マーク・ザッカーバーグ率いるMetaはFacebookから社名を変更し、メタバースの開発に注力開始していた。一部の海外報道機関において、同社のCEOがジェネレーティブAIに傾倒しているとの噂があり、Metaが描くメタバースの未来について懸念が生じている。
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メタのマーク・ザッカーバーグCEO、メタバースからジェネレーティブAIへ心移り?
メタのCTOであるアンドリュー・ボズワースは、マーク・ザッカーバーグと同社のチーフ・プロダクト・オフィサーであるクリス・コックスが、インタビューなどでジェネレーティブAIの開発に多くの時間を投資していることを明らかにしている。
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ChatGPTに代表されるジェネレーティブAIは目覚ましく進化しており、様々な分野でアプリケーションが登場しコンテンツの自動生成を可能にしている。ジェネレーティブAIは広告にも大きな影響を与える可能性があり、コンテンツを自動的に生成することにより広告がよりパーソナライズされ、メタの収益が増加する可能性もある。
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一方、メタが提供するメタバースであるHorizon Worldsは、やや停滞している様相。メタバースプロジェクトが含まれるReality Labs部門は昨年、240億ドルもの累積損失を計上している。ボズワースは、メタバースプロジェクトに数十億ドルを投資していると発言しているが、克服すべき課題が多いことも指摘。同氏によれば、ジェネレーティブAIがメタバースを改善できる方法の1つとして、自然言語で説明するだけで3Dの世界を作成できるようにすることだ、とのことだ。
直近のニュースや業界エキスパートの話を総合するとザッカーバーグがメタバースプロジェクトから離れつつあるのではないか、との懸念が一部で浮上しているようだ。そして仮にそうだとすれば、これまでの投資を回収することができず、大損失を計上することを意味するだろう。
メタバースはメタの最も野心的なプロジェクトの1つであり、まだまだオンラインでのインタラクションの方法を変える可能性があると多くの人が信じている。
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メタ社は技術革新を追求する企業としてのポジションを維持しようとしている点は相違ないだろう。メタバースのプロジェクトに多額の投資を行いながら、同時に生成AIにも力を入れていることから、メタ社は引き続き将来のデジタル世界のあり方に影響を与える複数の技術を開発しようとしている。
メタバースが一時的に後退しているように見えるものの、ジェネレーティブAIがメタバースの開発を促進し、より簡単で直感的な方法でユーザーがバーチャル世界を構築できるようになるかも知れない。その場合、ジェネレーティブAIの研究は、メタバースプロジェクト全体を強化し、最終的にはユーザーエクスペリエンスを向上させるための重要な要素となるだろう。
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広告分野においても、生成AIは広告コンテンツの自動生成を通じて、ターゲットユーザーに対してよりパーソナライズされた広告を提供することが可能になり、メタ社の収益にプラスの影響を与える可能性はある。
メタ社はChatGPTで盛り上がる現在の市場のニーズと未来の技術トレンドに対応するために、メタバースとジェネレーティブAIの両方を開発していると思われる。両技術は相互補完的な関係を持ち、お互いの発展を促進する可能性があるため、メタ社は継続的にこれらのプロジェクトに投資し、革新的なデジタル製品とサービスを提供し続けることで、競争優位性を維持できるかもしれない。
今後、メタに何が起こるか、どのような方向に舵を切るかはまだ不透明だが、メタバースやジェネレーティブAI技術への投資は継続されるだろう。現在のジェネレーティブAIへの傾倒は一時的なものかもしれないが、メタバースの伸び悩みを背景に、AI分野の専門知識を活用する新しい方法を模索している兆候かもしれない。