AMDとNVIDIAはAIハードウェアの新世代を相次いで市場に投入し、2024年だけでなく2025年にもTSMCの先進パッケージングの生産能力をすべて使用している。TSMCは、AI GPUハードウェアの注文が減速する兆しを見せておらず、サーバーAIプロセッサによる収益が今年に倍増すると見込まれている。

さらに、NVIDIAの新しいBlackwell B200 AI GPUが今年後半に生産開始されると、2025年はTSMCにとって飛躍の年となる見込みだ。

AIハードウェア市場でのNVIDIAとAMDの新世代

AMDとNVIDIAは、次々とAIハードウェアの新世代を市場に投入している。これにより、TSMCの先進パッケージング技術であるCoWoSおよびSoICの生産能力が2024年と2025年に完全に予約されている状況である。特に、NVIDIAの新しいBlackwell B200 AI GPUやAMDのInstinct MI300 AIアクセラレータは、TSMCの最新プロセス技術を駆使して製造されている。

TSMCの生産能力拡張と予測される収益増

TSMCは、AIハードウェアからの需要増加に対応するため、先進パッケージングの生産能力を積極的に拡大している。2024年末までにはCoWoSの月産能力が45,000から50,000に達する見込みで、これは2023年の15,000からの大幅な増加である。また、SoICについても同様に月産能力が2023年の2,000から2025年末には10,000まで増加する予定である。この生産能力の拡大が、TSMCの収益を大きく押し上げる要因となっている。

サーバーAIプロセッサからの収益が倍増

TSMCは、サーバー用AIプロセッサの生産においても顕著な収益増加を見込んでいる。今年に入り、サーバーAIプロセッサからの収益が前年比で倍増すると予測されており、このトレンドは今後も続くと考えられている。この収益増加は、AI市場の拡大と技術進化が進む中で、さらに高性能で効率的なAIプロセッサへの需要が高まっていることに起因する。

2025年、AI需要に応えるTSMC

TSMCは、AI技術の進展に伴い、その製造能力と技術の革新に大きな投資をしている。特に2025年は、AI市場の需要に対応するための重要な年と位置付けられており、同社は生産設備の拡張と技術開発により、市場の要求に応える準備を進めている。NVIDIAの新型AI GPUやAMDの最新AIアクセラレータの生産増加により、これらの製品が市場に提供されることで、TSMCの技術力と市場での競争力がさらに高まることが期待されている。

AI市場の竜巻、TSMCを巻き込む

NVIDIAとAMDによるTSMCの先進パッケージング能力の独占予約は、AI市場における技術競争の激化を象徴する出来事である。これはまるで、革新的な技術で武装した二頭の巨龍が、半導体の供給網という大海を支配しようとする様子を思わせる。2024年と2025年にわたり、これらの企業がTSMCの生産能力を飲み込むことによって、他のプレイヤーはこの巨龍たちの波に飲み込まれるか、または新たな生存戦略を見つけなければならない状況に追い込まれている。

この独占予約の動きは、単なる市場支配に留まらず、技術革新の方向性をも左右する可能性を秘めている。TSMCのような巨大な製造船が、特定の顧客によって旗艦として選ばれることは、その船が進む方向を大きく決定づける。これは他の多くの企業にとって、新たな技術開発の道を模索する契機となり、市場全体の技術進化に新たな波を起こす可能性がある。

Reinforz Insight
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