xR メタバース(クロスリアリティメタバース)という言葉をニュースサイトやNTTなど大手企業でもよく見かけるようになりました。xRは、これまでのVR、AR、MR、SRとどこが違うのかという疑問をお持ちの方も少なくありません。
そこで本記事では、そもそもメタバースとは何か、これまでのVR・AR・MR・SR とxRメタバースとの違いなどについて、活用事例などを含め詳しく解説します。
そもそもメタバースとは?
メタバースとは、「限りなく現実に近い世界で活動できる仮想空間」という、人間社会において生活に密着したものが最新(2022年)の認識です。この認識が提唱されるまでには、ここ数年の間、様々な企業によってメタバース方式の提唱論戦が展開されました。
その代表的な企業がMeta社(旧Facebook)とNiantic社の提唱の違いです。それぞれの提唱内容を見てみましょう。
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Meta社(旧Facebook社)のメタバース
Facebookが2021年10月に社名を「Meta(メタ)」に変更し、次世代のコミュニケーションプラットフォームとしてVRワールド「Facebook Horizon」を発表しました。その中で、「ユーザーはVRヘッドセット(VRゴーグル)を使ってメタバースにテレポートして、仮想世界の中でリアルなコミュニケーションをする」としています。
簡単に言うと、Metaはメタバースを「現実と乖離した仮想空間でユーザーがコミュニケーションする」ものと位置づけたのです。ユーザーは、VR(バーチャルリアリティ)(ヘッドセット)を付けて楽しむ方式になります。
Niantic社のメタバース
一方、人気スマホゲームの「ポケモンGo」を開発・運営したNiantic社は、「現実の世界とデジタルの世界を融合させ、人々を直接結びつけるという没入型デジタル環境の仮想世界ではない現実世界のメタバース」を提唱しました。
Niantic社はMetaと対照的に、あくまで「現実世界と仮想世界を融合し生活に密着したもの」をメタバースと位置づけています。ユーザーがヘッドセットを使用せず、スマホやパソコンで楽しむ方式です。
メタバース方式の提唱論戦の行方
2021年10月、モーニングコンサルが成人2200人を対象に行った調査では、「Metaのメタバースプロジェクトには興味がない」が68%を占めました。
このことで、Meta社が提唱する「現実と乖離した仮想空間でユーザーがコミュニケーションするもの」は市場で肯定されず、メタバースの将来性はどうか、どのような方式が主流になるのかは現在不明とされています。
MetaとNianticのメタバース方式の提唱論戦に決着がついた訳ではありませんが、Meta側には不利な結果となったことは確かです。
また、各企業が開発したメタバース空間をどのようにして相互につなげるのか、別空間のままなのか、などについても2022年現在は明確ではありません。
しかし、このような環境下でも、各企業や大学などで着々とメタバースの研究開発及び商品化が進んでおり、メタバースの方式については次の4種類に分類されています。
xRメタバース(クロスリアリティ)の方式と定義
メタバースの技術方式は次の4種類あります。これら4種類の定義を統合したのがxRメタバース(クロスリアリティ)です。
VR(仮想現実)メタバース
Virtual-Reality-Metaverse(バーチャル・リアリティ・メタバース)は、先述したとおり現実とは乖離した仮想空間を舞台にアバター(Avatar)という自分の分身同士でコミュニケーションする方式です。
VRゴーグル(ヘッドセット)を装着して、より現実と乖離した空間で活動するため没入型メタバースとも呼ばれています。
AR(拡張現実)メタバース
Augmented-Realit-Metaverse(バーチャル・リアリティ・メタバース)は、現実の空間風景に仮想の風景や画像情報を付加または合成して投影し、その空間でアバター同士がコミュニケーションするメタバース方式です。
VRゴーグルなどスマホやPC以外のデバイスは基本的に必要としないため、誰でも参加しやすく、メタバースの中でも人間の個性表現がし易いと言われています。
ARメタバースは、「ポケモンGo」など主にスマホゲームアプリで採用されている方式です。ARメタバースを採用している最近のスマホゲームは後述する「xRメタバースの活用事例」の項で紹介しています。
MR(複合現実)メタバース
Mixed-Reality-Metaverse (ミックスド・リアリティ・メタバース)は、現実空間と仮想空間を融合させる点ではARと同じですが、違いは現実空間を主体としない点です。MRにおける空間情報は、現実と仮想がリアルタイムで影響し合って、新たな空間を作り出します。
MRメタバースには、MRを採用した専用のデバイスが必要です。代表的なデバイスには、「HoloLens 2」(Micro Soft)、「Magic Leap 1」(Magic Leap)、「NrealLight」(Nreal)などがあります。(※リンクをクリックすると紹介動画を参照できます)
これらのデバイスで表示される仮想画像情報は、現実世界に存在する正確な物理計算がベースになるため、建築や医療の分野のシミュレーションなどで活用されています。
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SR(代替現実)メタバース
Substitutional-Reality-Metaverse(サブスティチューショナル・リアリティ・メタバース)とは、次の定義のものを指します。
「現実世界における過去と現在の画像の一部または全部を差し替えて、本来実在しない人物や個体、事象が実時間、実空間に存在しているかのように錯覚させるメタバース方式」。
SRメタバースには、「予め現実世界で記録した画像や音声などの過去情報のデータ」と映像を見せるための専用ヘッドマウントディスプレイが必要です。
SRメタバースは人間の心理に影響を与えやすいため、「脳科学研究」や「心理療法」で活用されています。
