Super Micro Computer(SMCI)は、AI分野で成功を収めた企業の一つであるが、現在は財務報告の遅延により投資家の不安が高まっている。特に、Hindenburg Researchによる会計上の問題指摘やNasdaq上場廃止の可能性が重くのしかかっている。
同社は過去にも財務報告の遅れで上場廃止となったが、2020年に復帰した実績がある。しかし、2月25日までに必要な報告書を提出できなければ、再び上場廃止のリスクに直面する。CEOは期限内提出を明言し、株価は直近で反発しているものの、不透明感は拭えない。
アナリストの評価は「ホールド」が中心であり、株価の見通しは強気と慎重論が交錯している。現在の市場動向とリスクを踏まえ、SMCI株の投資判断には慎重な見極めが求められる。
Super Micro Computerの成長と直面する課題

Super Micro Computer(SMCI)は、AI技術の発展とともに成長を遂げたが、直近では財務面での問題が浮上している。特に、Hindenburg Researchによる不正会計疑惑の指摘が投資家の懸念を高めた。これにより、財務報告の提出が遅れ、Nasdaqからの上場廃止リスクが現実味を帯びてきた。
一方で、SMCIはサーバー市場で独自のポジションを築き、高性能かつエネルギー効率の高い製品を武器に事業を拡大してきた。2023年3月には過去最高の株価を記録するなど、AIブームの恩恵を受けた。しかし、2023年7月のNasdaq-100指数への採用後、12月には除外されるなど、市場の評価は短期間で変化している。
同社は2024年度の年次報告書と2025年度の第1・第2四半期の財務報告書を2月25日までに提出すると表明したが、過去の事例からもわかるように、財務管理に関する問題が今後の成長を阻む可能性は否定できない。現在の市場環境では、投資家は企業の成長性だけでなく、財務ガバナンスの透明性にも注視する必要がある。
株価の動向と市場の評価
SMCIの株価は2023年以降、大きな変動を繰り返している。2023年3月の最高値から約61%下落した後、CEOの発言や2026年度の業績予測に支えられ、直近3か月では113%の上昇を記録した。S&P 500の上昇率2.8%を大きく上回る成績であり、市場の期待は依然として高い。
一方で、株価の変動は決算発表のたびに大きな影響を受けている。2023年8月に発表された2024年度第4四半期決算では、売上高は前年同期比143.6%増と好調だったものの、粗利益率が17%から11.2%に低下し、株価は20%以上急落した。このように、成長が見込まれる一方で、利益率の低下が市場の懸念材料となっている。
アナリストの評価は分かれており、13人中4人が「買い」を推奨し、7人が「ホールド」、2人が「売り」としている。目標株価の中央値は52.68ドルで、現在の水準から約10%の上昇余地があるが、最高目標株価100ドルを考慮すればさらに大きな成長の可能性もある。市場はSMCIの今後の財務報告の結果と業績見通しに注目している。
今後の投資判断と注意点
現在のSMCIは、成長性とリスクの両面が交錯する局面にある。2月25日の財務報告の提出期限が目前に迫っており、提出が間に合わなければNasdaq上場廃止のリスクが現実化する。これが投資家心理に与える影響は大きく、株価の急落を招く可能性がある。
同時に、2026年度に向けた業績予測は強気の見通しを示しており、特に売上高400億ドルという目標が投資家の期待を押し上げている。しかし、現時点での財務状況やガバナンスの透明性が市場の信頼を取り戻せるかは不透明であり、短期的なリスクを考慮する必要がある。
最終的な投資判断は、リスク許容度と投資期間によって異なる。短期では財務報告の提出状況が鍵を握り、長期ではAI需要の拡大と同社の財務健全性が重要になる。アナリストの評価が「ホールド」を中心としていることからも、現時点では慎重な姿勢が求められる。
Source:Barchart.com