VR技術やNFTなど、テクノロジーの発達により、メタバースは注目されています。バーチャル空間はビジネスで活用できるため、多くの企業がメタバースに興味を持っているのではないでしょうか。

メタバースサービスで注目されている企業の一つが、VR技術で有名な理経です。理経のVR映像技術は、メタバース分野でさまざまな可能性を秘めていると期待されています。

理経のVR技術がメタバース分野において、どのような活躍をしているのか気になる人もいるのではないでしょうか。

この記事では、理経のメタバースサービスへの特長や取り組み内容について解説しています。VRを利用した理経の技術は、メタバース事業を展開するための参考になるでしょう。

理経の会社概要

理経は、IT機器を手がける技術商社です。システムからネットワーク、電気機器など世界の最先端技術や先進的な製品を中心に、さまざまなソリューションを提供しています。

理経の会社概要を、以下にまとめました。

称号(屋号)株式会社 理経
設立1957年6月
代表取締役猪坂 哲
事業内容コンピューターソリューションネットワークソリューション電子部品および機器
従業員数単体:133名(2022年3月期)
連結:168名(2022年3月期)
資本金34億2,691万円(2022年3月末時点)
売上高単体売上高:66億247万円(2022年3月期)
連結売上高:108億6,273万円(2022年3月期)

理経は3つのコアビジネスを通じて、国内外の最先端技術とソリューションを顧客のニーズに沿って提供している企業です。

主な事業内容

理経の主な事業内容について、以下にまとめました。

システムソリューションHPEソリューション、IBMソリューション、VR空間、IoTヘルスケア製品、AI関連製品、入試・教務システム、電力系統用電磁過渡解析ソフトウェア、日本HP製品
ネットワークネットワーク機器、長距離無線アクセス機器、衛星通信関連製品、WANエミュレータ、営業技術支援、システム設計・導入・運用サポート、インターネットアクセスゲートウェイ、デジタルビデオ放送配信システム、デジタルビデオ信号解析・監視製品、防災情報配信システム、動画プラットフォーム
電子部品および機器電源部品、電子部品、光ファイバおよび光ファイバ関連製品、製造・医療・車両搭載用の産業用PC、IoTモジュール、電子材料、航空機関連機材、人命救助用機材

理経は、デジタルマーケティングからIoTやVRなどの最先端分野まで、幅広いソリューションを提供しています。

ネットワークソリューションの領域では、地震情報などを伝達する全国瞬時警報システム「Jアラート」が採用されたことでも有名です。

電子部品および機器の領域では、自動車や医療、製造など幅広い業界に機器を提供しています。

理経におけるメタバースサービスの特長とは?

理経は、VR技術と複合させたメタバースサービスを提供しているのが特長です。VR開発において、理経は現実空間と同等のVR空間を生成する技術開発に力を注いでいます。

防災訓練や事故事例など、現実に難しい状況をVRで再現し、幅広い訓練に活用されているのが理経のVR技術の魅力です。

また、自動車メーカーへのVR導入においては、Epic Games社のUnreal Engine 4を用いてメタバースを活用しています。

Unreal Engine 4とは、3Dゲームエンジンおよび開発環境のことです。UE4とも呼ばれており、PlayStation4やNintendo Switchなどにも使われています。

メタバース内では、時間帯や天候、車両そのものを変更できるため、さまざまな走行シミュレーションが再現可能。

理経のVR映像制作はメタバース分野において、さまざまな可能性を秘めているため期待されています。

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ACSLドローン専用訓練トレーナーを共同開発

理経のVR技術と複合させたメタバースサービスで注目されているのが、ドローンのバーチャルトレーナーの開発です。

理経は、株式会社ACSLとVFR株式会社とともに、ACSL製国産ドローン「SOTEN(蒼天)」専用訓練トレーナーを共同開発しました。

バーチャルトレーナーの開発は、ドローン操縦訓練を効率的に行えるメリットがあります。理経のVR技術を駆使したバーチャルトレーナーの詳細について、詳しく解説していきましょう。

