京セラは日本を代表するBtoB企業であり、メタバースを積極的に利用していることで知られています。特に、近年のメタバースを使ったプレゼンは話題になりましたが、以下のような疑問を抱える方も少なくありません。

「京セラはメタバースをどのように利用している?」
「京セラのメタバースプレゼンが話題になった理由とは?」
「京セラ以外にメタバースに力を入れているBtoB企業とは?」

そこで本記事では、京セラのメタバースが注目されるきっかけになったプレゼンや、BtoB企業全体でメタバースが広まりつつある背景を解説します。

京セラの取組みはもちろん、その他企業の戦略についても掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

京セラによるメタバース展示会でのプレゼン概要

京セラは、日本を代表する電子部品メーカーです。

スマホや太陽電池など消費者向けのBtoC向け製品も製造していますが、ファインセラミック部品やセラミックパッケージといった、BtoB製品の割合が大きい企業として知られています。

そして、京セラがソーシャルVR「VRChat」上のメタバース展示会で行ったプレゼンが、BtoB企業によるメタバース利用として話題になったのです。

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京セラがメタバース「VRChat」を使ってプレゼン

京セラは、2022年11月8日から13日に掛けて開催された工作機械の展示会「第31回日本国際工作機械見本市」(JIMTOF2022)」の出展に合わせて、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」上で展示会を行いました。

※京セラのツイッターリンク
https://twitter.com/KYOCERA_TOOL/status/1587319698219491328?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1587319698219491328%7Ctwgr%5E0f50652626a685c64c2d329294bff634591db6a2%7Ctwcon%5Es1_c10&ref_url=https%3A%2F%2Fpublish.twitter.com%2F%3Fquery%3Dhttps3A2F2Ftwitter.com2FKYOCERA_TOOL2Fstatus2F1587319698219491328widget%3DTweet

VR展示会は、空中に浮かぶ島で行われ、巨大なプロペラを備えたビルが緑豊かな木々に囲まれる、自然と人工物が調和した外観の世界で行われました。

京セラが販売している電動工具や、同社の最新技術を搭載したコンセプトカーが設置され、箱状の工作機械「マシニングセンタ」は、横にあるボタンを押すと稼働して金属板を削り出す様子を楽しめる仕様。

さらに、VR展示会のプレゼンテーション用のエリアでは、京セラによるカーボンニュートラルへの取り組みに関して説明され、同社が2030年までにCO2排出量を2019年比で46%削減するために行っている取り組みについてのプレゼンが行われました。

(引用:J CAST トレンド|京セラがメタバースで展示会 カーボンニュートラルへの取り組みを紹介)

メタバースが先進的と話題に

京セラがVR展示会で行ったメタバースを使ったプレゼンは、非常に分かりやすいとネット上でも話題になりました。

実際に、「VRの利点が分かりやすい」「メタバースには懐疑的だったけど、メタバースへの見方が変わった」「マシニングセンタの実物を見るよりも分かりやすい」といった好意的な意見が並び、ネット上では好評だったようです。

また、京セラのメタバースプレゼンが分かりやすくて好評だったことから、


「メタバースを使ったプレゼンが増えるのでは?」
「京セラのような企業にとっては、今後主流になる可能性もあるかもしれない」

といった意見も出ており、今後の活用用途に注目が集まっています。

(引用:Togetter|京セラのメタバースを使ったプレゼンが分かりやすくて活用事例の大正解すぎる「こんな距離で見ていいんですか!?」)

京セラ代表もメタバースを積極的に活用

京セラのVR展示会には、なんと京セラの谷本秀夫社長が視察に訪れることにもなり、こちらもネット上で話題になりました。

京セラの谷本社長は、Meta社のVRヘッドマウントディスプレイ「Meta Quest 2」を装着して、谷本社長そっくりのアバターで京セラのVR展示会に来場。

谷本社長は当時62歳でしたが、さすがにハイテク企業のトップだけあって、すぐにメタバース上での操作にも慣れ、最新テクノロジーを使いこなしていました。

企業トップがメタバースを積極的に活用していることからも、京セラのメタバースへの力の入れようをうかがい知ることができます。

(引用:ネタフル|京セラの谷本社長がメタバースの京セラブースに降臨した話)

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京セラのメタバース展示会が画期的だった理由

京セラのメタバース展示会が画期的だったと多くの人から評価された理由としては、以下の要因が挙げられます。

  • BtoB企業によるメタバースの活用事例だった
  • リアルのように分かりやすかった
  • 来場が容易で幅広い企業にアピールできる

順番に見ていきましょう。

BtoB企業によるメタバースの活用事例だった

メタバースを活用している企業は多くなっていますが、話題になる企業はほとんどが消費者向けに製品を売るBtoC企業です。

例えば、三越伊勢丹の「バーチャル伊勢丹」、JR東日本による世界初のメタバース・ステーション「Virtual AKIBA World」、日産自動車によるバーチャル試乗ワールド「NISSAN SAKURA Driving Island」などは、いずれもBtoC企業によるメタバース活用事例であり、消費者に対して自社製品をメタバースで宣伝する取り組みとなっています。

一方、京セラは企業向けのBtoB企業であり、今回のVR展示会でも、マシニングセンタや切削工具など企業向けの製品の宣伝にメタバースを使った珍しい事例となりました。

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リアルのように分かりやすかった

マシニングセンタや切削工具などの企業向け製品は、当然メタバースで見るより実際に手に取って試して見た方が深く理解できます。

ただ、今回の京セラのメタバース展示会では、プレゼンテーションのデモが非常に作り込まれており、「目の前で動く切削工具が分かりやすかった」という意見もありました。

また、リアル会場では、京セラの最新技術を搭載したコンセプトカー「SPORTS EV CONCEPT CAR」が設置されましたが、こちらは乗車は不可能。

一方、VR会場では、コンセプトカーに自由に乗り込めることが可能となっており、多くの参加者がアバターで乗って記念撮影するなど、物理的な制約を無視できるバーチャル世界の利点を生かせたと言えます。

