バーチャルショップやバーチャルイベントなど、メタバースを用いたサービスは注目を浴びています。

そんな中、注目を浴びているメタバースの一つがRoblox(ロブロックス)。ロブロックスは、多くの企業が進出している世界中で人気のゲームプラットフォームです。

ロブロックスは、2023年中を目標として、新たにメタバース広告事業への参入を発表しました。この記事では、ロブロックスが新たに展開するメタバース広告事業の内容について解説します。

ロブロックスを用いた企業活用事例についてもわかるので、メタバース活用の参考となるでしょう。

ロブロックスとは世界で人気のゲームプラットフォーム

Roblox(ロブロックス)とは、日本を含む180ヵ国のプレイヤーとオンライン上で遊べるゲームプラットフォームのことです。

ロブロックスは、カリフォルニア州サンマテオに本社があり、2006年にリリースされました。1日の平均アクティブユーザー(DAU)は5880万人と、世界中で人気を集めています。(2022年11月報告時点)

日本での認知度は低いですが、メタバース事業が拡大するにつれ、浸透していく可能性も十分に考えられるでしょう。

どんなゲーム?

プロからアマチュアまで、約400万人が製作した3000万タイトル以上のゲームやバーチャル空間が、ロブロックス内にあります。

ユーザーは好きなタイミングで、3000万タイトル以上のゲームやバーチャル空間内を遊べるのが魅力です。

ロブロックス内では、レゴのような姿をしたアバターでプレイを楽しみます。アバターの服装などは、自分好みにカスタマイズ可能です。

アバターを好みの姿に変えて、世界中のユーザーと遊べます。ゲームは、1人用から大人数のものまであるため、遊び方も自由自在です。

ロブロックスで遊べるゲームジャンルには、以下のものが挙げられます。

  • ロールプレイング
  • アドベンチャー
  • 格闘
  • 障害物
  • タイクーン
  • シミュレーションなど

ロブロックスは、日本で人気のゲーム「マイクラ」と共通点が多くみられます。双方の大きな違いといえば、ロブロックスは無料で遊べることです。

ユーザー登録やダウンロードは基本的に無料のため、誰でも気軽にはじめやすいのがロブロックスの魅力でもあります。

マーケティングにも活用!ロブロックスの魅力や人気の理由を解説

1日の平均アクティブユーザー(DAU)が約6000万人と、ロブロックスはなぜ人気なのか疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。マーケティングにも活用できる、ロブロックスの魅力について解説します。

若者に人気

ロブロックスは、もともと子どもの創造性をつちかうプラットフォームとして開発されました。そのため、ユーザーの半数以上が13〜17歳を占めています。

また、子どものプログラミング教材として、ロブロックスは期待されているのです。年齢問わず誰でもロブロックス内にゲームを作れるため、子ども達は自分の成果を他人に見てもらえます。

結果として、困難な問題に自ら解決しようとする学習意欲が培えるのも魅力です。2022年9月にロブロックが公開した事業報告書によると、17〜24歳のユーザーが急増傾向だとわかりました。

日本ではあまり浸透していないロブロックスですが、海外ではSNSツールの一つとして利用されています。

子どもの頃からロブロックスを通じて友人とコミュニケーションをとってきた人たちにとっては、大切なつながりとなります。そのため、ロブロックスは若年層の顧客を獲得する手段となります。

収益化が可能

ロブロックスでは、独自で簡単に3Dの遊び場が作成できる上、共同編集も可能です。制作したアイテムが売れたり、自分が作ったゲーム空間に大勢のユーザーが訪れたりすると、Robuxが手に入ります。

ロブロックス内で使われるデジタル通貨のRobuxは、ドルに換金可能です。つまり、YouTubeの再生数と広告収入の関係と類似したシステムが、ロブロックスで実現できます。

さらに、ロブロックスでは自身が作成したメタバース内のユーザー訪問数や平均滞在時間など、統計データの分析が可能です。

収益化できるどころか、オンラインマーケティングにおいて重要とされる分析機能が備わっているのも、ロブロックスの魅力といってよいでしょう。

▼関連記事▼
メタバースのビジネスモデルとは|事例と収益化のポイントを徹底解説
メタバースはビジネスチャンスの宝庫?活用事例やメリット・デメリットを紹介
メタバース事業とは?市場規模、ビジネスモデルと実例、土地(不動産)まで解説