SOTENバーチャルトレーナーの特長

バーチャルトレーナーでは、PCとモニター、プロポ型コントローラーのみで訓練ができるため、実機の準備は不要です。

SOTENバーチャルトレーナーの特長は、以下の通り。

SOTENに特化したシミュレーター・SOTEN同様の機体性能やユーザインターフェースを再現
・カメラ撮影などもトレーナー内で訓練可能
多様な実務状況を体験・高度なスキルが求められている場面も再現可能
・ヒヤリハットにも対応する訓練が可能
飛行状況を自由に変更できる・時刻や気象状況などを自由に変えられる
・ドローンの向きや飛行方向などをスピーディーに判断するリスクのある訓練にも対応可能

橋の点検や火災現場の監視、緊急着陸など、再現が難しい状況を体験できるのがバーチャルトレーナーのメリットです。

バーチャルトレーナーでは、実機なしでさまざまな状況の訓練が可能です。そのため、受講者のドローン操縦スキル向上も期待できるでしょう。

開発に至った経緯

気軽にドローンの操縦訓練ができるよう開発されたのが、SOTENバーチャルトレーナーです。

2021年12月に、ACSL製ドローン「SOTEN」が販売され、実社会での活用が期待されています。

ところが、ドローンにおける以下の法改正がありました。

  • 航空法改正
  • 国家資格の操縦ライセンス制度導入

2022年6月の航空法改正により、ドローンを含む重量100g以上の無人航空機は、登録が義務化されたのです。そのため、登録のない無人航空機は飛行禁止となりました。

さらに、2022年12月よりドローンは国家資格の操縦ライセンス制度が導入されたのです。従来のドローン操縦訓練は、専用施設に受講生とインストラクターが集まり、実物のドローンを飛ばしながら行われていました。

ドローン操縦訓練にはインストラクターが必要な上に、気象や障害物など困難な環境下では訓練が困難です。

状況により操縦訓練ができない課題点を解決するべく、理経のVR環境を構築し、SOTENバーチャルトレーナーが共同開発されました。

気になる今後の展開とは

SOTENバーチャルトレーナーのメタバース内に、ドローン訓練スペースを展開する予定です。メタバース内にドローン訓練スペースが展開できると、受講生は自宅に居ながら実物大の現場でドローンを飛ばせるようになるでしょう。

また、複数名が同一空間内で訓練できるようになれば、遠隔地にいるインストラクターからの指導が可能です。

インストラクターから指導を受けながら経験を積めるため、実際の現場でも落ち着いて操縦できると期待されています。

3dMD社Faceシステムを利用したデモルームを開設

理経は、3sMD社の3次元サーフェス超高速撮影&解析システムを利用した、Faceデモルームを開設したことでも注目されています。

3次元サーフェス超高速撮影&解析システムの詳細や、Faceデモルーム開発の経緯について紹介しましょう。

3次元サーフェス超高速撮影&解析システムとは

3dMD社の3次元サーフェス超高速撮影&解析システムは、以下の分野や研究用途に利用されています。

  • 医療(口唇口蓋裂の治療や整形外科
  • 美容整形
  • 歯科矯正
  • 運動学
  • アパレル
  • コスメ

専用システムを使っての撮影により、人によって異なる顔や体格などの形や大きさを計測して、高精度な3次元データの生成が可能です。

3次元サーフェス超高速撮影&解析システムには全身撮影や一部分に対応するモデルもありますが、Faceシステムの需要が高まっています。

Faceシステムとは、顔まわりの撮影に特化したものです。3次元データを用いた人体の撮影計測は、患者の治療前後の変化をシミュレーションする用途などで利用されています。

3次元データを用いた人体の撮影や計測は近年、美容整形やコスメ、アパレルなどでも注目を集めているのです。

3次元サーフェス超高速撮影&解析システムでは、メタバース上でアバターが作成できます。表現力豊かな表情を3次元化し、デザインをより細かくする目的で使用するなどの展開がされているため、需要が高まっているのでしょう。

