メタは、Segment Anythingと呼ばれる新しいAIモデルを開発したと発表した。デジタル画像や動画からどんなオブジェクトでも切り取ることができるようになった。この技術は、メタのメタバース事業や、コアの広告ビジネスに大きな影響を与える可能性がある。

参考:Meta Segment Anything
参考:Segment Anything Paper

あらゆる画像の物体を識別:メタ「Segment Anyghint」

出典:メタ

この技術は、人物や物体の背景を取り除くiPhoneの写真アプリと似ているが、メタのAIモデルはより強力であり、画像の種類もいとわず柔軟性が高いのが特徴。メタが公表している論文によれば、Segment Anythingを訓練するために1100万のプライバシーに配慮された画像を利用したという。

メタの研究者たちは、大量の画像データセットを使用して、特定のオブジェクト自体を認識するのではなく、オブジェクトを構成する要素を個別に識別するAIモデルを構築。そのため、画像の種類やコンテキストに関係なく、どんなオブジェクトでも認識できる。

このツールを利用することにより、AI開発者は、特定のラベル付けされた画像をさらにトレーニングするコストを負担することなく、基礎モデルを活用できる。メタは、ユーザーが自分自身の画像を使ってAIを試すことができるデモツールも提供している。

メタは、メタバース事業に大きな投資とリソースを配賦しており、Segment Anythingをメタバース領域に応用される可能性がある。またSegment Anything AIは、メタのReality Labsが開発している仮想・拡張現実グラスにおいての活用も考えられる。

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Segment Anything AIの技術活用で想定されるメタの戦略

Segment Anythingは、画像のセグメンテーションにおいて、既存の手法よりも高速で高精度な結果を生み出すことができる革新性があるAIモデルであると言える。このモデルは、事前にラベル付けされたデータを必要とせず、あらゆる画像内の任意のオブジェクトを切り取ることができるとされている。

そのため、Segment Anythingは、画像解析やメタバースのような、高度なビジュアルコンピューティングタスクにおいて、劇的な効率の向上をもたらす可能性がある。メタバースでは、現実世界と仮想世界が融合した空間が実現されることが期待されており、Segment Anythingを用いることで、現実世界のオブジェクトを仮想世界に持ち込むことができるようになるかも知れない。

つまり将来的には、この技術が、実際の世界からのオブジェクトをキャプチャし、仮想世界の3DコンテンツをジェネレーティブAIが生成することで、メタバースの未来を形作ることができると考えられる。同時に、この技術は広告事業にも適用される可能性があり、例えば、実際に商品を見た人に対して、その商品に関する広告に、切り取った実際の商品実物を表示することができるようになる。

ただし、この技術が抱える懸念事項も存在する。例えば、広告を表示することがメインの目的となってしまうと、やはり個人情報のプライバシー保護についての懸念がある。また、ジェネレーティブAIモデルを使用した広告やクリエイティブが大量生産されれば、フェイクニュースやフィッシング詐欺の拡散を促進することになる恐れがある。

個人情報のプライバシー保護や、AIの悪用による問題を踏まえ、技術の応用には慎重な検討が必要だ。

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