Appleが発表したM3 Ultraチップが、これまでのAppleシリコンを大きく上回る性能を示した。Geekbench 6のMetalベンチマークによると、M3 Ultraのスコアは259,668ポイントに達し、M2 Ultra比で16%向上、M4 Max比では38%の性能差を記録した。
このM3 Ultraは、80コアのGPUを搭載し、TSMCの3nmプロセス技術を採用。従来のUltraFusion技術による2チップ統合が実現しているが、M4 Ultra以降ではこの技術が廃止される可能性も指摘されている。
新型Mac StudioにはこのM3 Ultraが採用され、価格は3,999ドルから。MacBook ProのM4 Maxモデル(1,999ドル)と比較すると価格差は大きいが、その性能向上が実使用にどう影響するかが注目される。
M3 Ultraチップの性能向上が示すAppleシリコンの進化

AppleのM3 Ultraチップは、80コアGPUを搭載し、グラフィックス性能において過去最高のスコアを記録した。Geekbench 6のMetalテストでは、259,668ポイントという結果を出し、M2 Ultraと比較して16%向上、M4 Maxとの差は38%に及ぶ。これにより、Mac Studioの性能が大幅に向上し、特にクリエイティブ分野や負荷の大きい作業において実用性が高まると考えられる。
また、M3 UltraはTSMCの3nmプロセスを採用しており、エネルギー効率とパフォーマンスのバランスが最適化されている。Appleが独自のチップ設計を進化させてきた流れを考慮すると、今回のM3 Ultraの性能向上は決して偶然ではない。特にUltraFusion技術を活用し、2つのM3 Maxチップを統合した構造は、Appleが従来の設計戦略を踏襲しつつも、さらなる最適化を図った結果である。
しかし、全てのベンチマーク結果が実際のパフォーマンスと完全に一致するとは限らない。特に、一部のテストではM3 Ultraの80コアバージョンに関する疑問点が指摘されており、実際の使用環境でのパフォーマンスとの差異がある可能性がある。M3 Ultraの真の実力は、今後の実機レビューや長期間の運用によって明らかになっていくだろう。
M4 Ultraの登場は絶望的か Appleの戦略転換
M3 UltraはApple史上最速のチップである一方で、次世代のM4 Ultraは登場しない可能性が高いとされている。その要因の一つとして、Appleが採用してきたUltraFusion技術の廃止が挙げられる。UltraFusionは、2つのチップを連結させて高性能化を実現する技術であり、M1 UltraやM2 Ultraにも採用されていた。しかし、最近の情報では、Appleは今後この技術を使わない方向で開発を進めているとされ、M4 Ultraの開発計画にも影響を及ぼしているとみられる。
この戦略の背景には、TSMCの3nmプロセス技術の成熟度や、Appleのシリコン開発の方向性が関係している可能性がある。チップの小型化や発熱対策の観点からも、単独の高性能チップへの移行が合理的であると判断されたのかもしれない。さらに、Appleがプロ向け市場においてどのような差別化を図るのかも注目される。M3 Ultraの価格が3,999ドルと高額であることを考慮すると、M4 Maxやその後継チップが、将来的にUltraシリーズを代替する役割を担う可能性もある。
仮にM4 Ultraが登場しない場合、Mac StudioやMac Proといったハイエンド製品の立ち位置が変化することになる。特に、AppleはAIや機械学習向けの最適化を進めており、今後のシリコン戦略ではGPU性能の向上だけでなく、専用エンジンの強化や異なるアーキテクチャの採用が進むことも考えられる。Ultraシリーズの廃止がAppleの製品戦略にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目される。
M3 Ultraのコストと価格設定 Mac Studioの価値は
M3 Ultraを搭載したMac Studioは3,999ドルという高価格帯で販売される。対して、M4 Max搭載の16インチMacBook Proは1,999ドルからとなっており、両者の価格差は歴然としている。この価格差がどこまで妥当かについては、ターゲットとするユーザー層の違いが関係する。Mac Studioはデスクトップ環境での長時間運用を前提としており、拡張性や冷却性能が重視されている。一方、MacBook Proはモバイル用途を想定しているため、消費電力や持ち運びやすさが優先されている。
M3 Ultraのパフォーマンス向上は明らかだが、その価格に見合う価値があるかどうかは用途による。例えば、4Kや8Kの映像編集、3Dレンダリング、大規模なデータ解析といった分野では、M3 Ultraの80コアGPUが大きなアドバンテージとなる。しかし、一般的な業務や軽度なクリエイティブ作業であれば、M4 Maxで十分な性能を発揮できるため、高額なM3 Ultraが必須とは言い難い。
さらに、今後のAppleシリコンのロードマップ次第では、M3 Ultraの価格設定が一時的なものに過ぎない可能性もある。もしAppleがM4世代でUltraFusion技術を廃止し、M4 Maxやその後継チップに一本化する場合、現在の価格体系も再考されるかもしれない。現時点では、M3 Ultraがプロフェッショナル向け市場においてどこまでの需要を獲得できるかが焦点となるだろう。
Source:Wccftech