メタバース空間でユーザー同士が交流可能

ロブロックスでは、ユーザー同士がチャットで交流できたり、ゲームに招待できたりします。そのため、ロブロックスは新たなSNSツールとしての活用が期待できるのです。

ユーザーは、気になっている企業をロブロックス内でほかのユーザーに紹介できます。ターゲットにヒットした商品であれば、ユーザー同士の口コミにより、企業の情報が話題に上がりやすくなるわけです。

ユーザー同士の話題により、自社のメタバースに訪れるユーザーは増えるため、集客や収益化が見込めます。

▼関連記事▼
メタバースを活用した次世代SNSを5つ紹介!従来のSNSとの違いも徹底解説

安全性が高い

ロブロックスは子どもが創造力を膨らませたり、制作したりできる空間をオンライン上に作れるよう、安全性が高いのも特長です。

実際に、ロブロックスには以下の機能があります。

チャットフィルタ人の手とソフトウェアの両方を使用して、プラットフォームから不適切なコンテンツを削除
保護者コントロール機能チャットやゲームの制限が可能
アバターコスチューム検出アバターが適切な服装を着ているか検出できる
報告システムチャットやゲーム内で不適切な発言があった場合、ロブロックス専用の報告システムから通報できる

1日に複数回プラットフォーム上のテキストチャネルをフィルタリングして、暴力や性的コンテンツなどの不適切な内容をブロックしています。

また、ロブロックスに登録する際、政府発行の運転免許証やパスポートといった写真付きの本人確認書類が必要です。

メッセージやRobuxの購入履歴など、アカウントの行動を監視できる方法はいくつかあります。安全に子どもが遊べるように設定できるため、大人が見守りやすいのもロブロックスの特長です。

ロブロックスが新たに始めるメタバース広告事業とは

ロブロックスは、2023年中を目標にメタバース広告事業をはじめると発表し、注目されています。若年層を中心にブランドとの接点を作り、広告主が新規顧客を獲得できるようにするための、新たな収入源確保が目的です。

企業やブランドが作るメタバース内に、集客向けのゲーム広告を展開する予定とされています。なお、広告は13歳以上のプレイヤーのみに表示予定です。

ロブロックスがメタバース広告事業をはじめることで、若年層へのブランドアピールはもちろん、これまで以上に集客と収益化が期待されます。

ロブロックスにおける7つのメタバース活用企業事例を紹介

ロブロックスは、多くの人気ブランドが参入していることで注目を集めています。企業がメタバースをどのように活用しているのか、事例を紹介していきましょう。

VANS

スニーカーブランドで人気のVANS(ヴァンス)は、スケートボードが楽しめるメタバース「VANSWORLD」を開設しています。

ゲームスタジオThe Gang Stockholとともに、共同で手がけているのも特長です。巨大なスケートパークでは、友達と競争したり、スケートテクニックを披露できたりします。

メタバース内には、スケートパークHouse of Vans Londonなど、実在するロケーションもあるのが魅力です。

また、メタバース内では、バーチャルスケートボードとVANSのシューズを自身でデザインも可能。

自分だけのオリジナルデザインのスケートボードやシューズのほか、VANSのグッズをアバターに装着してメタバース内で遊べます。

NCT127

NCT127は、世界中のファンへ向けてロブロックス内でバーチャルコンサートを開催しました。NCTとは、日本や韓国、アメリカなど多様な国籍で構成された10人組アイドルグループです。

世界中のファンが好きな時間に、好きな場所でNCTのコンサートを楽しめます。コンサートで使えるペンライトや、グループのステージ衣装などの限定アイテムを購入し、アバターに装着してコンサートを楽しめるのも魅力。

ほかにも、NCTのメタバース内で宝探しや障害物レースといったゲームでも遊べます。

志摩スペイン村

三重県にある複合リゾート施設「志摩スペイン村」は、ロブロックス内に、パルケエスパーニャの一部を3DCGで再現しています。

実在するパルケエスパーニャがゲーム会場となり、牛追い祭りやトマト祭りなど、スペインテイストのゲームで遊べるのが特長。

ゲームでは、チャットを使いながら仲間と連絡を取り合えます。そのため、牛追い祭りでは、ほかのユーザーと協力プレイを楽しめるのです。

また、志摩スペイン村ゆかりのアイテムをゲットできます。アイテムをアバターに装着して、テーマパーク気分を盛り上げられるのも、ロブロックスで遊ぶ魅力です。

H&M

人気ファッションブランドH&M(エイチアンドエム)は、同ブランドが展開するリサイクルシステムをメタバース上で運営しています。

リサイクルシステムの「Loooptopia Experience」では、3つの世界を展開しているのが特長。デザインや色、素材を集めたり、組み合わせたりしてアバターの洋服が製作できます。

