション」と呼ばれる開発サイクルを回し、製品・サービスの完成やプロジェクトの完遂を目指すものです。

本書はプロトタイプを使った仮説の検証、MVPの構築、ユーザーからのフィードバックを効率的に得る方法などに関して、UXデザインの設計場面に落とし込んで解説しています。

あらゆる規模の企業に勤めるUXデザイナーにとって、本書は必読書ともいえる一冊です。

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リーンスタートアップとアジャイル開発の違いとは?新規事業に役立つ理由も解説

リーンスタートアップをビジネスに生かせる!事例と実践的ノウハウが学べる本

本章で紹介する3冊は提唱者がキュレーターではないものの、リーンスタートアップの実践的ノウハウを学べる良書ばかり。今まで紹介した書籍とセットで読むことにより、深い学びにつながるでしょう。

図解リーン・スタートアップ成長戦略

『図解リーン・スタートアップ成長戦略』(税込2,420円)は、リーンスタートアップの次なる段階である「成長」に向けた6ステップを詳細にまとめた一冊。本書は『Running Lean』の著者によって書かれており、同書の続編として、2冊をワンセットで購読するのがおすすめです。

本書で紹介するツールを用い、リーンスタートアップの継続的改善を進めながら、「目の前のニーズに応えつつ、グローバルな拡大を実現することを目指す」のが本書の趣旨です。

120点近い図解による理解しやすい構成で、初心者向けの一冊といえます。

アントレプレナーの教科書[新装版]

『アントレプレナーの教科書[新装版]』(税込2,640円)は、起業するにあたっての手順を詳細にまとめた、エリック・リースが絶賛する一冊。

アントレプレナーとは「ゼロから会社や事業を創り出す人(起業家)」を指します。単に職業としての起業家を表すのではなく、ビジネスの領域に限定されない、ありとあらゆる人間活動に適用される概念です。

本書では、新規事業の典型的な失敗パターンを回避し、大企業へと発展するためのマーケティング手法を提唱しています。リーンスタートアップの出発点ともされる本書は、スタートアップ起業家はもちろん、会社内の新規事業立ち上げ関係者にもおすすめな一冊です。

リーン・スタートアップを駆使する企業

『リーン・スタートアップを駆使する企業』(税込2,200円)は、停滞に悩む大企業にリーンスタートアップを取り入れた結果に関して、先進企業15社におよぶ豊富な事例とともに学べる一冊。

本書では、計25,000人にのぼる社員やアントレプレナーに対し、リーンスタートアップについて研修を実施することでもたらされた結果をまとめています。実施した結果や各社の事例は、自社における現状のビジネスモデルを刷新するヒントになるでしょう。

自社の新規事業開発力を高めたい、新サービスを軌道に乗せたいなどと考えるビジネスパーソンにおすすめです。

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リーンスタートアップの成功事例7選|新規事業立ち上げのヒントを解説

まとめ

リーンスタートアップについて学べる書籍は数多く出版されています。中でも本記事で紹介した11冊は、マーケターに限らずすべてのビジネスパーソンが手にとって学ぶべき内容です。

リーンスタートアップの提唱者であるエリック・リースの著書はもちろんですが、リーンシリーズの各書籍も具体例が豊富で、体系的に学ぶならどの書籍を選んでも問題ないでしょう。

本記事で紹介した11冊の中から、自身の業種や立場に合った書籍から読み進めてリーンスタートアップを体系的に学び、自身の業務に磨きをかけましょう。

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