Microsoftが提供するWindows 11の最新アップデート「Windows 11 24H2」が、リリースから数か月が経過した今も多数の不具合を抱えている。1月のパッチチューズデー後、新たにBluetooth接続、内蔵ウェブカメラ、ゲーム動作などに深刻な影響が確認されており、安定したシステム環境を求めるユーザーにとって大きな課題となっている。
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2025年1月のWindowsアップデートで深刻な不具合報告多数 USBデバイスやBluetoothに影響
Windows 11 24H2がついに全適格デバイスへ提供開始
過去のアップデートでもバグ修正が行われたものの、その都度新たな不具合が発生。特に企業環境では、Citrixのコンポーネントとの競合やネットワーク接続の不安定化など、業務に直接影響を与える問題が報告されている。これらの状況を受け、一部の企業ではアップデートの適用を見送る動きも広がっている。
Microsoftは修正パッチを繰り返し提供しているが、現時点で根本的な解決には至っていない。企業やプロフェッショナルユーザーにとっては、安定性を重視し、既存のバージョンを維持する選択肢を検討する必要がある。
Windows 11 24H2の主な不具合(※記事公開時点)

1. Citrixコンポーネントとの競合
最新のアップデート適用後、「Citrix Session Recording Agent (SRA) 2411」がインストールされたデバイスでは、正常にパッチが適用されない問題が発生している。この問題により、一部の企業では業務に支障が生じる可能性がある。
2. Bluetoothヘッドホンの音声が無効化
アップデート適用後、一部のBluetoothヘッドホンで音声が出なくなる不具合が発生。デバイスの再接続では解決せず、唯一の解決策としてアップデートの削除が求められるケースが報告されている。
3. 内蔵ウェブカメラが検出されない
特にDell製の4Kモニターに搭載されたウェブカメラで、「デバイスを開始できません」というエラーが表示される事象が報告されている。
4. Alt+Tabでゲームがフリーズ
「Fortnite」や「Assassin’s Creed」シリーズなどのゲームにおいて、Alt+Tabでウィンドウを切り替えるとフリーズまたはクラッシュする問題が発生している。
5. Auto HDRの不具合
Auto HDR機能を有効にすると、一部のゲームで色表示が正しく行われなかったり、動作しなくなったりする問題が確認されている。
6. ネットワーク接続の不安定化
アップデート適用後、Wi-Fiおよび有線接続が可能であるにもかかわらず、正しいIPアドレスを取得できずインターネット接続ができない事例が報告されている。
7. その他のブルースクリーン要因
- Intel Smart Sound Technology (SST) のドライバーとの互換性問題
- Western Digital製SSDを搭載したPCでのブルースクリーン(Lenovo、Asus VivoBookなど)
- MSI、AsusのZ890マザーボード使用時に発生するブルースクリーン
Windows 11 24H2の影響と今後の展望
企業IT部門が直面する課題
Windows 11 24H2の不具合は、個人利用だけでなく企業システムにも大きな影響を与えている。特にCitrix環境やネットワークの不安定化により、リモートワークやクラウド業務のパフォーマンスが低下する事例が報告されている。
企業のIT部門にとって、アップデートの適用判断は慎重に行う必要がある。テスト環境での十分な検証が求められるほか、万が一のロールバック手順も確立しておくことが不可欠である。
Windows 11 24H2の今後の修正見通し
Microsoftは1月のパッチ適用後も新たな修正パッチを準備中とされている。過去のアップデート履歴から考えると、バグ修正とともに新たな不具合が発生する可能性もあるため、慎重な対応が求められる。
今後のアップデートでは、特に法人向けの安定性向上が重視されると考えられるが、根本的な問題解決には時間を要する可能性が高い。現在のバージョンで安定した環境を維持できている場合、アップデートを急がず慎重な判断をするべきである。
IT投資の見直しと長期戦略
Windows 11 24H2の問題を受け、企業のIT投資戦略にも影響が及んでいる。特に、アップデート適用に伴うトラブル対応のコストやリソース配分の見直しが求められる。
また、OSの安定性が確保されるまでの間、既存のWindows 10環境を維持する企業も増えている。将来的なWindows 12への移行も視野に入れつつ、長期的なIT投資戦略を構築する必要がある。