昨今はメタバースの誕生により、「自宅にいながら現実世界を超える体験・情報収集」が可能となりました。

経済活動のさらなる多様化や、リモートワークの活発化などさまざまな可能性がありますが、「街作りへの関係」には特に注目した方が良いでしょう。

実は、大手不動産デベロッパーの三井不動産株式会社(以下三井不動産)が、さまざまなメタバースイベントを積極的に行っており、メタバースとシナジーが見込めるスマートシティの開発にも着手しているのです。

そこで本記事では、三井不動産のメタバースプロジェクトの概要や、スマートシティとの関連性を解説します。

従来の「住まい」という概念を塗り替える期待も持てるため、ぜひ参考にしてください。

三井不動産の4つのメタバースプロジェクトとは?

ここではまず、メタバースの概要や三井不動産が手掛ける4つのメタバースプロジェクトを解説します。

メタバース×住宅が生み出す可能性をいち早く掴んでおきましょう。

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東京ドームワールド

2022年11月30日から2023年2月28日までの期間限定で、三井不動産は株式会社東京ドームと共に、REALITY株式会社が提供するスマートフォン向けアプリ「REALITY」上に、「東京ドームワールド」を共同出展しました。

「REALITY」は、全世界で累計1,000万ダウンロードを超えるシェアのスマートフォン向けバーチャルライブ配信アプリです。

高額な機材などを揃える必要もなく、スマホ1台あれば誰でも無料で簡単に3Dアバターを作成することができます。

またそういった手軽さが人気を博し、2020年から2021年にかけて「REALITY」でのアクティブ配信者数は6倍にものぼるほど。「REALITY」は近年最も成長著しいライブ配信アプリの1つと言えるでしょう。

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東京ドームワールドで出店されたイベント

開催している期間中、前述の「REALITY」内では、以下のようなイベントが催されました。

  • 東京ドーム運営の「東京ドームシティ」
  • 三井不動産グループ管理運営の「三井ショッピングパーク ららぽーと」
  • 三井ショッピングパーク公式通販サイト「&mall(アンドモール)」

そして、実在の「東京ドーム」を模した仮想空間内に、メジャーアーティスト並みのステージを設け、プライベートライブ配信プラットフォームとして開放。

東京ドームワールドは、「リアルでは体験不可能でありながら、リアルの要素を取り入れたメタバース」だからこそ実現するイベントとして話題になりました。

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バーチャルマーケットでの「&mall(アンドモール)」出展

東京ドームワールドにて、三井ショッピングパークの公式通販サイト「&mall(アンドモール)」も出店されましたが、実はすでに同サイトは、それより以前の2022年12月3日〜18日に別のイベント「バーチャルマーケット2022 Winter」に出展しています。

また、バーチャルマーケットは「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」としてギネス世界記録に認定されており、「&mall(アンドモール)」をバーチャルショップとして認知させることに貢献しました。

さらに、バーチャルマーケット内では「乗り物に乗る」「映画鑑賞」「音楽ライブ参加」といったバーチャルならではの「体験」も提供し、臨場感溢れる催しとなりました。

NEW POINT×THE-ST

三井不動産と株式会社 NTT ドコモ(以下ドコモ)は、2022年3月18日〜4月5日の期間限定で、三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY にてスマートトイを扱うポップアップストア「NEW POINT×THE-ST」を開催しました。

同ストアでは仮想空間上で下記の流れを行うことで商品購入につながります。

  1. 体験者が専用サイトから商品を探す
  2. 店舗での体験予約のうえ、来店し商品を体験する
  3. 気に入れば D2C サイト(製造者がダイレクトに消費者と取り引きをするサイト)などで購入

メタバースが普及するまでは、消費者が製造者と関わることはオフラインの販売ではほぼありませんでした。

また、従来では体験予約なども対面ならではの発想でしたが、仮想空間ではそれすら可能になります。

「NEW POINT×THE-ST」は自宅にいながら対面のショッピング以上の情報が得られるストアです。

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未来特区プロジェクト

「未来特区プロジェクト」は、「街づくりの取り組みをステップアップさせ、新しい事業のクリエイトに向けてパートナーとの共創を模索するプロジェクトです。

「未来特区プロジェクト」において、「都市機能の本質」は以下のように定義されており、それぞれの共創パートナーを募集しています。

  • 生存:都市に暮らす人々の「生存」を支えるエネルギー、食、衛生など多様なインフラを備える
  • コミュニケーション:多くの人が集まり、様々な場所で行われる「コミュニケーション」の舞台となる
  • 文化:都市に暮らす人々やコミュニティから豊かな「文化」が産まれる