(引用:CNET JAPAN|京セラ、VRChatでB2B分野のメタバース展示会–JIMTOF2022の出展ブースを再現)

(引用:PANORA|リアル&メタバース同時展開の京セラ「JIMTOF 2022」ブースを取材 VRchatなら切削など機械の動きを目の前で体感できる)

来場が容易で幅広い企業にアピールできる

京セラが、メタバース展示会を行った理由としては、リアル会場では来場者が限られる一方で、メタバース展示会なら幅広い来場者に来てもらえるためとしています。

また、いくらメタバースの作りが良くなろうとも、リアル展示会で手に取って見る体験に比べれば、臨場感で劣ることは否めません。

ただ、リアル展示会では、ブースの広さに限りがあるため、全ての商品の動作確認をすることはできないという物理的制約があります。

メタバース展示会では、このような物理的制約がないため、幅広い商品を多くの企業に紹介できる利点があるのです。

京セラのメタバース事業の展望

京セラは、「京セラグループのサステナビリティ」として、デジタル化の推進を掲げています。

同社が掲げるデジタル化推進の方針は、次の6つです。

  1. 「モノ売り」から「コト売り」
  2. 営業プロセス改革
  3. データ収集/分析プラットフォーム
  4. 製造現場での生産性倍増活動
  5. ネットワークとセキュリティ
  6. 事務処理効率化とそのためのITスキルのボトムアップ

京セラのファクトリーオートメーション(FA)事業では、工具の選定からCAD/CAMソフトウェアを活用した加工方法の検討、センシングツールによる加工状態のモニタリングなど、切削加工のさまざまな工程でのデジタル化を進めています。

これらのサービスを体感的なものとして体験してもらえるように、メタバースを使った分かりやすい解説を活用していくとのことです。

(引用:京セラ|デジタル化推進)

BtoB企業でのメタバースの活用事例3つ

京セラのメタバースを使ったプレゼンはBtoB企業によるメタバース活用として話題になりましたが、京セラ以外にもBtoB企業でメタバースを活用している企業はあります。

・凸版印刷
・サイボウズ
・シャノン

ここからは、上記の企業が行っているメタバース活用事例を見ていきましょう。

凸版印刷|メタバースで新入社員研修

凸版印刷は、BtoBを主力とする総合印刷会社です。

凸版印刷は、ITを積極的に使っている企業としても知られており、2020年の新型コロナ禍では新入社員研修を全てオンラインで実施しました。

2022年度からは、これまではWeb会議システムなどで行っていた新入社員研修を、メタバースを使った新入社員研修として新たに導入することを発表しています。

凸版印刷の新入社員研修では、同社のバーチャルショッピングモールアプリ「メタパ」をカスタマイズして導入し、新入社員同士の交流が促進できる場を用意するなど、リアルに近い臨場感でのコミュニケーションを提供したとのことです。

また、凸版印刷は、商談や協調作業などのビジネスコミュニケーションが可能なメタバースサービス基盤「MiraVerse®」を提供していることでも知られています。

(引用:未来図|社員教育や社員研修でも効果を発揮するメタバース活用)

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凸版印刷が手がけるメタバース『Mira Verse』とは?3つの特徴などを解説

サイボウズ|自社製品をメタバース展示会で紹介

サイボウズは、テレワークなどに使われるグループウェアに強いソフトウェア関連のBtoB企業です。

サイボウズは、IT企業だけあって積極的なIT活用を進める企業となっており、メタバースの活用にも力を入れています。

そして、2022年12月に開催された世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2022 Winter(Vket)」では、メタバースを使って自社製品「kintone(キントーン)」を紹介しました。

VRで活動する名物キャラクター「ビッグカツくん」が、サイボウズのkintoneブースで来場者にkintoneを紹介したとのことです。

(引用:JCASTトレンド|サイボウズ「kintone」メタバースで体験イベント VRの名物キャラも応援に)

シャノン|定期的にメタバース展示会を開催

シャノンは、クラウドでマーケティング業務を自動化するソリューションを提供している、BtoBに強いIT企業です。

積極的にメタバースを展開している企業としても知られており、子会社の株式会社ジクウが提供するメタバースイベントプラットフォーム「ZIKU」は多くのメタバースイベントに採用されています。

シャノン自体が定期的にメタバース展示会を開催しており、2022年には、みずほ銀行主催の「M’s Salon メタバース展示会」や大阪府が開催した「メタバースを活用した企業DXシンポジウム」にメタバースイベントプラットフォーム「ZIKU」が採用されました。

まとめ

本記事では、京セラのメタバースを用いたプレゼンが注目された背景や具体的な取組み、その他BoB企業によるメタバースの活用事例を解説してきました。

京セラのようなBtoB企業がメタバースを活用する事例は珍しく、BtoB企業にとっての今後のモデルケースになる可能性があります。

そして、メタバース展示会はリアルと違って物理的制約を無視でき、来場が容易という利点もあるため、サイズや重量が大きい製品を扱うBtoB企業には特に重宝するでしょう。

メタバースによる新入社員研修やメタバース広告など、将来的な活用用途も幅広いため、ぜひ本記事を参考にいち早くトレンドをキャッチしてください。

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