Facebook社がMetaに社名変更したことがきっかけで、メタバースの認知は拡大し、メタバース領域への積極的な投資を行う企業が着々と増えています。

高速通信技術の発達やパンデミックによる働き方改革もあり、メタバース会議やバーチャルオフィスといった、メタバースのビジネス活用事例も出始めました。

市場の成長が期待されるメタバース領域に関して、投資したいと考える人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ネット証券会社の最大手であるSBI証券で購入できる、メタバース関連の投資信託をまとめました。

各投資信託の特徴や組入銘柄、共通する企業の概要などを網羅的に解説しています。本記事を参考に、メタバース領域が中長期的に成長するか検討してみましょう。

SBI証券で扱うメタバース関連の投資信託3選

SBI証券で取り扱うメタバース関連の投資信託は、以下の3つです。

  1. グローバル・メタバース株式ファンド
  2. グローバル X メタバースETF
  3. eMaxis NEO バーチャルリアリティ

グローバル・メタバース株式ファンド

グローバル・メタバース株式ファンド」は、世界の上場株式の中から、メタバースに関連するビジネスを行う企業の株式に投資する投資信託。具体的には、以下に該当する企業が投資対象です。

  • バーチャル世界(プラットフォーム)開発に関連する企業
  • メタバースのインフラ構築に関連する企業
  • Web3の基幹技術に関する開発をおこなう企業

ファンドの運用開始は2022年3月31日で、2023年2月時点において購入できる対象者は、一部の金融商品仲介業者経由の対面取引に限定されています。

グローバル・メタバース株式ファンドの組入上位5業種は、以下のとおりです。

  1. メディア・エンターテインメント:38.1%
  2. ソフトウェア・サービス:26.1%
  3. 半導体・半導体製造装置:11.3%
  4. 耐久消費財・アパレル:10.1%
  5. テクノロジー・ハードウェア:6.4%

また、総組入銘柄は41で、うち上位10銘柄(2022年10月末時点)は以下のとおりです。

銘柄特徴割合
ROBLOX(ロブロックス)ゲーム開発会社9.4%
Unity(ユニティ)ゲームエンジン開発会社6.4%
Coinbase暗号資産交換業社5.8%
Netflix映像配信プラットフォーム5.2%
NVIDIA(エヌビディア)半導体メーカー4.3%
ShopifyECプラットフォーム3.4%
Snap IncSnapchatなどの開発会社3.3%
Take-Two Interactive(テイクツー・インタラクティブ)ゲームソフトウェア開発会社2.9%
Adobe動画・画像編集等のソフトウェア開発2.8%
AppleMRグラス開発にも注力2.8%

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グローバル X メタバースETF

グローバルXメタバースETF」は、メタバースの開発および商業から利益を得る企業に投資するETF。具体的には、以下に関連する企業が該当します。

  • XRを体験できるハードウェア・ソフトウェア開発企業
  • ライブストリーミング等を3Dシミュレーションで共有できるプラットフォームを開発する企業
  • NFTやデジタル決済に関わるアプリの開発企業
  • 半導体・クラウドコンピューティング技術を開発する企業

ファンドの設立は2022年4月で、「Global X Metaverse Index」に連動する投資成果を目指しています。同年末時点における、セクター別の内訳は以下のとおりです。

  • 通信サービス:72.22%
  • IT:22.20%
  • 金融:2.96%
  • 一般消費財:2.61%

組入銘柄は合計47で、2023年2月時点の組入上位10銘柄は以下のとおりです。

銘柄特徴割合
Metaメタバースを主力事業として積極投資8.03%
NVIDIA半導体メーカー7.10%
TENCENT(テンセント)中国のIT関連会社6.68%
NetEase(ネットイース)中国のゲーム開発会社6.61%
ネクソン(NEXON)PCオンラインゲームなどの開発5.91%
ROBLOXゲーム開発会社5.09%
任天堂コンピューターゲーム開発に注力4.98%
Unityゲームエンジン開発会社4.73%
Coinbase暗号資産交換業社4.69%
Take-Two Interactiveゲームソフトウェア開発会社4.42%

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eMaxis NEO バーチャルリアリティ

eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」は、S&P Kensho Virtual Reality Indexの値動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンド。

ファンドの設立は2018年12月で、eMAXIS Neo バーチャルリアリティという名前のとおり、本銘柄は「バーチャルリアリティ」に関連する銘柄を扱います。2023年1月末時点の組入上位5業種は以下のとおりです。

  1. 半導体・半導体製造装置:36.4%
  2. ソフトウェア・サービス:17.1%
  3. テクノロジー・ハードウェア・機器:15.7%
  4. メディア・エンターテインメント:12.5%
  5. ヘルスケア機器・サービス:4.8

