中国のIT大手アリババは、人工知能(AI)のChatGPTスタイルのプロダクトである「Tongyi Qianwen」を発表した。英語と中国語の両方に対応したこの新しいAIモデルは、アリババのクラウドコンピューティング部門によって開発され、近い将来、同社のビジネスアプリケーション全体に展開される予定。
【参考】
アリババ:通义千问(Tongyi Qianwen)
CNN:Alibaba unveils its ChatGPT-style service
BBC:AI: China tech giant Alibaba to roll out ChatGPT rival
アリババがChatGPT風の「Tongyi Qianwen」をローンチ
「Tongyi Qianwen」は、英語と中国語の両方に対応しており、アリババのさまざまなビジネスアプリケーションに統合されることが予定されている。アリババは、同製品を職場向けメッセージングアプリのDingTalkやスマートスピーカーのTmall Genieに最初に導入し、その後、他のアプリケーションにも展開していく計画。
「Tongyi Qianwen」は、「千の質問を投げかけて答えを求める」という意味で、このAIプロダクトは、過去のデータから学習し、人間の仕事と区別がつかないようなコンテンツを生成することができるという。これにより、ビジネスパーソンは、会議の会話を書面に変換したり、ビジネス提案を作成したり、メールを作成するなどのタスクを効率的に行うことができるようになるだろう。
アリババの最高経営責任者(CEO)であるダニエル・チャン氏は、「生成型AIとクラウドコンピューティングによって技術的な画期的瞬間に立っている」と述べ、Tongyi Qianwenの重要性を強調。同CEOは、すべての業界が知識変革を受け入れ、競争に勝つために積極的に取り組むべきだと主張しています。
アリババのビジネスアプリケーションへの統合
アリババは、「Tongyi Qianwen」を同社のビジネスアプリケーションへ統合する計画を進めており、多くのビジネスパーソンにとって便益をもたらすことが期待される。
DingTalkに統合されることにより、従業員は会議の内容を瞬時に書面化したり、共同作業を効率化したり、業務上のコミュニケーションを円滑に進めることができるようになる。また、Tmall Genieへの導入によって、スマートスピーカーを活用したビジネスニーズが効率的にサポートされる。
さらに、アリババは、Tongyi Qianwenをeコマースプラットフォームやマッピングサービスなど、同社が提供する他のアプリケーションにも順次導入する予定。これにより、アリババが提供するサービス全体がよりスマートで効率的になることが期待される。
また、アリババは、Tongyi Qianwenをクラウドコンピューティングの顧客や開発者にも提供し、それぞれが独自の大規模言語モデルをカスタマイズして作成できるようにする計画。これにより、さまざまな業界や企業が、自社のニーズに合わせたAI技術を活用することができる。
対話型AIの競争が更に激化
今後ますます多くの企業がAI技術を開発・導入していくことが予想される。アリババのTongyi Qianwenを活用したビジネスアプリケーションの成功は、他の企業にも刺激を与え、より効率的でインテリジェントなビジネス環境を構築する可能性がある。
一方で、先行するChatGPTは、OpenAIによって開発されMicrosoftが支援しているが、GAFAMを始めとして世界中の企業が独自のジェネレーティブAIプラットフォームを開発し競い合っている。
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AlibabaのTongyi Qianwenは、この競争の中で独自の地位を築き、特に中国内のビジネスパーソンにとって有益なツールを目指す。今後、Tongyi Qianwenの性能や普及がどのように進展するかに注目だ。