そして、2022年に「未来特区プロジェクト」内の文化領域を担う「クリエイター特区」では、仮想空間上に空想の世界観を表現したバーチャルギャラリーを開設。

ギャラリー内には、リアル×デジタルの場を活用した、デジタルアートの展示が行われました。

メタバースとスマートシティ

冒頭で触れた通り、メタバース上でのアクションやシミュレーションは、現実世界(リアル)で不可能なことを達成したり、リアルで行うより効率化が見込めたりと、多くのメリットを有しています。

加えて、上記のメリットは「スマートシティの実現」において必要な「アイディアの創出」「新しいビジネスの在り方の検討可能な拠点」という点においても非常に効果的。メタバースとスマートシティには、高い親和性・シナジーが期待できるでしょう。

すなわち、メタバース上で新たなアイディアやビジネスモデルを創出し、シミュレートすることで「スマートシティの実現」に繋がるのです。

そこでここからは、スマートシティの概要や目的、注目される理由を解説していきます。

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スマートシティの概要と注目の理由

国土交通省によると、スマートシティは「都市が抱える諸問題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画・整備・管理・運営)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義づけられています。

簡単なイメージとしては、AIやIoTなどの先端技術が駆使された、効率的で住みやすい都市と捉えておけばいいでしょう。

そして、スマートシティは急激な社会変化にも柔軟に対応できる機能を持つことから、大きな注目を集めています。

従来の計画都市では都市機能を具現化したビルや道路の配置、区画整理、ライフラインの整備など、ハードウェア作りが中心でした。

しかし、ハードウェア作りには長い時間を要し、住民の方の体感としてはどうしても都市機能の変化を感じにくくなってしまいます。

一方、スマートシティの場合、これまで対応が追いつかなかったエネルギー供給の見直し、インフラの効率化、少子化問題などに迅速な対応が可能。

住民が無理なく安心して暮らせるという背景から、スマートシティは注目を集めているのです。

三井不動産のスマートシティ「柏の葉スマートシティ」

柏の葉スマートシティは、三井不動産主導で行っている千葉県柏市に拠点をおくスマートシティ計画です。

2001年から2015年までを第1ステージとし、2016年から現在までを第2ステージとして今も尚、街作りに励んでいます。

そして、「柏の葉スマートシティ」はIoTを駆使したオフィス空間や、データプラットフォームの構築を進めている事業であることから、リアルより効率的にデータを収集できるメタバースとの関連性はさらに深まっていくでしょう。

また、柏の葉スマートシティは以下3つの要素に基づいて街づくりを行っています。

  • 新産業創造

新産業創造の側面では、大学・研究機関・インキュベーション施設(創業初期段階の起業者の事業拡大や成功を支援するための施設)が集まる街づくりの推進。

  • 健康長寿

健康長寿の観点では「食と運動の推進」「健康の見える化」「コミュニティとのつながり」の3つを通して疾病予防や健康促進に貢献するプログラムを進行。

  • 環境共生

柏の葉スマートシティ構想内での環境共生は、「最先端のスマートグリッド」「再生可能エネルギーの活用」「ICTの地域利用」を駆使。次世代につながる社会の実現を目指す。

※三井不動産公式ホームページより引用

以上の3要素を結集した街こそ「柏の葉スマートシティ」であり、老若男女や年齢を問わず、さまざまな層への利便性が期待されています。

三井不動産のメタバースプロジェクトの今後

三井不動産はあくまで不動産デベロッパーであり、メタバースを取り扱うIT系企業などではありません。

そのため、メタバースによる商用イベントの企画はするものの、基本的には街作り、特にスマートシティにつながるイベントがメインの活動となるでしょう。

ただ、リモートワークが主流化しつつある昨今、メタバースによる「アイディア創出」「リアルに近い体験」の需要が拡大することは明白です。

さらに、メタバースの一般社会への普及も着々と進んでいます。

したがって、今後も商用イベントやエンターテイメント性と注目度が高いイベントは加速度的に行われることが予想されるでしょう。

そして、大手企業である三井不動産は、その陣頭に立って普及に貢献する可能性があるので、今後の動向はしっかり注目しておくのがおすすめです。

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まとめ

本記事では、三井不動産のメタバースプロジェクトや、スマートシティの概要、魅力などを解説してきました。

三井不動産を始め、世界中の大手企業が注目するメタバースは、アバターを介して自宅にいながらでも多くの情報を効率的に得られる技術です。

それによって得られるメリットは、消費者の消費行動のみならず、街作りといった人々の生活全体に関わるところまで影響を拡大していきます。

そして、三井不動産が推し進める「柏の葉スマートシティ」とも、メタバースは高いシナジーが期待できるため、本記事を参考により理解を深めておきましょう。

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