組入銘柄は20で、2023年1月時点の組入上位10銘柄は以下のとおりです。

銘柄特徴割合
Metaメタバースを主力事業として積極投資8.6%
NVIDIA半導体メーカー8.2%
HIMAX TECHNOLOGIES(ハイマックス テクノロジーズ)半導体メーカー7.7%
PTCソフトウェア開発7.1%
XEROX Holdingsテクノロジー・ハードウェアの開発7.0%
Unityゲームエンジン開発会社6.3%
Penumbra(ペナンブラ)ヘルスケア機器等の開発・販売4.8%
STMICROELECTRONICS(STマイクロエレクトロニクス)半導体メーカー4.5%
SYNAPTICS(シナプティクス)半導体メーカー4.4%
AMBARELLA(アンバレラ)半導体メーカー4.2%

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【2023年2月時点】SBI証券で購入できるメタバース投資信託は2種類

2023年2月時点において、SBI証券で購入できるメタバース関連の投資信託は、「グローバルXメタバースETF」「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」の2種類

「グローバル・メタバース株式ファンド」は一部の対面取引でしか購入できないため、ネットから手軽に投資できるのは上記2種類と覚えておきましょう。

2023年2月末時点において、「グローバルXメタバースETF」は1口23米ドル前後で購入可能です。また、「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」は100円から買付できます。

興味のある方は、リスクとリターンを改めて確認し、投資するか検討してみましょう。

SBI証券で購入できるメタバース投資信託に共通する6つの企業を解説

本記事では、SBI証券で購入できるメタバース投資信託を3つ紹介しました。それぞれの上位組入銘柄をみると、以下の企業は2つ以上の投資信託で重複しています。

  1. NVIDIA
  2. Unity
  3. Meta
  4. ROBLOX
  5. Coinbase
  6. Take-Two Interactive

つまり、それだけメタバース関連事業に対し積極的に投資しており、将来的な成長が期待されると言えます。以下、それぞれの企業に関して、主力事業やメタバース領域への取り組みをまとめました。

NVIDIA(エヌビディア)

NVIDIAは、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)を主力とするアメリカの半導体メーカー。

メタバースが普及することで、現在よりさらに高性能なPCやサーバーのスペックが求められ、基盤技術であるGPUの需要がさらに拡大すると予想されます。

NVIDIAは、産業向けのメタバース開発ツール・プラットフォームである「Omniverse(オムニバース)」を2021年11月から提供開始。

オムニバースでは現実世界を仮想空間上で忠実に再現するデジタルツインが可能で、あらゆる産業でのシミュレーションに利用できることが期待されています。

メタバースに限らず、AI技術や自動運転など、最先端の技術分野を多岐に渡って展開する、最も注目すべき企業です。

NVIDIAとUnityは、すべての投資信託で上位組入銘柄に選定されています。

Unity(ユニティ)

Unityは、ゲーム開発や建築・自動車などの設計で利用できるプラットフォームを提供している企業。

3Dゲーム開発のエンジンとして世界で最も使用されており、メタバースゲームの開発はUnityまたはUnreal Engineを用いるのが大半です。

月間150万人以上のクリエイターがUnityを利用しており、世界のビデオゲームの50%以上がUnityで制作されています。

Unityは無料(一部有料)で利用でき、750時間を超える学習コンテンツも用意。アセットとツールを組み合わせ、短時間で効率よくプロダクトを完成させられるなどの特徴も。

1度作成すると25以上のプラットフォームに展開できる汎用性の高さから、ゲームエンジン開発会社として盤石の地位を確立することが予想されます。

Meta

Metaは、社名変更を機にメタバース領域への積極的な事業投資が顕著なSNSプラットフォーム企業。

Facebookの月間アクティブユーザーは約29億人、Instagramは約15億人にのぼります。世界中にユーザーを抱え、ターゲティングに優れた広告ビジネスで巨大テック企業へと成長しました。

Metaに社名変更したのは2021年10月で、メタバースプラットフォームの「Horizon Workrooms」や「Horizon Worlds」を開発。また、VRヘッドセットを開発する「Oculus」を2014年に買収し、「Meta Quest」も開発しています。

2021・2022年には、メタバースの構築に100億ドルほどの巨額投資をしており、メタバース市場の開拓に先陣を切ってひた走る代表的な企業と言えるでしょう。

Meta(旧Facebook)社におけるメタバースの取り組みは、「Meta(旧Facebook)が目指すメタバースの未来とは?【徹底解説】」をご覧ください。

ROBLOX(ロブロックス)