xRとVR・AR・MR・SRの違い
先述したとおり、VR・AR・MR・SRメタバースを統合したものが、xRメタバース(クロスリアリティ)になりますので、xRとその他の方式に違いはありません。
ただ、xRは、必ずしもVR・AR・MR・SRの全てを統合したものだけを指すのではなく、必要に応じてARとVR、VRとMRというように2つ以上の方式を統合したものでもxRメタバースに含まれます。
xRメタバースの活用事例
ここでは、xRメタバースを活用して商品化されている代表的なコンテンツについて、ご紹介します。
XR World(NTTdocomo)
2022年3月31日、NTT docomo(ドコモ)は、ユーザー同士で相互にコミュニケーションを取りながら音楽、アニメ、ダンスなどの音楽ジャンルからメタバースサービス「XR World」を提供開始。
2023年1月現在は、リスアニ!LIVE 2023とゴジラ・コロッセオという「ゴジラ、メタバースに現る!」をテーマとしたメタバースも提供中。
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スマホメタバースアプリ
- REALITY
「顔出しナシのライブ配信アプリ」をキャッチフレーズにした、メタバース世界をアバターにより芸能活動しファンを募り、稼ぎながらプロのVtuberを目指せるアプリ。
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- Cluster(クラスター)
ヘッドセットマウントなしで、スマホ、PC(Win/Mac)で楽しめる国産メタバースプラットフォーム。
詳しくは以下の関連記事をご参照ください。
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clusterとは?メタバース業界で存在感を増す企業の動きに迫る! - VRChat(ブイアールチャット)
無料でヘッドセットがなくても参加でき、メタバース世界でお試しコミュニケーションが体験できるメタバースプラットフォーム。
仮想通貨、NFT(非代替性トークン)ゲーム
- The Sandbox(ザ・サンドボックス)
世界で最も期待されるブロックチェーンゲームTOP10入りした稼げるNFTゲーム。アディダス、渋谷109、スクエニが参入したことで、SANDトークンが1年で100倍を超える上昇をみせたことで有名。 - 元素騎士Online META WORLD
この中では最新作(2022/11/30)となるブロックチェーンゲーム。3D-MMO技術で構成された独特のメタバース世界を表現し、仮想空間上にNFT要素を融合。無料ではじめられるPC・スマホ向けゲーム。 - Axie Infinity(アクシーインフィニティ)
2018年にリリースし、現在1日あたり300万人のユーザーがプレイするブロックチェーンゲーム。今回紹介したゲームの中でも圧倒的な人気を誇る。「取引できる」「遊んで稼ぐ」がコンセプトで、累計4,680億円の取引が行われている。 - SGEM City
イーサリアム(ETH)のブロックチェーン上で提供されている仮想空間で「遊んで稼ぐ」P2Eゲーム。迷宮探索と宝探しを目的に、カードとバトル、建築を行いながら進めていく中で稼げるので分かり易いゲーム構成が魅力。
その他、メタバースを活用したNFTゲームの情報は、以下の関連記事をご参照ください。
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アバターデザイン、作成、モーションツール
- VRoid Studio(pixiv)
3DCGの知識や技術がない人でも、無料でハイクオリティーなアバターが作成できるアバター専用の作成ツール。作成したアバターは、人気YouTubeチャンネルに登場するイメージキャラクターとして採用されているケースが多い。
- BOOTH(夢展望)
メタバースで活動するアバターや現実世界で使用する衣装やアクセサリーなどの創作物の総合マーケットサイト。服飾デザイナーやCGデザイナー、アーティストが直接出品し、ユーザーと取引できるのが最大の特徴。VRoid Studioからもサイトを閲覧できるようになっている。
詳しくは、以下の関連記事をご参照ください。
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- 3tene(3tene)
3tene(ミテネ)は、アバター(2D、3DCGモデル)の顔の表情や体の動きをアニメーションさせる主にVtuber向けツールです。VRoid Studioをはじめ、様々なアバター作成ツールに対応しており、最も利用者が多いモーションツール。
無料の範囲でもWebカメラによるフェーストラッキング・リップシンクやLeapMotion(別売)による指、腕のトラッキングにより、モデルを動かすことができる。
xRメタバースの定義はキラーコンテンツで決まる
ここまで、xRメタバースの定義について解説してきました。お気づきの方もおられると思いますが、結局のところ定義は後付けで決まるのであり、どこか1企業が提唱したから決まるというものではありません。
キラーコンテンツを量産したメタバースプラットフォームを支持するユーザーによって、決まるものです。
現在は、その開発競争が激化している段階であり、今後更に新たな技術や定義が生まれてくるかもしれません。
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まとめ
xRメタバースについて、現状の定義や実際に商品化された活用事例について解説しました。その定義には曖昧な点はあるものの、活用事例を見るとビッグビジネスに繋がっているものも存在しました。
今後、メタバースがどのように人々の生活と密接なかかわりを持てるのかは、新たなビジネスモデルの開発も必要になるかもしれません。
当サイトでは、今後もメタバースに注目し最新情報を皆様にお届けして参りますので、ぜひご参照ください。
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