また、ユーザー同士で洋服の交換も可能。1人はもちろん、ほかのユーザーとも一緒に洋服作りを楽しめるのが魅力です。

ユーザーが洋服をリサイクルすることで、レアアイテムや商品を集められます。自分が製作した衣装をアバターに着せて、メタバース内で自分らしさを出せるのも、H&Mならではの発想です。

ジバンシイ(GIVENCHY)

フランスのファッションブランドGIVENCHY(ジバンシイ)は、ロブロックス内で「ジバンシイ ビューティーハウス」を運営しています。

ユーザーはアバターにメイクしたり、バーチャルアクセサリーを着けたりできるのが特長。実際にアバターに施したメイクは、店頭でフェイスチャートに起こし、使った商品を購入できるサービスを導入する予定です。

メタバース上で、ジバンシイのアイテムを気軽に試せるため、購入意欲の向上にもつながります。また、メタバース内のダンスフロアで、アバターがダンスを楽しめるのも魅力です。

今後は、コミュニケーションプラットフォームとして活用するほか、新商品の披露にもメタバースが使用されます。自社のブランドを多くのユーザーに知ってもらうきっかけ作りとしても、期待できるでしょう。

Spotify

音楽ストリーミングサービスSpotifyは、ロブロックス内に「Spotify Island」と呼ばれるインタラクティブ空間を運営しています。

メタバース上の音楽作成機能では、Soundtrapが提供するビートメーカーステーションにて、ユーザーが独自の音楽を作れるのが特長。

ほかにも、ファン同士が同じ空間でゲームやイベントを楽しめるのはもちろん、ほかのユーザーとコミュニケーションもとれます。

ユーザー同士でコミュニケーションをとることで、ほかの音楽に触れる機会ができるため、新たな音楽を開拓できるのです。

アーティスト側も、新たなファンを増やすきっかけとなります。また、Spotify Islandでは、アーティストの限定バーチャルグッズも入手できるのが魅力です。有料で販売されるグッズの売り上げの一部は、アーティストに還元されます。

ウォルマート(Walmart)

Walmart(ウォルマート)は、ロブロックス内に「Walmart Land」と「Walmart’s Universe of Play」2つの没入型体験スペースを開設しました。

Walmart Landでは、バーチャルコンサートやゲームを楽しめます。ほかにも、メイクブランドaf94、Lottie Londonなどの化粧品を試着したり、ポージングを競ったりして楽しめるのも魅力。

Walmart’s Universe of Playでは、ジュラシックワールドやパウパトロールといったキャラクターが登場するゲーム性の高いスペースです。

ウォルマートは、Z世代をターゲットにしており、人気のありそうなコンテンツがエリア別に集まっています。

ロブロックスのメタバース広告事業への期待が高まる

ロブロックスは、多くの人気ブランドとコラボレーションしています。さらに、1日の平均アクティブユーザーは、5880万人と世界中で人気のゲームプラットフォームです。

ロブロックスは、2023年中を目標にメタバース広告事業を展開する予定です。事業者は、若年層を中心に自社ブランドを知ってもらう機会となります。

日本ではあまり馴染みがありませんが、海外では若者のSNSツールとして活用されるほどロブロックスは人気です。

ユーザー同士で話題になることで、多くの若年層に自社の魅力を知ってもらえるため、新規顧客の獲得や集客率アップも見込めます。

多くの企業が新規顧客を獲得するきっかけ作りとなるため、ロブロックスのメタバース広告事業は、今後ますます期待が高まるでしょう。

▼関連記事▼
注目のメタバースプラットフォーム:世界最高峰11選
日本と海外のメタバース企業一覧|参入の価値は十分あり?将来性も解説

Reinforz Insight
ニュースレター登録フォーム

最先端のビジネス情報をお届け
詳しくはこちら

プライバシーポリシーに同意のうえ