ROBLOXは、ゲーム開発のプラットフォームを提供する企業です。

ユーザーはROBLOXを使って独自のゲームを開発し、さまざまなユーザーが開発したオンラインゲームを自由にプレイできます。そのゲームから発生した収益は、ゲームの開発者とROBLOXで分配されるというビジネスモデルで運営されています。

ROBLOXで開発されるゲームには、プレイヤーが果たすべき明確な目標やストーリーが用意されていません。そのゲームの世界観において自由に行動するタイプのゲームで、「あつまれどうぶつの森」に似ていると言えるでしょう。

個人が自由にゲームを開発でき、収益が分配されるというビジネスモデルや、明確な目的を持たないゲーム性という点が、メタバースに近い企業として評価されています。

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Coinbase

Coinbase」は、世界100カ国以上、約1.1億人が利用する世界有数の暗号資産取引所です。

2021年4月には、暗号資産取引所として初めてアメリカの株式市場(NASDAQ)に上場し、信頼性の高さが伺えます。

国内では2021年8月にサービス提供を開始したものの、2023年1月18日、日本市場から撤退する旨の発表がありました。

Web3の発展にあたり、ブロックチェーン技術を用いた暗号資産の利用はもはや欠かせない存在と言えます。メタバース市場の成長に伴い、暗号資産取引の一般化はますます進むでしょう。

暗号資産の利用価値は長期的に見て高まると考えられ、世界的にも信頼性のあるCoinbaseは今後も企業価値をさらに高めていくと予想されます。

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Take-Two Interactive(テイクツー・インタラクティブ)

Take-Two Interactiveは、世界中でプレイされるゲームソフトウェアの開発や販売をしている企業です。

同社のゲームは、PlayStationシリーズやNintendo DSなどの代表的なハードウェアに提供されています。

同社のなかには「ロックスター・ゲームス」「2K」という2つのレーベルがあり、それぞれ異なるジャンルのゲームを開発。代表的なゲームタイトルは以下のとおりです。

  • グランド・セフト・オート
  • シヴィライぜーション
  • マックスペイン
  • バイオショック

本社はアメリカで、開発スタジオや営業拠点は世界中に点在しています。NASDAQに上場し、世界的なゲーム企業として今後も成長が期待されます。

投資信託ではなくメタバースETFも注目

SBI証券で購入できるメタバース関連の投資信託は、先ほど紹介したとおりです。海外に目を向けると、「ラウンドヒルボールメタバースETF(METV)」が、世界ではじめて運用が開始されたメタバースETFです。

2021年6月に運用が開始されたMETVは、51の銘柄で構成されています。METVの値動きや組入銘柄にも着目すると、メタバースに積極的な投資をしている企業の動向がさらに分かるようになるでしょう。

METVを含めたメタバースETFに関しては、「メタバースETFのおすすめ3選と組入銘柄・注目が集まる理由を解説」で詳しくまとめています。

なぜメタバースが人気を集めているのか

メタバースがなぜこれほどまで人気を集めているか、改めてまとめておきます。メタバースが人気を集める理由は、大きく分けて以下3点です。

  1. 新たなインターネット革命として期待されている
  2. 市場の急拡大・急成長が見込まれている
  3. 多くの大企業が参入している

モバイルインターネットが急速に普及したのは、2010年を過ぎた辺りからでした。当時は高速通信の4Gが整備され、動画配信・閲覧が容易になったという背景があります。

2020年には5Gの回線が整備され始め、より高速な通信が可能になっています。通信技術の発展に伴い、新たなインターネット革命として、メタバースの台頭が期待されているのです。

また、2020年における世界のメタバース市場は476.9億ドルに達し、2028年には8289.5億ドルまで拡大するという調査結果も。

国内では、ソニーやパナソニックがVR関連製品の開発を手がけたり、ANAや凸版印刷がメタバースプラットフォームの開発に乗り出したりしています。

メタバースを大きなビジネスチャンスと捉え、積極的な投資が行われているのです。

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SBI証券ならメタバースの投資信託を購入可能

旧Facebook社のMetaへの社名変更がひとつのきっかけとなり、メタバースへの注目度が高まっています。

メタバースに積極的な企業をまとめて投資できる投資信託は、2023年2月時点で数は少ないものの、いくつか登場し始めています。

SBI証券で購入できるメタバース関連の投資信託は、合計3種類。ネットからも購入できるのは2種類です。

国内の大企業も積極的な投資を進めており、メタバース市場は急激な成長を見せる可能性を秘めています。本記事を参考に、メタバースに注力する企業の動向をチェックしておきましょう。

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