キャシー・ウッドが率いるアーク・イノベーションETF(ARKK)が、2024年に85%の株価上昇を遂げたSoFiテクノロジーズの保有株式を大幅に減らしている。2月25日に実施された43万株超の売却に加え、2月中旬にも23万株超を売却しており、第4四半期には合計320万株を手放した事実が、最新の13F報告により明らかとなった。

SoFiの急成長は、フォートレス・インベストメント・グループとの20億ドル契約による個人ローンプラットフォーム強化や、2024年11月のトランプ前大統領の選挙勝利による規制緩和への期待が追い風となっている。

好調な業績にもかかわらず、アークがSoFi株を段階的に処分している背景には、急騰銘柄への利益確定やポートフォリオのリバランスを図る動きが関係している可能性がある。破壊的イノベーション企業を選好するアークの戦略転換は、フィンテック業界全体の資金流れにも影響を与えることが予想される。

キャシー・ウッド率いるアークが2024年を通じて実施したSoFi株の売却と背景


キャシー・ウッドが率いるアーク・イノベーションETF(ARKK)は、2024年を通じてSoFiテクノロジーズ株を段階的に売却してきた。最新の動きとして2月25日には43万483株を売却し、売却額は約600万ドルに上る。さらに2月11日および12日にも23万2,032株を売却しており、合計約340万ドルの売却を実施している。

2024年第4四半期には、アークは合計320万株を売却しており、四半期報告書(13F)に基づけば、短期間における保有比率の大幅な引き下げが確認できる。これらの売却は、2024年にSoFi株が85%もの上昇を記録する中で進められており、株価上昇局面での利益確定やポートフォリオのリバランスを視野に入れた動きとみられる。

SoFiの株価急騰の契機となったのが、2024年10月14日に発表されたフォートレス・インベストメント・グループとの20億ドル規模のローンプラットフォーム契約である。この契約によって、SoFiの個人ローン事業の拡大が見込まれ、投資家からの評価が急速に高まった。

同時に、2024年11月にトランプ前大統領が大統領選で勝利したことも株価を押し上げる要因となった。金融規制緩和への期待感が市場全体を覆い、特にフィンテック企業に対する先行き期待が高まったことが背景にある。

アークによるSoFi株売却は、同社に対する評価見直しや、他の成長企業への資金シフトの可能性も示唆している。ただし、現時点では売却の直接的な理由は公表されておらず、アークのポートフォリオ全体の戦略変更に沿った動きとして位置付けることが妥当である。

フィンテック業界におけるSoFiテクノロジーズの成長戦略と競争優位性

SoFiテクノロジーズは、創業以来学生ローンのリファイナンス事業で成長してきたが、現在では貸付事業、金融サービス事業、テクノロジープラットフォーム事業の3領域に事業を拡大している。特に2024年における成長は、個人ローン分野の拡大とプラットフォーム事業の強化に支えられている。

2024年10月に発表したフォートレス・インベストメント・グループとの20億ドル契約は、SoFiの事業構造を大きく強化する契機となった。この契約を通じ、同社はローン商品を投資家向けに流通させる基盤を確立し、資金調達力を一段と高めることに成功している。この動きが株価急騰につながったことは、アナリストの評価からも明らかである。

SoFiが展開するテクノロジープラットフォーム事業は、他のフィンテック企業にもサービスを提供する構造となっており、自社サービスに留まらず、業界全体への影響力を強めつつある。ただし、規模拡大とともに競争環境も激化しており、特に従来型金融機関がフィンテック領域への参入を加速させる中で、SoFiの競争優位性を維持するためには独自の技術力と迅速な事業戦略が不可欠である。

2024年の85%の株価上昇は、SoFiの成長期待を示す一方で、株価水準の割高感や利益確定売りを招く要因にもなり得る。キャシー・ウッド率いるアークによる段階的な売却は、SoFiが成長過程にあることを認めつつ、リスクヘッジと分散を重視する運用戦略の一環と捉えるべきである。

キャシー・ウッドの戦略的売却に見る破壊的イノベーション投資の再構築

アーク・イノベーションETF(ARKK)は、破壊的イノベーションを牽引する企業への投資を軸に運用されており、SoFiはその代表的な構成銘柄の一つであった。2024年を通じた段階的売却は、単なる利益確定にとどまらず、ポートフォリオの再構築という戦略的判断に基づく可能性がある。

フィンテック分野においてSoFiが存在感を高める一方で、生成AIや気候テックといった他分野への資金シフトも、アークにとっては重要な選択肢となる。2024年後半以降、テクノロジーセクター全体に資金流入が見られる中で、SoFi単体への過度な集中を避ける意図も考慮に値する。

また、規制環境の不透明感が完全には払拭されておらず、トランプ前大統領の選挙勝利による規制緩和期待も、市場の変動要因として常に織り込む必要がある。これら外部要因に柔軟に対応するためには、アークとしても高い流動性を確保し、投資余力を維持することが求められる。

アークによるSoFi株売却は、単一企業への依存を避けるリスク管理と、今後の破壊的イノベーション領域における新たな成長機会への布石を兼ね備えた動きと言える。SoFiの成長自体を否定するものではなく、むしろ競争環境が変化する中で、ポートフォリオの多様化によって持続的な成長を追求する姿勢の表れと捉えることができる。


Source: Wall Street Pit