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開設に至った経緯

Faceシステムのデモルームを開設した理由は、多くの事業が3次元サーフェス超高速撮影&解析システムの導入を検討していたためです。

3dMD社製品は、世界中の病院や研究機関での採用実績があります。また、以下の特長があるのも、注目されている理由です。

  • 最大360度のイメージを、誤差0.2㎜以下の高精度で撮影
  • 乳児や幼児など静止が難しい被写体でも写真がぶれにくい
  • 人体に影響を及ぼすレーザー光を使用せず、全身の撮影が可能
  • 最高120fpsの撮影ができるモーションキャプチャ機能を搭載
  • 多くの画像解析ソフトとの互換性あり

モーションキャプチャとは、人体や物体の動きをデジタル的に記録する技術を言います。理経は導入を検討する事業の意見から、10fpsで撮影できるFaceシステムのデモルームを開設しました。

また、導入を検討する事業が利用しやすいよう、デモルームのレンタルサービスを開始してシステム導入の促進を図ります。

fpsとは、1秒あたりの撮影フレーム数です。つまり、10fpsでは1秒間に10枚の撮影ができます。

デモルーム開設により、メタバース上でアバター作成ができる3次元サーフェス超高速撮影&解析システムを、より多くの事業が利用できるようになるでしょう。

NVIDIA Omniverse Partner Council Japanに参画

理経は、NVIDIAが結成した「NVIDIA Omniverse Partner Council Japan」に参画したことでも注目されています。

Omniverse Partner Council Japanとは、NVIDIA Omniverse Enterpriseの導入支援をするための団体です。

Omniverse Partner Councilは、NVIDIA Omniverse関連ソリューション、およびサポートを提供するパートナー企業で構成されています。

NVIDIA Omniverseとはどのようなサービスかを踏まえた上で、理経の取り組みについて紹介しましょう。

NVIDIA Omniverseとは

Omniverseは、NVIDIAが開発・提供するメタバース空間を構築できるプラットフォームです。

現実世界に近い高品質なシミュレーションと可視化によって、デジタル上であらゆる検証をして、課題の解決を目指しています。

Omniverseは、BMWやAmazonなどの大手企業が利用しているプラットフォームです。Omniverseの活用により、今後さまざまな業務の効率化が期待されています。

Omniverseの特長は、以下の通りです。

  • 場所・環境を問わないリアルタイムな共同作業
  • 高精細シミュレーションの実現

共有されたメタバース上で、複数のメンバーが同時に編集やレビュー、シミュレーションできるコラボレーション環境が実現可能です。

現実には難しいさまざまな検証をしながら課題を解決することで、さまざまな業務の効率化が期待できるでしょう。

理経の取り組み

NVIDIA Omniverse Partner Council Japanの参画により、理経は顧客向けにOmniverseを活用したシミュレーションやメタバースの提案を開始します。理経が提案する内容は、以下の通りです。

自動車業界向けOmniverseを活用した自動運転
ドローン業界向け自律飛行用AIの教師データ作成
製造業界向けコラボレーション機能を活用した機能的効率的な生産ワークフローの提案
自治体向け災害に係るシミュレーション、およびデータ活用

理経の取り組みにより、Omniverseの活用はさらに増えていくでしょう。

理経はVR技術と複合させたメタバースのサービスを提供!

理経は、VR技術と複合させたメタバースを展開しているのが特長です。VRに関しては、官公庁や自動車メーカーなどへの導入実績があります。

自動車運転技術の開発やドライブシミュレーターなどに、メタバースを活用しているのも理経ならではの魅力。

ACSL製ドローンのバーチャルトレーナーや、Faceデモルームなどでも理経のVR技術を組み合わせたメタバースサービスが期待できます。

今後も、理経の技術はメタバース事業に大きな影響を与えるでしょう。VR技術と複合させたメタバースサービスがあるということも、ぜひ参考にしてください。

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